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第17回布施緩和ケア研修会を開催しました

5月18日(土)に布施医師会館にて、ELC協会ファシリテーター 松本静香先生をお招きし、「第17回布施緩和ケア研修会」を開催いたしました。

受講者は医師6名、看護師32名、ケアマネージャー10名、管理栄養士4名、その他を含めて総勢53名。
今回の研修ではグループワークも行なうため募集人数を50名に制限させていただいきましたが、満員のご参加をいただきました。

昨年度の研修会では、テーマに応じてPEACEのモジュールを用いて勉強会を行った後、テーマに即した事例検討を行う形をとってまいりましたが、今年度からは、スピリチュアルな苦しみ、つまり「答えることのできない苦しみ」をテーマに研修を行ないます。
苦しむ人に関わる全ての職種の人が行える援助の方法を、講義と演習で学びます。

今回のテーマは、「多職種で行うエンドオブライフ・ケア研修 ~聴く力~」
「明日からできる援助的コミュケーション」と題し、事例やロールプレイを通じてターミナルケアにおける多職種連携での対応から1対1の対応まで、誰にでもできる具体的な対人援助法を学びました。

また、本研修には、同じくファシリテーターである北村愛美さんにもご協力をいただきました。
ありがとうございました。

私、院長川邉正和が、今回の研修会を受けて学んだ「反復と沈黙」について、記させていただきます。
まず、以下をごらんください。松本先生にご用意いただいた事例紹介のスライドです。
この内容で、二人一組になってロールプレイを行いました。


【参加者の声】
援助者役:このまま反復しても良いのだろうか。反復することで、相手がかえって落ち込むのではないだろうかと思ってしまう。
患者役:自分の思いを反復されることにより、客観的にとらえられ、落ち着いた。一瞬、我に返った。自分が言ったんだと思い直し、言った事実を受け止められた。そして、言葉を繰り返されることで分かってもらえたと感じ、安心した。


【参加者の声】
援助者:相手の言葉を待つ時間が長く感じた。何かを話さないといけないと思ってしまう。
患者役:沈黙の時間は長く感じなかった。沈黙している間に、不安材料がどんどんと思い浮かび、話しやすかった。

やはり、否定的な言葉の「反復」はどうしても難しく感じるようです。
これは否定的な言葉を口にすることで患者にどういう影響を与えるのか、不安になってしまうからでしょう。
また、沈黙の時間は、待つ方にとっては長く感じるものです。

しかし、相手の言葉を丁寧に反復することで、「自分の苦しみをわかってもらえる」という気持ちが生まれます。
また、「そうなんです」の言葉を待つことで、良い聴き手になれます。

「沈黙」の後、どんな言葉が出てくるのだろうと、援助者は忍耐強く待つ努力をします。
そうして待つことで、相手が「実は…」と話し出してくれるようになるのです。
「待つ」ことの重要性を、改めて感じることができた研修会でした。

研修会終了後、参加者のみなさまの感想を拝読いたしましたので、いくつかご紹介させていただきます。

反復・沈黙の大切さは聞いていたが、今まで沈黙の間どうしたら良いのだろうかと考えてしまう事が多かった。ロールプレイング゙をして患者側の立場に立ち、大切さを理解できたと思う。(看護師)

毎回研修で同じ事を繰り返しているが、毎回学びがある。繰り返して学ぶ、この事を続けたいと思う。反復は本当に難しいが患者側の立場ではホッとしている気持ちに気づけた。(看護師)

ロールプレイをすることで、講義内容の実際が理解できた。反復すると、なかなか言い辛いキーワードがあり、自分の出来てないところが見えた。今後やこれまでの自分ののとり方を見直して、是非学んだことを活かしていきたいと思う。(看護師)

緩和ケアは難しく、正直苦手だった。先日、ターミナルの方と関わる事があり、その方や家族を前にすると反復と沈黙しかできない自分が苦しかった。本日の研修を聞いて、少し気が楽になった。(看護師)

内容はとても有意義で、明日からの仕事でも活かせるものだと感じた。また反復・沈黙の難しさも強く感じた。「辛い言葉をそのまま返すこと」「相手の言葉を待つ時間」とても大切だが、そこをできるだけ自分の強さがもてるようにしたいと思った。(看護師)

ロールプレイを実際にしたことで、自分ではわかったつもりでいたが「わかってくれる人」にはなっていなかったと思う。しっかり反復と沈黙を意識して支えとなる存在であるよう、研修を振り返って関わっていきたい。(看護師)

新卒でクリニックに入り、現在は理学療法士に対して栄養指導などの情報提供を行うのに必死。今日学んだ事を活かして、自分が出来る事を全力でやっていきたい。(管理栄養士)

身内にがん患者はいたが、在宅支援で関わったことがないので勉強になった。日頃は、患者との対話の機会があるが。改めてお互いの立場や意味(沈黙など)を認識し直すことができた。(管理栄養士)

また、以下のようなご意見もいただきました。次回以降の参考とさせていただきます。

・時間があればペア/組み合わせを変えるか、4人グループもしくは6人グループでディスカッション等の学習もして欲しい。

・ロールプレイが標準語でやりにくかった。もっと自分に関することの方が話が続くのではないかと思った。

・反復されるだけでは個人的には信用できないと思った。今日は反復沈黙のテーマだったので仕方ないが、様々なコミュニケーションスキルを、TPOや患者に合わせて使う事が大事だと学べた。

今回の研修を経て、医師を含めた5施設(5名)より「布施緩和ケアネットワーク」の世話人への参加ご希望をいただきました。

今後は世話人の拡充や、地域全体で在宅医療を支えるネットワーク「東大阪プロジェクト」として、更なる充実をはかっていきます。

また、本研修会のフォローアップ研修をかわべクリニック内にて行ないます。
このテーマに関心を寄せる方は、ぜひご参加ください。

【第3回ELC東大阪学習会(in かわべクリニック)】
日時:7/18(木)17:30~19:00
タイトル:聴く力~苦しむ人へ関わるための援助的コミュニケーション~
当クリニック看護師 川邉綾香が講師を務めます。

詳細については、以下記事をご参照ください。
[5・6・7・8月のイベントご案内]

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