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【看取りの報告書】AXさまのこと

クリニックでは、患者さまが最期の時間を過ごされたご様子を「看取りの報告書」としてまとめています。

今までかわべクリニックがお見送りをした患者さまの「看取りの報告書」を、担当看護師の思い出と共にご紹介していきたいと思います。

AXさまのこと
~独居の方は自宅で亡くなれない!?~
在宅医がいれば、あなたの願いが叶います。

いつもお世話になっております。AXさまについてご報告させていただきます。

ご紹介電話をいただき、翌日訪問をした際に、AXさまは「病院は絶対に嫌や。入院はしないよ。我慢強いから大丈夫」。
横で聞いていらした娘さまは、「家は怖いと思っていたけど、在宅訪問診療という制度があるなら、私は出来る限り父の家に来るのでお願いします」と、すぐにAXさまの願いを了承されました。
ただ、AXさまが「ベッドが嫌、あれが嫌」などと言われるたびに、娘さまが「わがまま言うなら入院よ!」と駆け引きをされていたのが印象的でした。

初回訪問時より、呼吸困難、癌性疼痛、低酸素血症、体動困難を認めていましたので、在宅酸素、医療用麻薬、ベッドなど、あらゆるものを導入し、療養環境を整えました。
時を同じくして、AXさまの状態も日増しに悪化。
AXさまの病状を理解されていた娘さまでしたが、気持ちが追い付かないと不安になり、一度は入院を考えていらっしゃいました。
そこで私たちは説明を行い、不安な娘さまを支えることをお約束。
娘さまは改めて、「AXさまらしさ」を尊重されることを決意なさいました。

亡くなられる日を悟られたかのうように、娘さまがAXさま宅に泊まった日の深夜、娘さまに見守られる中、安らかに永眠されました。
1週間と短い期間でしたが、良き出会いとなりました。
ご紹介ありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します。

[ケアを振り返って]
私たちがケア行っている人生の最終段階の方に、「死」はどのように見えるのでしょうか?
そして患者さまを支えているご家族さまに、「死」はどのように見えるでしょうか?

多くの人は、「怖い、嫌だ、不安に見える」と言います。

ところが、同じ死であったとしても、「穏やかである、幸せである」と見える人がいます。

一般には恐れられる死も、違うように見えることがあり得るのです。
その理由は、“支え”があるからです。
その支えには、大きく分けて3つあります。
①将来の夢
②支えとなる関係
③選ぶことのできる自由
です。

「選ぶことの自由」が奪われたとき、人は苦しさを覚えます。
選ぶことができないとき、しばしば死にたいと希望する人がいます。
それほどまでに大切な「選ぶことのできる自由」です。

私たち医療者(援助者)が「良い」と思ったことは、必ずしも患者さま自身が良いと思うとは限りません。
大切なことは、患者さまを主語とすること。
患者さまがどのように思っているのかを考えなければなりません。

私たち医療者(援助者)は、患者さまが穏やかに過ごせるよう、解決できることは解決することも重要です。
患者さまが理解できるように、丁寧に説明することも大切です。

人は大きな苦しみを抱えていたとしても、穏やかになれる可能性があります。

今回のケースでは、一番の困りごとであった呼吸困難の症状緩和目的に、在宅酸素の導入、医療用麻薬などでの薬剤調整、環境調整として介護用ベッドを導入しました。
これらは、私たち医療者からの押し付けではなく、患者さま自らが説明に納得し、選ばれたものです。
「選ぶことのできる自由」があるかないかで、穏やかさは大きく変わってきます。

自宅療養をしたい、入院したくないと明確な意志表示をされる人は、何からの強い意志、将来の夢、そして「支え」をお持ちの方が多いのではないでしょうか。

私たちは、その「支え」を強めるために、病院とはシステムは違った形にはなりますが、安心してもらえるような医療・ケアを「在宅チーム」として発揮しなければなりません。
病院のように、すぐに対応できるナースコールがあるわけではありません。
しかし、24時間365日いつでも電話連絡、対応し、駆けつけることも可能です。
こういった安心感が、患者さま、ご家族さまを支えるひとつの要素となることは間違いありません。

何よりも心穏やかになる場所であるご自宅で過ごせること、ご家族さまと変わりなく会えることは、患者さまにとって生ききることの支えとなります。
私たちは患者さまだけでなく、その家族さんを支えることが役割だと考えます。

私たちはこれからも、暑い夏とともに、無理なく走り続けます!

【今週の東大阪プロジェクト】
東大阪プロジェクトの活動の一部をご紹介させていただきます

>>今週ご紹介する動画<<
【客観的評価が苦手・ポイントが知りたい!~できる看護師を目指すあなたへ~】
先日、新人看護師から質問を受けました
「患者さまの呼吸が苦しそうなので、『苦しそうですね、苦しいですか?』と聞いたら、『苦しいわけじゃない』って言われました。
苦しそうなのに、どうしてですか?」

[今日のポイント]
「苦しい」と「苦しそう」は違うのです。
・・・詳細は動画を参照ください・・・

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