かわべクリニック

在宅療養支援診療所

かわべクリニック

内科・緩和ケア内科・呼吸器内科

〒577-0843 東大阪市荒川3丁目5番6号 MMビル203

TEL : 06-4309-8119FAX:06-4309-8118

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【看取りの報告書】Aさまのこと

かわべクリニックでは、病院を退院してから在宅医療を受けた患者さまが最期の時間をどのように過ごされたか、その様子を病院看護師にお伝えするために、「看取りの報告書」を作成し、お送りしています。
病院勤務時代、患者さまが退院、転院をされた後にどうしていらっしゃるか、気になっていました。担当の医師に伺うと「いつ頃亡くなられたよ」と教えていただいたり、ご家族が病棟までご挨拶に来てくださり知ることもありました。
医師同士が報告書で連携しているように、看護師同士も連携し、顔の見える関係を築けないかと思い、かわべクリニック開業当初から、病院看護師に宛てて「看取りの報告書」をお送りして、病院看護師も訪問看護師も最期まで患者さんと繋がることが出来るようにと思っています。

今までかわべクリニックがお見送りをした患者さまの「看取りの報告書」を、担当看護師の思い出と共にご紹介していきたいと思います。

Aさまのこと
~急性骨髄性白血病を患った83歳のAさま
月に1度は感染で入院。それでも、毎回「自宅に帰りたい!~

[看取りの報告書]
退院支援課 I様
いつもお世話になっております。Aさまについて、ご報告させていただきます。

X年の年末に病院から「病状としては厳しいですが、どうしても自宅で過ごすことを強く希望されているので、往診お願いできますか?」との連絡をいただきました。
そうしてAさまは、暮れも押し迫った12月29日に、ご自宅にお戻りになりました。
私たちも感染を警戒し*、年末年始は毎日ご自宅を訪問いたしました。次第に体調も落ち着き、週1度は病院での採血・診察・輸血での療養を行なってきました。

*急性骨髄性白血病は血液中の正常な白血球の数が減ってしまうため、ちょっとした感染症でも重篤な症状になるリスクが高い病気です。

やはり月に1度の割合で感染を起こしてしまい、その度に入院をしましたが、毎回「病気を治したい。でも、自宅に帰りたい」という強いお気持ちがあったからこそ、何度も危機を乗り越えていたように思います。

最後の退院となったX+1年6月以降は、内服による感染コントロールを行ない、輸血は自宅より程近い病院に依頼して療養を行なっていました。
しかし、徐々に病状の進行と共に倦怠感やむくみ、食欲低下が出現。少しでも人に迷惑をかけず生きたいという意志の強かったAさまは、ご自身の病状をなかなか受け入れることはできませんでした。
「なんで、なんで」と自問自答しながらも、今の自分と向き合い、受け入れようとする気持ち。最期まで諦めない姿勢は、私たちの心に強く残っております。

「娘に迷惑をかけず、眠っているように朝になったら息をしていない、そんな最期でありたい」と言っていたAさまは、その言葉通り、7月24日午前7時25分、ご家族に見守られる中、永眠されました。

入退院を繰り返しながらも、「自宅に帰りたい」というAさまと、そんなAさまをご自宅で支えたいというご家族さまのお気持ちを最期まで支え続けられたことを、私たちは光栄に思います。

かわべクリニック 看護師 川邉 綾香

[ケアを振り返って]
白血球減少により肺炎を何度も繰り返し、そのたびに入院し治療を行ってきたAさま。退院後は、体力的に辛くてもできる限り外来に行って、定期的な輸血を受けたい、その想いで通院加療を行われました。そんな「生きたい」と強く思う気持ちが、Aさまの支えでもありました。

私たちは、そんなAさまをしっかりと支えるため、毎日のように訪問し、いつもと変わらない毎日を過ごせるように心を配りました。入院中も「必ず帰って来れますよ。ご家族も、私たちも待っていますよ」と声をかけました。

病気の進行が進み、Aさまはご自身の病状について、自問自答なさっていたようでした。私たちは彼の「なんで、治らないの?」という解決できない苦しみに対してどのように支えてよいのか、迷った時期もありました。
そしてAさまは、ご自身の苦しみと向き合い、私たちに「娘に迷惑をかけず、眠っているように朝になったら息をしていない、そんな最期でありたい」と伝えてくださいました。
その話をご家族にお伝えしたとき、みなさまのお気持ちが穏やかになったように感じました。そうしてご自宅には、Aさまと寄り添って過ごすゆったりとした時間が訪れ、ご家族さまは最期までAさまとご一緒に過ごすことができました。

[ひとり言]
Aさまとの関わりの中で今でもよく覚えているのは、点滴中に交わした会話です。TVで野球観戦をしながら「今年は阪神優勝やで~」とよく話していました。
残念ながら、X年には阪神は優勝できませんでしたが……今でもどこかで、野球観戦を楽しんでいらっしゃるのでしょうか。

※プライバシーに配慮し、お名前はアルファベットとさせていただきました。

「日本緩和医療学会学術大会」に参加しました

こんにちは!看護師の川邉綾香です。
先日、6月15日~17日に神戸国際会議場で開催された「日本緩和医療学会学術大会」に参加してまいりましたので、そのご報告をさせていただきたいと思います。

これは、先日に院長の川邉正和がご報告した「PEACE緩和ケア研修会」の記事でも触れた、日本緩和医療学会が主催する大会です。
今回の日本緩和医療学会学術大会について、くわしくはこちらをご覧ください。http://jspm2018.umin.jp/

この大会で、私たち布施緩和ケアネットワークの仲間である北野典子看護師(わかくさ老人訪問看護ステーション小阪サテライト)が、ポスター展示を行いました。


その内容について、北野看護師の許可をいただいて、こちらでご紹介しています。
「A地域での在宅緩和ネットワークと緩和ケア研修会の効果検証」
この「A地域」とは、私たちかわべクリニックのある、東大阪地域のことです。
ポスター前ではフリーセッションも行われ、熱意あるやりとりを交わすことができました!

また、今回の大会に参加して私が一番気になった演題は、倉敷成人病センターでの「病棟看護師と訪問看護師の顔の見える連携への取り組み」でした。

「最後まで楽しく生きる」を支える
~病棟看護師と訪問看護師の顔の見える連携への取り組み~

病院と地域の連携が重要であると言われていますが、実際のところ、病院スタッフは在宅療養中の患者さまの状況をほとんど把握できていません。
それは、かつて病棟看護師だった私が訪問看護師になり、改めて気付かされたことでもあります。

名ばかりの連携ではなく、病院スタッフに在宅療養の現状をよりリアルに感じてもらうためには、訪問看護師はどうすればよいのか……。

この発表では、連携の一つとして、病棟の看護師と訪問看護師が一緒にご自宅に訪問する取り組みが発表されていました。
かつて私が所属していた大阪赤十字病院でも同様の取り組みはありますが、残念ながら、今ひとつ成果につながっていないと感じています。

かわべクリニックでは、連携の一環として、『看取りの報告書』を作成しています。
病棟看護師にあてて、患者さまが最期の時間をどのように過ごされたか、在宅での様子を少しでも感じてもらえるように、具体的な様子をお伝えするレポートであり、お手紙です。
いずれこのブログでもその内容をご紹介できたらと考えておりますので、しばらくお待ちくださいね。

病院でも、在宅でも、最期まで患者さまに寄り添い、支える。
その思いに、違いはありません。
病院との連携をより強化するために、かわべクリニックでもさらに活動ができないか、改めて考えさせられました。

そして次回の大会では、かわべクリニックとして今後につながる発表を行いたい!という意欲が湧きました。
そのためには、日々、患者さまにとって一番良いことは何かを考え、地域と手をつないで、日々の仕事に取り組みたいと思います!

在宅医療は「チーム戦」です!

入院している病院から、「もう病院では治療できません。自宅に帰ってください」と
在宅医療への切り替えを勧められたとしたら、
患者さまはもちろん、ご家族さまは大いに戸惑われることでしょう。
もしかしたら、「病院に切り捨てられた」と不安に感じるかもしれません。

「病院にいなくて、万が一のときに治療をしてもらえるのだろうか」
「自宅で急に病状が悪化したら、どう対応したら良いのだろう」

そんなときは、まずは地域で在宅医療を行っているクリニックにご相談ください。
かかりつけの病院と連携し、患者さまの治療履歴や病状についての申し送りを行った上で、
在宅医療を開始することができます。
また訪問看護師やケアマネージャー、ヘルパーなどと連携し、在宅医療体制を整えるお手伝いをいたします。

万が一、再度入院して治療が必要になった場合も、かかりつけ病院とも連携して最善の処置を行います。

在宅医療への疑問や不安、ちょっとしたことでも結構です。
いつでもご相談ください。

在宅医療は「チーム戦」です。
チームのメンバーは、病院・医師・看護師・ケアマネージャー・ヘルパー・薬剤師・理学療法士・作業療法士…

そして、ご家族さまです。

同じチームのメンバーとして、協力し合い、話し合い、ときには意見をぶつけ合って、
最期まで一緒に、走り続けましょう!

「PEACE緩和ケア研修会」に参加しました

こんにちは。かわべクリニック院長の川邉正和です。

今回は、私が参加した「第11回大阪国際がんセンター PEACE緩和ケア研修会」について、ご報告させていただきます。

<PEACE緩和ケアとは>
厚生労働省は、がん対策基本法に基づくがん対策推進基本計画において、「すべてのがん診療に携わる医師が研修等により、緩和ケアについての基本的な知識を習得する」ことを目標に掲げました。
そこで日本緩和医療学会が開発した教育プログラムが「PEACE(Palliative care Emphasis program on symptom management and Assessment for Continuous medical Education)」です。

日本緩和医療学会とPEACEについて、くわしくはこちらをご覧ください。http://www.jspm.ne.jp/

今回の研修会には、研修医の先生方を中心に、看護師、理学療法士、合計36名にご参加いただきました。
なんと、最高齢の方は70歳の先生!いつまでも積極的に学び続ける姿勢に尊敬の念を抱きました。

私はファシリテーターの一員として、「療養場所の選択と地域連携」のモジュールの講師を勤めさせていただきました。
また「肺がんの事例検討」について、八尾市立病院緩和ケア科の蔵昌宏医師が講師をされ、連結して「地域連携」を行い、各々のグループで非常に質の高いディスカッションを行うことができました。

今回の研修会を通じて、私が参加者の皆様にお伝えしたかったこと、
それは「帰れない患者はいない」ということ。

私は、患者さんの「自宅に帰りたい」という思いを支えることが、私たち在宅医療に関わる者たちの使命なのだと考えています。

そして、そんな患者さんたちと「顔の見える関係を築く」ことの大切さも、皆様に伝えさせていただきました。
自宅というパーソナルで安らげるはずの場所に、誰だかわからない医師や看護師が出入りするのでは、せっかく自宅に戻った意味が薄れてしまいます。患者さんと、そしてご家族の方と1対1で顔をつき合わせて信頼関係を築くことが、最期まで納得できる在宅医療を受ける上で、何より重要なことではないでしょうか。

ファシリテーターとして参加しましたが、参加者の皆様の熱意や意見から学ぶことも多く、とても実りある2日間でした。
また関西福祉科学大学の柏木雄次郎先生をはじめ、他のファシリテーターの先生方と交流することが出来たことも、大きな収穫の一つ。
今後の診療につながる、大変有意義な会となりました。

【お知らせ】
このPEACE緩和ケア研修会をベースに、布施医師会にて定期的に緩和ケア研修会を行なっています。
次回の布施緩和ケア研修会は9月15日の予定。
テーマは「医療と介護をつなぐコミュニケーション」です。
皆様のご参加をお待ちしております!

「エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座」に参加しました

こんにちは。看護師の川邉綾香です。

6月2日~3日に開催された「エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座」を、かわべクリニックのメンバーのほか、看護師、薬剤師、管理栄養士などの“東大阪の仲間”6名で受講してきましたので、内容をレポートさせていただきたいと思います!

エンドオブライフ・ケア協会は、在宅医療のトップランナーとも言われている、めぐみ在宅クリニック院長の小澤 竹俊先生を中心として、ホスピス・マインドを具体的に学ぶための活動をしている団体です。

→エンドオブライフ・ケア協会について、くわしくはこちらをご覧ください。https://endoflifecare.or.jp/

今回の講座には、医師、看護師、介護士を中心に91名の参加があり、2日間に渡るとても充実した内容でした。

講座テーマは以下の7つ。
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1.課題背景(2025年問題に備えて)
2.人生の最終段階に共通する自然経過
3.苦しむ人への援助と5つの課題
4.意思決定支援
5.自宅・介護施設で求められる症状緩和
6.多職種連携で「援助」を言葉にする(マクロ)
7.1対1で対応する(ミクロ)を講義
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講座を経て、ロールプレイやディスカッションなどのグループワークを行います。


どれも考えさせられ、新しい知見が得られる内容で、この2日間私は色々な気づきを得て大いに学びました。

そして私自身の“道”が、また一歩大きく拓かれました。

『苦しみは、希望と現実の開きである』
この小澤先生の言葉に、かわべクリニックを立ち上げたときの思いを改めて思い出しました。
急性期病院の救急に勤務していたとき、望まない救急搬送や医療を受ける終末期患者さんたちの姿を見て、「患者さん自らが望む形での終末を迎えるために、自分の力を尽くしたい」との思いを抱き、開設したかわべクリニック。
小澤先生も同じ思いで、エンドオブライフ・ケアをより多くの人に広めようとしている。その姿勢に、強い共感を覚えました。

また『死に対して、嫌、怖いと思う人もいれば、穏やかになれると思う人もいる。自分の価値観にあてはめない』との言葉に、私たちができることは何か、を改めて考えさせられました。
「最期は幸せだった」と患者さんたちに思っていただけるために、医療の視点だけでなく、人間だからできる、私たち看護師だからできる心のケアを考えていきたい。
その思いの、第一歩となる研修でした。

今後は、エンドオブライフ・ケア援助士として協会認定を受け、今回受講した東大阪のメンバーを中心に、各現場で個人の実践を積み重ね、学んだ枠組みを活用しながら組織や地域で事例検討を行うなど、継続的に学んでいきたいと思っています。