かわべクリニック

在宅療養支援診療所

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内科・緩和ケア内科・呼吸器内科

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第18回中河内緩和ケアカンファレンスにて講演を行いました

こんにちは。看護師の川邉綾香です。
8月8日(木)に市立東大阪医療センターにて開催された、第18回中河内緩和ケアカンファレンスにて講演を行いました。

参加者は、医師4名、看護師35名、ケアマネージャー10名、薬剤師6名、その他を含めて総勢88名。
多くの方にご参加いただき、感謝です。

講演テーマは、『苦しみを通して気づく「支え」
~苦しんでいる人は自分の苦しみをわかってくれる人がいると嬉しい~』。
援助的コミュニケーションの復習(反復、沈黙、問いかけ)から、
相手の苦しみをキャッチする、相手の支えをキャッチして強める、までを
事例やロールプレイを通じて学んでいただきました。

このブログでも、講演内容をご紹介させていただきます。

突然ですが、通勤途中でガムを踏んでしまいました。
あなたはどのような気持ちになりましたか?

有名なSMAPの名曲「SHAKE」の2番の歌詞に、「今日はガムを踏んでもイライラしない。君と会えるから」という歌詞があるのをご存知でしょうか。

多くの人は、「死」は怖い、避けるべき嫌なこと、不安に見えると言います。
ところが、同じ死であったとしても、穏やかである、幸せであると見える人がいます。それはなぜでしょうか?
それは「支え」があるからです。
死を前にしても人が穏やかでいられるのは、大切な「支え」があるからなのです。

先ほどの歌詞にもあったように、ガムを踏んで「嫌、最悪、イライラ」という感情ではなく、彼女に会える幸せの感情が強くなるのです。

では、いったい何が「支え」となるのでしょうか。
私は、以下の3つのような「支え」があると考えます。

1.将来の夢
2.支えとなる関係
3.選ぶことのできる自由(自律存在)

<1.将来の夢>

人は、ただ今を生きているのではありません。
過去の出来事から生まれた、将来の夢に向けて、今を生きようとします。

将来の夢がしっかり描けている人は、今が困難であったとしても、強く生きようとする力が与えられます。
たとえば、大好きなおばあさんが脳梗塞で入院した。その時に出会った看護師さんのようになりたい。
だから今、看護師になるために苦手な科目も勉強している。

このように、たとえ今が辛くても、将来の夢があれば、生きようとする力が与えられます。

<2.支えとなる関係>

人は、一人では弱い存在です。
しかし、自分のことを認めてくれる相手を「支え」るときは、一転して強くなります。

「支え」となる関係は、現場で関わる私たちにとっても、大切な関わり方の根拠となります。
私たちが「支えられる人」だけでなく、それを「支える人」をも気づかう関係となることで
私たちは、苦しむ人にとっての「支え」となります。

<3.選ぶことができる自由(自律存在)>

苦しみを抱えた人は、何を選ぶと穏やかになれるのでしょうか?

穏やかになれる条件は、人によって異なります。

どこで療養するのか。
どのような医療を行うのか。
自分はどのような役割を持って生きるのか。
自分の存在を、誰に委ねるのか。

ただ漫然と眺めていても気づかないことを、「選ぶ」という視点で見ると、いろいろなことに気づく可能性が広がります。

私たちが当たり前だと思う一つひとつのことを、もし選べなかったとしたら…。
いかに大きな苦しみとなるのでしょうか。

人生の最終段階は、様々な形で自由が奪われる現場でもあります。
その中で、どのような配慮があれば、穏やかさを取り戻せるのかを考えていきたいと思います。

ここでは、具体的な支えを見つけるために、次の9つの視点を紹介します。

この9つの視点を覚えるためのゴロ合わせの呪文として、“両親尊き保て役割ゆだねようかな”を紹介します。

このゴロ合わせの意味は、“両親は尊い”という意味と、“その役割を保とう”という意味と、“ゆだねようかな”と思う気持ちを合わせたゴロと考えてみてください。
たとえどんなに解決が困難な苦しみを抱えた人であったとしても、この呪文を唱えるだけで、解決の糸口が見つかることでしょう。

9つの視点は、分類するための視点ではなく、苦しみを抱えた人が、穏やかになれる支えに気づくための視点であることを心に留めておいてください。

決して人生の最終段階に対応する現場は、きれいな話だけではありません。
力になりたいと願っていても、力になれないことがあります。

どれほど心を込めてケアにあたったとしても、病気を治すことができず、食事がやがて摂れなくなり、今まで歩けていたのに歩けなくなる。
こんなに迷惑をかけるならば、いっそのこと死んでしまいたい。
このような訴えをされる患者さんを前に、援助者は言葉を失うことがあります。

患者さまだけでなく、その「支え」になろうとする人も、同じように苦しんでいます。
「苦しんでいる人は、自分の苦しみをわかってくれる人がいると嬉しい」

講演会終了後、参加者のみなさまの感想を拝読いたしましたので、いくつかご紹介させていただきます。

・ゆだねる相手=信頼できる相手=自分の苦しみをわかってくれる人=聴いてくれる人

・1時間で多くの事を考えるきっかけをいただけました。日々考え続ける事が大切だと思いました。

・何よりも現場では無力であると感じています。相手の苦しみを感じた時、解決できない苦しみを痛く感じる、きれいな話ばかりではない…そう思います。向き合うこと、大切だと思います。

・支えを求めているたくさんの対象のために支える側の支え、仲間の存在は、やはりとても大きな存在だと改めて感じました。

・支えることの大切さを知ることができました。自分も支えられながら業務を行えていると思って、患者さんを支えようと思います。

また、以下のようなご意見もいただきました。次回以降の参考とさせていただきます。

・わかりやすい部分もあったが、ディスカッションを行うことで得ることの内容(何のためにしたのか)がわからなかった。

今後も、地域全体で在宅医療を支えるネットワーク「東大阪プロジェクト」として、講演会やディスカッションのなる充実をはかっていきます。

また、本研修会のフォローアップ研修をかわべクリニック内にて行ないます。
このテーマに関心を寄せる方は、ぜひご参加ください。

【第4回ELC東大阪学習会(in かわべクリニック)】
日時:11/21(木)17:30~19:00
タイトル:「苦しみを通して気づく「支え」
当クリニック看護師 川邉綾香が講師を務めます。

詳細については、以下記事をご参照ください。
[9・10・11・12月のイベントご案内]