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「藍野大学医療保健学部看護学科」にて講義を行いました

こんにちは。看護師の川邉綾香、院長の川邉正和です。2021年に堀智子先生からご縁をいただき、藍野大学医療保健学部看護学科で講義を行ってきました。

コロナ禍でこれまではオンラインでしたが、今年は初めて大学に赴いてみなさんの前でお話しをすることができました。
貴重な機会をいただいたことをこの場を借りて、改めて感謝申し上げます。

テーマ「リアルな在宅医療の現場や死について」

これまでと同様に「リアルな在宅医療の現場や死について」をテーマに講義しました。

内容は3部構成で、次のようなお話しを1時間半弱にわたってお伝えします。

  1. 在宅医療の実際。看取りの現場(VTR)。
  2. エンドオブライフ・ケア〜人生の最終段階に関わるには
  3. ひとは穏やかにエンディングを迎えられる。そのケアについて。

今回の講義の様子は、特別に許可をいただいて皆さんにもご覧いただけるようにしました。

3分割しましたので、ぜひ順番にご視聴ください。

前編
中編
後編

テレビで放送された看取りの現場映像をもとに

私たち在宅療養支援診療所は365日24時間で、ご家族と連絡が取れ、往診できる体制を確保しているので、今私たちがこの場で講義をできるということは、クリニックには代診の医師や対応可能な看護師が待機しているという訪問診療や在宅看護の紹介から話をスタートしました。

以前にABC朝日放送で取り上げられた映像をもとに、実際の看取りの現場で行われていることを解説します。

実習が始まったら看護学生の皆さんが困りやすいこと

看護学生のみなさんは、これから本格的な実習が始まるタイミングなので、以前に「実習で困ったことは何か」と質問したときの上位5つを紹介しました。

  1. 技術

  1. 実習記録

  1. 知識不足

  1. コミュニケーション

  1. 患者さんとの向き合いかた

続けて、私たちなりの試行錯誤の末に気づいた
「苦しんでいる人は自分の苦しみをわかってくれる人がいるとうれしい」
「人の話を聴くことの難しさ」
「今すぐできる“聴き上手”になるための方法」
を伝授しました。

私自身も看護学生時代には自分の無力さを感じたものです。
それでも、人生の最終段階を迎えた方に「関わる自信」を少しでも持っていただける授業となるよう、工夫しました。

これからの時代に、看護師になる皆さんは、より多くの方々が在宅看護に関わるのではないかと思います。

もちろん看護師1人ひとりのライフスタイルがあり、病院や介護施設などに勤める選択もありますが、1人でも多くの人が「在宅看護に携わってみたい」と思ってもらえるような講義になっていたことを願ってやみません。

講義の感想

今年は現地でリアルな授業でした。そのため援助的コミュニケーションの基本である「反復」と「沈黙」に焦点を当てて、マスク着用のうえで学生同士でのロールプレイも交えて学んでいただくことができました。

講義終了後、私たちのもとに足を運んでくれ、「今日の講義、めっちゃよかったです!」と直接言ってくれた学生さんが数名いたことに驚きとともに感謝。
すぐにポジティブフィードバックを受けられるのもリアルの良さでしょう。

またアンケート結果や感想はすべて拝読いたしました。どの感想を読ませていいただいても、こちらの思いが十二分に伝わったと感じられ、喜びもひとしおです。
そのうちのいくつかを、こちらでもご紹介させていただきます。

【感想】(一部抜粋)
  • 今回の講義を受けるまで、実習で患者さんとコミュニケーションを取るのは何を話したら良いかわからず、不安でいっぱいでした。しかし、お話を聞いて「患者さんが言ったことを反復すること」や「患者さんが考える時間が持てるよう沈黙の時間を作ること」で患者さんが自分を理解していると感じ、嬉しくなったり、自分の気持ちを整理できたりするため、話すより聞くことに重きを置くことが大切であると学びました。
  • 最期の在り方についてとても考えさせられる講義でした。なかでも在宅で最期を迎えたいと思う患者さんとの接し方が印象的でした。患者さんから信頼され、本当の思いを引き出すためのコミュニケーションの技術では反復と沈黙の効果性についてよく学べました。その技術は今の私たちでも行えると感じたのでこれから実際に意識して、活用できるようにしていきたいと思いました。
  • 最初の動画で瞬間こそは映されなかったものの、人が亡くなる直前・直後の時間を初めて見ました。あまりにも突然で「このようなことはあるのか」と驚きました。長女さんの言動から看護師や医師と良好な関係を築き、患者さんの思いを遂げられたのだと思い、私も少しでもこのような看護ができるようになりたいと思いました。
  • 始めはあまり興味がなかったのですが、映像から凄く引き込まれとても充実した90分でした。大学に入って初めて感じた「もっと受けたい」と思った授業でした。先生たちのコンビネーションもよく、実際に反復を行う体験では先生が見本で見せてくれたときに間違えてしまったことで「間違えてもいいんだ」という安心さができた。本当に充実した時間でした。
【質問1】私が基礎看護実習Ⅱで受け持たせて頂いた患者は難聴があり、コミュニケーションツールは筆談でした。この特別講義でご教示頂いた、援助的コミュニケーションの「反復」は筆談のようなコミュニケーションツールを使う方にも使用することは可能ですか
【回答1】
筆談や手話など、様々なコミュニケーションツールが存在しますが、どの手段であっても、聴く姿勢と誠実さは変わりません。そのため、「反復」と「沈黙」という手法が重要です。例えば、筆談の場合でも、相手の述べた内容をよく読み取り、「〇〇なんですね」と反復しつつ、それを書き記し、相手の目をしっかりと見ることが大切です。これにより、相手は理解されていると感じることでしょう。(川邉綾香)
【質問2】在宅医療は病院と異なり、患者に長期間寄り添っている分、医療者側も感情移入してしまうことがあると思います。そのような患者が最後を迎えた際、医療者側にも精神的なダメージは多少なりもとあると思います。その際、医療者側のメンタルケアはどのようにされてますか。我々、将来看護師になる者として患者の最後に立ち会うことは避けては通れないと思いますので、何かありましたら教えていただけると幸いに思います。
【回答2】
在宅や病院を問わず、医療者が患者さんと真剣に向き合うほど、感情移入してしまうことがあります。そして、医療者側にも精神的なダメージが多少なりとも生じます。
病院や在宅のケアにおいても、患者さんに関わった医療スタッフが集まり、デスカンファレンスを行い、ケアの振り返りや各々のスタッフの気持ちを吐露し合える場を設けられます。ここでも、お互いに聴く姿勢が重要であり、私たちの苦しみも「わかってもらえる同僚がいる」と感じるだけで、心の負担は軽くなります。どんな人に対しても、どんな状況であっても「聴く」ことは大切だと考えています。(川邉綾香)

みなさまの熱い思いを感じ、私たちの言葉を理解していただけた講義になったと思います。
今年度は、医療介護福祉職だけでなく、職種をさらに広げ、リアルに顔の見える関係を築く一年としていきます。

【今週の東大阪プロジェクト】

東大阪プロジェクトの活動の一部をご紹介させていただきます

HANAZONO EXPO 2023【東大阪プロジェクト出展案内】
https://bit.ly/45FlNlf

誰もが安心して自分らしく生ききる社会の実現を目指して。

  • 折れない心を育てる「いのちの授業」
  • 「縁起でもない話をしよう会」
  • わたしを癒す「セルフタッチング」
  • 「和漢膳」
  • 「QNEW東大阪」

…といった体験型イベントを開催します。

東大阪プロジェクトは、私たち各々が持つ「強み」を活かすことでお互いに気軽に相談できる『誰もが主役の街』を目指します。

開催:2023年11月3日(金)~4日(土)

会場:花園中央公園(東大阪市松原南1丁目1-1)

※クリックするとPDFが表示されます

ぜひ、お気軽にご参加ください!

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