かわべクリニック

在宅療養支援診療所

かわべクリニック

内科・緩和ケア内科・呼吸器内科

〒577-0843 東大阪市荒川3丁目5番6号 MMビル203

TEL : 06-4309-8119FAX:06-4309-8118

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第7回ELC東大阪学習会をオンライン開催しました

かわべクリニック看護師の川邉綾香は、エンドオブライフ・ケア協会認定ファシリテーターとして、かわべクリニックを中心に東大阪地区で医療・看護・介護に携わるメンバーと共に、意見交換や学習会を定期的に開催しています。

新型コロナウイルスの流行に伴い、集まって学ぶ機会が制限され、医師会館で緩和ケア研修会を開催することは難しくなりました。
一方、終息するまで待機していると緩和ケアの学びの機会が減少し、それがゆくゆくはがん患者さまにとって不利益となります。

「出来ない理由を考えることは簡単。だからこそ、前向きに物事を進められないかと何らかの方法を考えることが大切ではないか」

この言葉を合言葉に、「東大阪プロジェクト」メンバーで協議を重ね、ようやく、先日5月28日(木)に「第7回ELC東大阪学習会」を、オンライン会議システム「zoom」上で開催することができました。

テーマは、基本に立ち返り、「苦しむ人への援助と5つの課題」から反復と沈黙。
事前の募集を大きく上回る23名の参加(オンライン上は18名)をいただきました。

エンドオブライフ・ケア協会の学習会の「肝」は実践から学ぶこと。
双方向性をいかに実現するかが課題でした。

まず、1対1での反復、沈黙の基礎を受講者と講師という形で練習。
これはzoomそのものと、今日の流れに慣れるという作業になります。
そして、実際の事例を使用しての反復、沈黙へ。
これは想像以上にスムーズに声を出して、体験していただけていました。

学習会終了後、参加者から以下のようなコメントをいただきました。

看護師:
ブレイクしたときに、ファシリテーターがいたので進行がスムーズでした。実際の事例からの逐語録からの考察は、まさにELCが実践から学ぶものであることを実感いたしました。歌詞からの考察には、なるほど…と思いました。小澤先生の歌ネタではありませんが、こうして文字にしておこして音楽も流れて文字を歌詞を追ってゆき、自分のなかで考える時間ができるので、いいなと思いました。ただ、音が小さくて聞こえにくかったのが残念です。

看護師:
テーマが援助的コミュニケーションであったため、本来は相手を前にして学習会をすることが望ましいと思っていたため、どのような学習会になるのか不安であった。しかし、実際に画面を通じで伝わっている感じを体験でき、非常によかったと思う。

介護支援専門員:
自分の日常を見直すことができました。やっているつもり、でもできていないなと振り返ることができました。意識し続けるためにも、繰り返し練習する必要があると思いました。参加の環境が悪く(子どもが騒いでいたので)顔も出せず、講義中も飛んでしまい、失礼しました!

看護師:
オンラインでの研修でもロールプレイを行う対応が、それなりに効果があった。感情を込めて援助者役、患者役を行ってはみたが、感覚は何度も行っているので理解はしているが初めての人はどこまで理解が深まるかは少し分かりにくいかなと思った。

介護支援専門員:
死に直面した方に死にたいと、言われたら黙り込んで何を言ってあげればいいのかと考えてしまっていたけどご本人が言われたことをそのまま言い返してあげるだけで気持ちを分かってくれた、と思って頂けるなら実践していこうと思った。

医学生(6年生):
今後、このような場面には何度も出会い、そのときにかける言葉が見当たらなくて悩むことがあるだろうと思っていましたが、今回の学習会で学んだことを実践していけば相手との距離も少しは縮まっていくのではないかと思いました。

介護支援専門員:
講義中心だと思い油断していました。指名後の発言 個別での自己紹介など、ただ聞き取るだけの学習会ではなく参加することがたくさんあり、これからの可能性を感じました。 有意義な時間でした。

運営についてのフィードバックとして下記のようなご意見をいただきました。

・今回はオンラインでしたが、オンラインだからこそあまり積極的でないような方も参加しやすいのではないかと感じました。初めて参加させていただきましたが、実際に現場に出たときにためになることばかりでとても勉強になりました。

・参加型の勉強会で、実際に練習させてもらえて良かったです。正和先生や、綾香さんの声も聞きやすく、説明もわかりやすかったです。

・参加者への配慮と、誠実さ、伝えていきたいという熱意が伝わってくる学習会でした。優しい雰囲気が参加しやすさに繋がっていると思います。スライドは共有画面で共有すると見やすいかもしれませんが、講師の方の動きなどが見えるので、ビデオで全体を写すのもよかったです。

私たちは、この学習会に参加していただいた方に、何か一つでも「お土産」を持って帰ってほしいと願っています。
明日からの実践につながるリアルな研修となるよう、今後も工夫を重ね、より充実した学習会の開催を目指してまいります。

次回の第8回ELC東大阪学習会は、8月6日を予定しています。お申込み方法は本ブログやフェイスブックにてご案内いたします。

みなさまのご参加をお待ちしております。

【看取りの報告書】Wさまのこと

クリニックでは、患者さまが最期の時間を過ごされたご様子を「看取りの報告書」としてまとめています。

今までかわべクリニックがお見送りをした患者さまの「看取りの報告書」を、担当看護師の思い出と共にご紹介していきたいと思います。

誰のためにどこで過ごすか…。穏やかに過ごせる場所とは。

Wさまのこと
~妻のことを思う夫。そばにいることのできる安心感~

[看取りの報告書]

いつもお世話になっております。
貴科からご紹介いただいた、Wさまについてご報告させていただきます。
貴科を受診された日の夕方に初回訪問を行い、ご本人から入院を拒んでいた理由をお聞きしてみました。
そして、直接口にはされないものの、奥さまの体調や足が不自由な事で毎日の見舞いが大変である事を気にされていた気持ちを汲み取りました。
そこでWさまには、自宅でも病院と同じ医療が受けられること、私達が奥さまの支えとなることをお伝えさせていただきました。

2日に1回は訪問診療・看護を交互に行い、前胸部~頸部の腫瘤に対しての疼痛および症状のコントロールに努めました。
介入後より、病状の進行と共に、早々に食事摂取量も低下し、臥床時間が延長。
奥さまには『看取りのパンフレット』をお渡しして、安心して見守っていただけるようににお伝しえ、比較的穏やかに過ごされていらっしゃいました。
そして3週間後、奥さまに見守られる中、安らかに永眠されました。

奥さまより、「お父さんはとにかく頑張り屋さんやった。辛かったと思うけど弱音吐かなかった。自宅で最期まで過ごせて本当に良かった。」とのお言葉をいただきました。
短い時間でしたが、Wさまやご家族の気持ちの支えとなれた事を嬉しく思います。
ご紹介ありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します。

[ケアを振り返って]
多くの患者さまや家族さまは、「病院に入院することの安心感」と「入院している間に会えない不安感」の間で苦しんでいらっしゃいます。
会えない寂しさだけでなく、面会に来るご家族さまの負担も考慮しなければなりません。

W様の場合は、高齢で足の不自由な奥さまが自宅から駅まで徒歩20分、電車を乗り換え、駅から病院まで徒歩15分。
日中のほとんどを病院の椅子で過ごし、洗濯物を持って帰る。そして、翌日もまた朝から面会に行く…。
これでは、奥さまには休む時間も場所もありません。
今までは病院に行かなければ治療はできないため、行きは電車、帰りはタクシーに乗って通院をしていらっしゃいました。

最期を意識した時に、Wさまは住み慣れた自宅で過ごしたいという気持ちがもちろんありましたが、自分が家で死にたいと言ったら妻は不安だろうか、と心配なさいました。
もし病院を選んだ場合は、奥さまに毎日面会に来てもらうのも大変。
会いたいけど、会えないのは寂しい。
そのような苦しみの前で、何を選べば心が穏やかになれるのか。

Wさまは、病院から提案された在宅訪問診療を選びました。
私達が介入した時点では、ほとんど寝たきりのWさま。
奥さまは「私にできることは私がします。病院に行くより、自宅で介護する方が断然楽ですので、やれます!」とおっしゃってくださいました。
そして、病院と同じ緩和治療を行い、穏やかな時間を過ごす事ができました。

今、世界中が新型コロナウイルスの影響による医療崩壊が懸念されています。
緩和ケア病院、ホスピスも例外ではなく、影響が出ています。
感染拡大防止のために面会制限が設けられ、最期の時を一緒に過ごす事が難しくなっています。
このような弊害、苦しみの中どのような選ぶことのできる自由があるのかを考えつつ、私たちは、「自宅で過ごしたい」と思った患者さまをいつでも受け入れられるように、準備をしておかなければなりません。

【看取りの報告書 バックナンバー】
・Vさまのこと
・Uさまのこと
・Tさまのこと
・Sさまのこと
・Rさまのこと
・Qさまのこと
・Pさまのこと
・Oさまのこと
・Nさまのこと
・Mさまのこと
・Lさまのこと
・Kさまのこと
・Jさまのこと
・Iさまのこと
・Hさまのこと
・Gさまのこと
・Fさまのこと
・Eさまのこと
・Dさまのこと
・Cさまのこと
・Bさまのこと
・Aさまのこと

第7回および第8回ELC東大阪学習会を、オンラインで開催いたします。

【第7回ELC東大阪学習会(web開催)】

日時:5月28日(木)18:00~19:30
場所:オンライン
定員:15名(残席わずか)
講師:かわべクリニック 川邉綾香(ELC認定ファシリテーター)

※お申込みいただいた方へ、事前に接続先のURLをお送りします。
フェイスブックページ→https://www.facebook.com/events/172639684097521/

◆くわしくは、ここをクリックしてチラシでご確認ください◆

【第8回ELC東大阪学習会(web開催)】

日時:7月30日(木)18:00~19:30
場所:オンライン
定員:15名
講師:訪問看護ステーションmusubi 米島ゆかり(ELC認定ファシリテーター)

※お申込みいただいた方へ、事前に接続先のURLをお送りします。
フェイスブックページ→https://www.facebook.com/events/243327350223982/

◆くわしくは、ここをクリックしてチラシでご確認ください◆

今、出来ることを 
~「第20回 布施緩和ケア研修会」をオンラインで ~

新型コロナウイルス流行に伴い、集まって学ぶ機会が制限され、今までのように医師会館で緩和ケア研修会を開催することは難しいと感じています。
一方、流行が終息するまで待機していると緩和ケアの学びの機会が減少してしまい、ゆくゆくは患者さまにとって不利益となります。

先日、東大阪プロジェクトの仲間である司法書士の福村雄一先生から
「優秀な方にとって、出来ないと逃げる言い訳を考えることは簡単だろう。今、大切なのは出来ない理由を考えるのではなく、出来る方法、前向きにことを進める方法を考えることが必要ではないか」
とのお話をいただきました。

私はハッとしました。
日々の忙しさの中、どこかで逃げていた自分に気づかされました。

新型コロナウイルスを言い訳にせず、自分が向き合わなければならないことはなにか。
今、出来ることはなにか。

本当ならば3月はエンドオブライフ・ケア協会 小澤竹俊先生、5月には大阪赤十字病院救急部部長 西村英祥部長の緩和ケアの講演会・研修会が開催できていたはずでした。
今の私に出来ることは、休むことなく在宅における緩和ケアの発信すること。
この失った講演会・研修会を悲しむのではなく、次に繋げられないだろうか。

私が所属している布施医師会においても、この 4 月から月 2 回の定例理事会が、ビデオ通話システムの「Zoom」を用いて開催されています。
上手く接続できるのだろうかといったシステム上の不安、顔を合わせなくても細かなニュアンスは伝わるのだろうかといったコミュニケーションの不安がありました。

しかし、事前の確認事項というスライドを配布し、基本操作を共有することにより、不安は杞憂に終わりました。
所有している器材、機種を問わず、場所もクリニックでも自宅でも出先でも問題がなく、また参加されている先生方の年代も問題はありませんでした。
20名ほどということもあり、全ての先生方の顔が良く見えるため、コミュニケーションにも不足は感じられませんでした。

また、エンドオブライフ・ケア協会が主催で「新型コロナショックに備えて私たちができること」、 「折れない心を育てるいのちの授業:講師トレーニング」が既にオンライン開催されており、私も参加させていただきました。
250名ほどの参加者になっていましたが、運営がきちんとなされていれば、時間の経過もあっという間というくらい、楽しく参加することができました。

これらを踏まえると、東大阪プロジェクトとして、緩和ケア研修会も Zoom を用いて開催することは容易であるし、先延ばしにしないためにも予定を組んでしまうことが大切です(これも、福村先生からの学びです…) 。

「第20回 布施緩和ケア研修会」は、本来は6月13 日に講演会を開催する予定でしたので、この日に50名程度の規模で開催しいたします。
※Zoomの操作に不安のある方のために、同日昼に予行練習を行ないます。

【第20回 布施緩和ケア研修会】

日時:6/13(土)18:30~20:00
場所:オンライン
定員:50名(応募多数の場合、次回のご案内となります)
講師:
近畿大学医学部内科学教室腫瘍内科部門 講師 川上尚人 先生
 「新型コロナウイルスの現況、感じること」  
 かわべクリニック 看護師 川邉綾香
「新型コロナウイルス感染症の余波
~病院・在宅 自由に選ぶことのできない看取りの場所」

今回の研修会は、新型コロナウイルスの現況、最新の情報を川上先生にご講演いただき、新型コロナウイルス流行に伴い、「選ぶことが出来る自由」のひとつである「療養場所」、「心が落ち着く環境・条件」が制限されてしまった事例から、どのような配慮があれば穏やかさを取り戻せるのかを一緒に考えたいと思います。
このテーマに関心を寄せる方はぜひご参加ください。

——————–
参加を希望される方は、下記 <必要事項> をご記入いただき、メールまたはFAXにて【第20回布施緩和ケア研修会】と明記の上、お申込みください。
(応募者多数の場合、次回のご案内となります。)
※開始時間が18時30分からになっていますので、ご注意ください!

<申込必要事項>
(1)お名前(ふりがな):
(2)連絡先・メールアドレス(必須):
(3)勤務先(ご施設名):
(4)職種:

<メール送信先>kawabecl@yahoo.co.jp (かわべクリニック)
<FAX送信先>06-6721-5838(布施医師会)

※お申込みいただいた方へ、事前に接続先のURLをお送りします。

※Zoomのご利用にご不安のある方を対象に、開催日(6/13(土)14:30~15:00)に、接続テストの機会をご用意いたします。
ご自身でも、事前に以下リンク(無人のテスト環境)をクリックして、問題なく接続できることをご確認ください。
 https://zoom.us/test 

※Zoomの環境設定と操作などは、エンドオブライフ・ケア協会がうまくまとめられていますので、以下もご参照ください。
 https://endoflifecare.or.jp/zoomsettings/  

<締切>
6/5(金)
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◆くわしくは、ここをクリックしてチラシでご確認ください◆

今のわたしに出来ること。
今だからこそ、在宅医療の良さを伝えたい。

「誰かの支えになろうとしている人こそ一番、支えを必要としています」
東大阪の地で同研修会を定期的に開催し、支え、支えられる関係性を築いていきます。

かわべクリニックに、新たな仲間が加わりました。

2020.04.22

卒業、入学、就職…春は、出会いと別れの季節ですね。
中には、心機一転新たな職場で働き始めたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

かわべクリニックでは、私たちと同じ志で在宅医療に取り組んでいただける方を求めて、定期的に医師、看護師、スタッフを募集しています。


「在宅医療の未来を創る 訪問看護師を募集します」

総合病院では当たり前のように行われている医師とのディスカッションや、看護師が主体となった医療ケアですが、在宅医療の現場では、訪問看護が「ただのルーティン作業」となっている場面が残念ながら多々あります。
在宅医療、特に病状の急変が多いがんの終末期医療の場面では、看護師が主体的に判断し、医師と対等の立場で意見を交換し、ケアをリードしていく必要があります。
かわべクリニックでは、医師と看護師が常に同じ目線に立ち、患者さま一人ひとりにとって、よりよい「最期」を迎えられるようなきめ細かなケアを目指しています。
ぜひ、私たちと一緒に在宅医療の未来を創っていきませんか。
ご応募をお待ちしております。

このとてもハードルの高い募集にも関わらず、面接に来て下さる方が多くおられることに本当に感謝しています。

そんな中、新たな出会いがありました。
今年の4月より、かわべクリニックに新たに看護師、管理栄養士が加わりました。
まずは、本人よりご挨拶をさせていただきます。


<看護師 山﨑菜央>

患者さまやご家族さまの「家に帰りたい」という望みを叶えたいと思ったことがきっかけで、在宅医療に関心を持ちました。
初めての経験で不安もたくさんありますが、先輩看護師を見習って、患者様やご家族の支えとなれるように、頑張っていきたいと思います。

<管理栄養士 文野瞳>

大学卒業後、急性期・回復期病院にて患者様の栄養管理に従事してまいりました。
その中で、在宅療養を希望された方より食事への不安を伺う場面が多く、管理栄養士として少しでもお役に立てる事があるのではないかと、在宅医療への道を志しました。
食を通じて、皆様の笑顔を増やせるようサポートさせて頂きたいと思います。

近々、ホームページも刷新予定です。
お楽しみに!

【看取りの報告書】Vさまのこと

クリニックでは、患者さまが最期の時間を過ごされたご様子を「看取りの報告書」としてまとめています。

今までかわべクリニックがお見送りをした患者さまの「看取りの報告書」を、担当看護師の思い出と共にご紹介していきたいと思います。

私にしか出来ないこと。残された息子が困らないように…

Vさまのこと
~すべてをかわべクリニックさんにお任せします。
最期までコーディネートしてください~

[看取りの報告書]
退院支援課 A様

いつもお世話になっております。Vさまについてご報告させていただきます。

昨年の9月に、小笠原文雄 先生の書著『なんとめでたいご臨終』を手に、「私もこのように亡くなりたい、その願いを叶えていただけますか?」とクリニックに来院されたVさま。
早くに夫を亡くし、彼女お一人で2人のお子さまを育て上げ、これからと言う時にガンになり、手術したものの、再発。
ガンが治って欲しいという期待と、治らないという覚悟の間で葛藤されていました。

Vさまの診察では、常に彼女の苦しみを聴き、Vさまにとって“わかってくれる人”になることが、彼女の緩和治療であったことを教えられました。
訴えは多々ありましたが、その中で解決できる苦しみ、優先順位の高い苦しみに分けて対応。
症状が落ち着いている時には、お母さまと旅行に行くなどの思い出作りをされました。
また、残される息子さまのためには、早々から遺産の整理を行い、亡くなった後に困らないようにと全てを段取り。
そして、母より先に逝く気持ち、子を残して逝く気持ちも、私たちに吐露なさっていました。

1月の末日、ご家族さまに見守られる中、安らかに永眠されました。
Vさまは、自分自身を見つめ、自分がどうありたいかを考え、自分の願いを叶えるために自分のすべき事を考え続けた方であったと思います。
私たちは彼女の苦しみを共に味わい、彼女の「幸せ探し」のお手伝いが出来て良かったと思います。
今後ともよろしくお願い致します。

[ケアを振り返って]
小澤竹俊先生の著書1)2)
「苦しみを抱えた人がどのようなことを選ぶことができると穏やかになれるのか」という視点を持つことが必要だと記されています。

Vさまもまさしく、自分の予後が長くないとわかった上で自分がどこでどのように過ごしたいのかを探し、涙ながらにクリニックにいらっしゃいました。
初回訪問から心が穏やかになるまでの2~3週間は、毎回の訪問でしっかりと話を聴き、何が苦しく、その苦しみはどのようにして解決できるのかを、Vさまご自身が言葉にしつつ、自分の気持ちと向き合う時間としました。

そしてVさまは、以下のような判断をなさいました。

・療養場所
絶対に家!入院は嫌、母も足が不自由で面会が大変

・心が落ち着く環境
亡き夫が建てたこの一軒家、長男もいるので夜間は安心

・尊厳
私が亡くなった後も息子たちが困らないように…。
9年前に夫が心筋梗塞で急死したため、途方に暮れる間もなく、息子を育てることで必死であった

・希望
最後まで自分のことは自分でしたい

・保清
看護師さんに任せる

・役割
母として娘として迷惑かけないように、私に出来ることはすべてする

・ゆだねる
ADLが低下してからは、実母に対して身の回りのお世話をお願いするようになっていった

・栄養
好きな物を枕元に置き、少しずつ口にする

・お金
夫が急死して、夫の財産や資産等の手続きに苦労した経緯があり、息子たちにそのような目には遭わせられない。
私はガンであり、予後は数カ月だけれどでも、まだ時間はある。

彼女にとって一番安心したかったのが、財産整理でしたので、「お金のことに詳しい人はいませんか?」という依頼がありました。
私たちは、医療、緩和ケアにおいてはプロ意識を持って仕事を行っています。
ただ、今回のように資産や財産、残される家族への遺言など、詳しくないのが正直なところです。
そこで、司法書士さんに介入していただき、対応をお願いし、彼女の望む形で整理することができました。
すると、彼女はさらに穏やかになり、「これで安心しました」と永遠の眠りにつかれました。

私たちは、勉強会などでも地域包括支援、多職種連携などと言いますが、どうしても在宅医療・ケアチームと考えてしまいがちです。
でも、一人の人生を見た時に、病だけではなく“生き方”の終わりまで支えるという視点で考えると、司法書士も、ちょっと特殊に思えるかもしれませんが、大切な存在です。
これからも、本当の意味での多職種で仲間を増やし、患者さん家族さんを支えていきたいと思います。

苦しみを支えるのが私たちのケアの一つですが、患者さま自身が自分を見つめ、自分を受け入れるまでの葛藤も大切な時間だと感じました。
まさしく、Vさまの『幸せ探し』の4カ月だったと思います。

参考文献:
1)「死を前にした人にあなたは何ができますか?」医学書院 小澤竹俊著
2) エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座 エンドオブライフ・ケア協会

【看取りの報告書 バックナンバー】
・Uさまのこと
・Tさまのこと
・Sさまのこと
・Rさまのこと
・Qさまのこと
・Pさまのこと
・Oさまのこと
・Nさまのこと
・Mさまのこと
・Lさまのこと
・Kさまのこと
・Jさまのこと
・Iさまのこと
・Hさまのこと
・Gさまのこと
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