かわべクリニック

在宅療養支援診療所

かわべクリニック

内科・緩和ケア内科・呼吸器内科

〒577-0843 東大阪市荒川3丁目5番6号 MMビル203

TEL : 06-4309-8119FAX:06-4309-8118

お問い合わせ
求人情報

【看取りの報告書】Sさまのこと

クリニックでは、患者さまが最期の時間を過ごされたご様子を「看取りの報告書」としてまとめています。

今までかわべクリニックがお見送りをした患者さまの「看取りの報告書」を、担当看護師の思い出と共にご紹介していきたいと思います。

退院前カンファレンスで予後数週間以内と説明はされていたものの…
一日でも長くそばにいたい。そんなに急に悪くなるなんて…

Sさまのこと
~思った時に行動すべき!「帰りたいと思った時が帰る時!」
クリニックの理念をご家族さまと共有~

[看取りの報告書]
退院支援課 A様

 いつもお世話になっております。Sさまについてご報告させていただきます。

退院してご長女さまのご自宅に戻られて安堵していたのもつかの間、すぐに嘔気、倦怠感、疼痛が増強し、薬物調整によるコントロールを図っていましたが、病状は急激に進行。
急変の可能性も高く、予後も厳しいと判断。

退院早々ではありましたが、旦那さまとご長女さまにその旨をお伝えしたところ、
「この家は長女の家だし、小さな子もいるのでここでは看取れない。でも、先生達がこのように毎日来てくれるのであれば、私達の家に連れて帰って最期まで看てあげたい」と旦那さまから言われました
ただ、ご家族の中では「まだそんなに早くないだろう」という雰囲気がありました。
幾度となく、「急ぐ事が望ましいと」とご説明し、ケアマネさんを中心に移動の手配を行い、その翌日にはご自宅に戻られました。

Sさまは、急な移動に驚いた様子も見受けられましたが、意識レベルが低下しつつある中、自宅に戻れたことを嬉しく思うような表情で過ごされていました。
日々状態が悪化する中、次女さまを中心に付き添われ、東京在住の二人の息子さまも揃われ、大きなご自宅で家族の時間を過ごすことができました。

そして退院から8日後、ご家族に見守られる中、安らかに永眠されました。

旦那さまより、「ギリギリの状態だったんですね。みなさんのアドバイスのおかげでこうやってみんなで見送れてよかったです」とのお言葉をいただきました。

ご報告が遅くなり申し訳ありません。ご紹介ありがとうございました。
今後ともよろしくお願い致します。

[ケアを振り返って]

「帰りたいと思った時が帰るとき」。その希望を叶えるためにかわべクリニックは動いています。

病院から自宅に戻る理由は、患者さまによって様々です。
「本人は帰りたいけど、家族は不安」
「状況はわからないけど、本人が帰りたいと言うなら」
「病院の先生がそろそろ帰りませんか?と言うので」

どんな理由であれ、患者さまご自身に
「どうして自宅に帰りたいと思っているのか」
「帰ってからどのようなことを期待しているのか」
を確認しておくと、ご自宅に戻ってからの生活がスムーズになると思います。
患者さまのご希望、夢のために、私たちは何が出来るのかを考えるところから、支援がはじまります。

患者さまやご家族さまは「退院したら動ける」と思っている場合が多くありますが、現実はそうでないこともあります。
退院して初めて、「こんなはずじゃなかった」と苦しむケースもあります。
ご家族さまは、患者さまの入院中の24時間の様子を知っているわけではないので、
「こんなにも寝ているとは、こんなにも動けないとは…」と初めて現実を知り、動揺してしまうのです。

Sさまの場合も、当初は長女さまの家に帰ることになっていましたが、それはなぜなのか。
患者さまの現状をご本人やご家族さまが理解した上で、そう希望しているのか。
それを明確にする必要がありました。

今回のように状況が刻々と変化する中で、病状を説明し、今後の予測をお伝えすることで、患者さまが「最期をどこで過ごしたいか」を明確にするお手伝いが可能となります。

最初に状態が悪いとご説明したとき、ご家族さまは緩和ケア病院に戻ることを希望されました。
もちろん、その選択も正解の一つではあります。
しかし、ご家族さまが安心してSさまを見守れる環境とは?を考えたときに、住み慣れたご自宅へ戻り、ご家族が自由に出入りできる場所を求められたのです。

そうと決まったら、すぐに実行に移す!
訪問看護ステーションとケアマネージャーに協力を求め、安全かつ早急に対応することで、Sさまとご家族さまのご希望を叶える事ができた、と思います。

私たち医療スタッフは、多職種間ですり合わせを行うことはもちろん、ご本人・ご家族さまと意思疎通を図り、みなが同じベクトルで「穏やかに最期まで過ごす」を目標に、関わり続ける必要があのではないでしょうか。

※プライバシーに配慮し、お名前はアルファベットとさせていただきました。

【看取りの報告書 バックナンバー】
・Rさまのこと
・Qさまのこと
・Pさまのこと
・Oさまのこと
・Nさまのこと
・Mさまのこと
・Lさまのこと
・Kさまのこと
・Jさまのこと
・Iさまのこと
・Hさまのこと
・Gさまのこと
・Fさまのこと
・Eさまのこと
・Dさまのこと
・Cさまのこと
・Bさまのこと
・Aさまのこと

医師会ってなんだろう?!(中編)

2020.01.15

前編からだいぶ時間が経ってしまいましたが、
「医師会ってなんだろう?!」中編をお届けいたします!

前編では、医師会の活動について報告させていただきましたので、
今回中編では、医師会の中枢である「理事会」の活動を報告させていただきます。


  
役員業務として、大枠で下記3つがあることは、前回ご説明した通りです。

・庶務
「庶務」「広報」「会計・税務」「厚生」「雑誌」「男女共同参画」
・広報
「医療保険」「学術」「認知症」「緩和ケア」「在宅医療・介護保険・生涯」「病病・病診連」「ICT」
・会計・税務
「学校医」「看護学院」「認知症」「医療情報・安全」「産業医・スポーツ医」「勤務医」「救急医療」「保健公衆衛生・公害」

3つの業務を担当する各々の理事が1年間の事業計画を立て、会期末に事業報告を行ないます。
では、実際の活動報告についていくつか見ていきましょう。

実際の活動(1)在宅医療

「在宅医療」の活動のひとつに、地域包括ケアシステムへの参画があります。
先日、同担当理事が「第1回日本地域包括ケア学会に参加され、理事会でその内容を報告されました。
その報告内容を少しご紹介します。

第1回日本地域包括ケア学会

1背景:
2025年、団塊の世代が全て75歳以上(後期高齢者)となる。さらには、2040年、人口が現在の1億2600万人から1億1000万人と減少、それに伴い85歳以上が人口の約30%を占める。これらの対策は喫緊の問題で、それには地域包括ケアシステムの速やかな構築が必要とされる。

2理事長講演:
2040年の多元的社会に向けた地域包括ケアシステムの深化

3シンポジウム①:
社会的処方のあり方を考える

4シンポジウム②:
コンピテンシー。優秀者の行動様式・考え方など、その特性を考慮し活性化する。IPW(専門職・多職種連会議)。複数の領域の専門職がそれぞれの技術と知識を提供し合い、相互が作用しつつ共通の目標の達成を患者・利用者と共に目指す共同活動。

5シンポジウム③:
医療介護連携事業の今後。現在、市町村で在宅医療・介護連携支援推進事業が行われているが、これを市町村が医療計画・介護保険事業の計画を立て、これらを都道府県が医療介護連携の体制整備に活用する。

その報告を受け、会長は「地域包括ケアシステムにおいて、職種の上下はなく、またリーダー的役割を果たす職種もその場における適切な方が果たすべきである。看護師がその立場を担うことが多いのではないか」とまとめられました。

実際に同学会は朝9時から夕方5時までの8時間に渡って日本医師会館(東京都)で開催されており、参加することはなかなか難しい。
このような形で理事会で報告していただけるのも、医師会員にとって非常に有用なことです。

実際の活動(2)保健公衆衛生・公害

「保健公衆衛生・公害」の活動のひとつにインフルエンザの動向把握があります。
先日、同担当理事が令和元年度感染症発生動向調査委員会に参加され、理事会でその内容を報告されました。
その要点をのぞいてみますと…

・インフルエンザによる学級閉鎖情報を通年化
 東大阪市の基幹定点、類似症定点、小児科定点などからの情報は全体像の増減は分かるが、地域性、局在性が把握できない

・感染症定点報告(2017 vs 2018)
 東大阪市が全国平均より高い疾患は2疾患

・学級閉鎖状況

・四種混合ワクチン テトラビック皮下シリンジ

・第二期MRワクチン接種率報告

・風疹の第五期にかかる風疹抗体検査及び予防接種状況

これらの報告を受け、布施医師会員に必須である情報をFAXで共有。
特に今回の風疹第五期にかかる風疹抗体検査で陰性が判明し、ワクチン接種に至った割合が全国および大阪府平均に比して東大阪市は低く、周知徹底する必要があるとされました。

実際の活動(3)学校医

「学校医」の活動として、こちらも大阪府医師会医学会総会で発表をされています。

テーマ:
当医師会における学校内科検診での着衣脱衣に関する実態調査および学校医の意識調査
内容については割愛させていただきます。

1年ぶりの中編ですが、ここまでとさせていただきます。
お付き合いいただきありがとうございました!

最後に、私が主担当している「緩和ケア」からご案内いたします!

【2020年 布施緩和ケア研修会 総会】

日時:令和2年 3月6日(金)18:30~21:00
場所:イコーラムホール(希来里6階)(東大阪市岩田町4-3-22)
定員:200名(医療・介護関係者)
主催:布施医師会

◆くわしくは、ここをクリックしてチラシでご確認ください◆

2020年の抱負 本年もよろしくお願い申し上げます!

謹んで新年のお喜びを申し上げます

新しい年を迎えるにあたり、改めて、私たちが在宅医療にかける想いを、東大阪市老人クラブ連合会が発行する「シニアひがしおおさか第101号」にコラムとして掲載されました。

今年の抱負とあわせて、ご紹介させていただきます。


お医者さんからのいきいきコラム No.17
「人生の最終段階」について考える

かわべクリニックは、患者様の「人生の最期を住み慣れた自宅で過ごしたい」という希望を叶える、在宅訪問診療に特化したクリニックです。平成27年8月に東大阪市河内永和駅そばに開院しました。
「人生の最終段階」について、考えたことはありますか?最期を迎えるとき、どこで、どのように、誰と過ごしたいのか。「縁起でもない」と思わずに、ぜひ考えてみてください。これは「人生会議(アドバンス・ケア・プランニング)」と言い、厚生労働省が発行するパンフレットでも『自らが希望する医療・ケアを受けるために、大切にしていることや望んでいること、どこで、どのような医療・ケアを望むかを自分自身で前もって考え、周囲の信頼する人たちと話し合い、共有することが重要』と推奨されています。
いのちの危険が迫った状態になると、約70%の方が医療への希望を伝えることができなくなる、と言われています。事前に話し合いをしておくことで、話せない状態になっても「心の声」を伝えることができます。また本人の希望を共有することにより、ご家族やご友人の心の負担は軽くなることでしょう。 
人生の最終段階を、病院ではなく自宅で過ごしたいと思う方も多いのではないでしょうか。その希望を叶える方法はいくつかありますが、その一つが「在宅支援診療所」です。医師もしくは看護師が、患者様およびそのご家族様を24時間365日体制で支える、地域密着型のクリニックです。自宅療養中の「かかりつけ医」として、投薬やその他の医療的ケア一元的に管理するので、患者様やご家族様の負担を軽減することができます。地域では在宅療養・医療を支える様々な職種が、チーム一丸となって患者様を支えているのです。
転ばぬ先の杖として、ご自身の人生の最終段階をどのように過ごしたいのか、一度考えてみてはいかがでしょうか。

本年2020年からは、東大阪プロジェクトとして、エンドオブライフケア(ELC)、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)、いのちの授業の3つを軸に、医療・介護者だけでなく、司法書士、社会福祉士、宗教者などすべての職種を対象に広げて活動して参ります。

私たちは、在宅医療に関わる喜び、やりがいを感じられることが、「最期まで自宅で穏やかに過ごせる社会」の実現につながっていくと信じています。

いわゆる「2025年問題」まで残された時間はあまり多くありません。
「誰かの支えになろうとする人こそ支えが必要」を座右の銘とし、在宅医療に関わる様々な問題解決のために、微力ながら貢献していきたいと考えております。

本年も、何卒よろしくお願い申し上げます。

<留学に伴い…看護師さん募集いたします>

かわべクリニックでは、在宅緩和ケアを中心に活動し、
常勤医師1名、非常勤医師3名体制で24時間365日の診療を行ってきました。
この1年間、2019年1月1日から2019年12月27日までに、約70名の方の在宅看取りを行いました。

先日、当クリニックの看護師1名が、カナダで看護師となるために留学しました。
12月は現体制で乗り越えたのですが…欠員に伴い、看護師さんを若干名募集します。

主な業務は、訪問診療の準備、訪問診療陪席、診療後の処理、訪問看護に加えて、地域学習会のサポート、エンドブライフケア協会東大阪支部学習会支援などです。
電子カルテを使っています。夜勤はありません。車の免許はあれば可です。

もし、「かわべクリニックで働いてみたい!」という看護師さんがいらっしゃいましたら、以下までメールをください。
kawabecl@yahoo.co.jp

採用条件については、こちらも合わせてご覧ください。
http://www.kawabe.clinic/recruit.html
また、友人・知人の方にも、ぜひシェアしていただけたら幸いです。

多くの仲間とともに夢が実現できると信じています。
ご連絡をお待ちしております!

2019年 年末の辞
「あなたが話しかけるすべての人が、あなたの友になるようにしなさい」

2019年も残すところあと数日となりました。
みなさまにとって、2019年はどのような年だったでしょうか?

先日、当クリニックの忘年会を行いました。
忘年会では、1年間のクリニックの活動記録をご報告させていただいています。
その冒頭で少しお時間をいただき、お話をさせていただきました。

テーマは「あなたが話しかけるすべての人が、あなたの友になるようにしなさい」。
これは、川邉綾香の母校である城星学園の創始者Don Bosco(ボスコ神父)のお言葉です。
先日、いのちの授業の打ち合わせのために城星学園小学校に訪問した際、運動場に掲げられていた神父様のレリーフにこの言葉が刻まれていました。

この先、かわべクリニックが叶えていこうとしていることは、私たちだけの力では出来ることではありません。
今まで出来た、してきたと思っていたことも、一人の力だけで成し遂げたことではないのでは、とも思いました。

4年数か月前クリニック開設時に、患者さまの「最期は自宅で」「自宅に帰りたいと思った時が退院する時」という希望をかなえたい、少しでも役立ちたいと思ったことは、今も変わりません。
しかし年を経て、今はクリニックだけがこの思いを持って活動するのではなく、多くの仲間が必要であると、わかるようになりました。

まずは、一人ひとりの患者さまと真摯に向き合い、その人が望む生活やその人らしさの実現を目指したケアに努める。
そして、患者さまを支えるご家族さま、介護、医療従事者に認めていただく。
病院だけでなく、ご自宅でも患者さまの希望、段階に合わせた治療・ケア、療養ができる援助・診療体制があることを知っていただく。
そのために、「エンドオブライフ・ケア」をテーマに、様々な職種を対象とした研修会、講演会を行ってきました。

そのような中で出会ったこの言葉。
自分は果たして、話しかけるすべての人が友となるような言葉遣い、話し方を心がけてきただろうかと、改めて考えさせられました。

「あなたが話しかけるすべての人が、あなたの友になるようにしなさい」(Memorie Biografiche 10,p1183)
この言葉について、少し調べてみました。そこでは、下記のような解釈がなされていました。

相手の心をとらえることができるは術の持ち主。
それは相手を深く思いやる愛情の実り。
ちょっとした気持ちのもちようで、私たちのたわいなおしゃべりのひと時も、相手に喜びをもたらすすてきな時に変わる。
その「ちょっとした気持ち」とは、「私の思いと言葉があなたの喜びとなるように*」という祈りに近い想いです。
*『旧約聖書』詩編19編15節

わたしはクリスチャンではありませんが、患者さまに対しては、これと同じ気持ちで関わってきました。まだまだ修行中の身ですが…。
この気持ちをすべての人にすれば、多くの仲間とともに夢が実現できると信じています。

新しい年も、当クリニックの大切なクレドである

・こころ落ち着く場所で
・こころ安らかに
・こころ思うままに・・・
心を込めてサポートします。

を心に刻み、一人でも多くの患者さまの助けとなれるよう、立ち止まらずに前に進み続けることをお約束します。

かわべクリニックを支えてくださったみなさまに、心から御礼を申し上げます。
どうぞ、よいお年をお迎えください。

かわべクリニック 川邉正和 川邉綾香

【看取りの報告書】Rさまのこと

クリニックでは、患者さまが最期の時間を過ごされたご様子を「看取りの報告書」としてまとめています。

今までかわべクリニックがお見送りをした患者さまの「看取りの報告書」を、担当看護師の思い出と共にご紹介していきたいと思います。

中国人のRさま。
言葉の壁を越える愛。でも、愛だけでは救えない。
言葉の大切さを理解し、価値観の違いを受け入れることも重要…。

Rさまのこと
~言葉が全く通じない。アプリでの会話も通じているのかさえわからない…でも、言葉を超えた信頼関係を楽しいと感じる~

[看取りの報告書]
退院支援課 A様

いつもお世話になっております。Rさまについてご報告させていただきます。

中国人のRさまは、言葉の壁をどう乗り越えるのかといった課題がある中でスタートした在宅療養でした。

アカシジア症状*が持続しており、「落ち着かない、不安、どうしたらいいの?」と退院初日の夜にメールをいただき、夜間訪問いたしました。
以後、頓服の使用方法や連絡の仕方などを表に作成し、信頼関係を構築できるまで、訪問看護師と協力して1日に2、3回訪問。
精神科医師(非常勤)の協力を得て薬剤調整をしたところ、退院して1ヶ月後くらいから、まとまった睡眠確保が可能となりました。

ご主人さまは「妻を外に連れていってあげたい」という気持ちが強くていらっしゃいました。
私達は無茶だと思いましたが、ご主人さまは福祉道具担当の方と階段昇降機車椅子の練習を行い、退院10日後には毎日のように散歩ができるようになりました。
時には奈良、京都、神戸に行かれ、その写真を見せて私達を驚かせてくれる事もありました。

しかしそれから1ヶ月後には疼痛の増強、食欲の減退や嘔吐などの消化管症状が出現。
「何とか誕生日を迎えさせたい、その願いは叶うのか!」というご家族からの問いに、毎日のように状態・状況を説明いたしました。
ご主人さまや娘さまの愛情深い懸命な介護のおかげもあり、迎えた誕生日には中国のご友人や私達を招待していただきき、ご主人さまの美味しい手料理に舌鼓を打ちました。

その後は日を追うごとに状態が悪化。
予後数日と思われるときに、ご主人さまから「何もしてあげられない事が不安、ただ看ているだけなんて耐えられない!入院して点滴をしてもらった方がいいのではないか」といった訴えがありました。
娘さまのご友人に通訳を依頼し、ご主人さまが感じていることや今後の経過などをしっかり話し合い、最終的には自宅で看取る事を望まれました。

やがて、ご主人さまと娘さまが見守る中、安らかに永眠されました。
言葉の壁で悩むこともありましたが、それ以上に気持ちで繋がることが出来た関係であったように思います。

Rさまとの思い出は数多く、ここには書ききれないですが、これでご報告とさせていただきます。
ご紹介ありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します。

*アカシジア症状:静座不能症とも言い、「座ったままでいられない」「じっとしていられない」「下肢のむずむず感」「灼熱感」「下肢の絶え間ない動き、足踏み」「姿勢の頻繁な変更」などの症状

[ケアを振り返って]

英語も全く通じない、中国語しか話せないRさま。
病院では不穏(行動が活発になり、落ち着きがない状態)で、家族も付きっ切りで疲弊していました。
「このような状態だけれども、家に帰れないか?」とのご相談に、言葉が通じないという点でコールがあった時にどのように対応するのか、日々の診療をどうするのか、「苦しみを聴ける人」になれるのか…。
受け入れに迷いはありましたが、在宅チームで「何とかなるか!」と覚悟を決めました。

初回訪問では、みんなが翻訳アプリを駆使して会話をするものの、変換されている中国語が正解かもわからず、ご家族の言葉を日本語に変換してもなんだか変な日本語で困り果てていたところ、ケアマネージャーさんが中国語を話せる方を連れて来て下さり、通訳をしていただくことができました。

そんな状況で始まった在宅療養。
お互いに、言葉だけでなく全てが手探り状態であったけれど、「Rさまが穏やかに過ごせるように」という気持ちで足を運び続け、何とか徐々に症状が改善しました。

ときには訪問時刻に不在のためメールすると、「散歩中」との返信。「長い散歩だなー」と心配していたら、京都の写真が添付されており、たびたび驚かされました。
それでも、今の時間と「将来の夢」を支えに、一日一日を大切に過ごされていました。

状態が悪化してからは、いつも不安げなご主人さま、それに対して理解を示してくれる娘さまとの間でどのような会話がされているかも、こちらもわからず困っていました。
すると、娘さんのご友人で日本語が話せる方が通訳をしてくださり、中国での看取り、ケア、そしてRさまの死生観について理解することができました。
こうしてRさまとご家族さまの望まれる医療を提供することが可能となり、最期まで自宅での看取りに繋がりました。

いろいろな意味で大変だったけれど、これほどまでに在宅チームが団結して情報を共有して、一つのことに関わったことは、大きな成果であったと思います。

※プライバシーに配慮し、お名前はアルファベットとさせていただきました。

【看取りの報告書 バックナンバー】
・Qさまのこと
・Pさまのこと
・Oさまのこと
・Nさまのこと
・Mさまのこと
・Lさまのこと
・Kさまのこと
・Jさまのこと
・Iさまのこと
・Hさまのこと
・Gさまのこと
・Fさまのこと
・Eさまのこと
・Dさまのこと
・Cさまのこと
・Bさまのこと
・Aさまのこと