理想と現実のはざまで。自然な看取りの形とはなにか【看取りの報告書・BVさまのこと】
かわべクリニックでは、患者さまが最期の時間を過ごされたご様子を「看取りの報告書」としてまとめています。これまでお見送りをした患者さまの「看取りの報告書」を、担当看護師の思い出とともにご紹介したいと思います。
医療は日々進化し、これまで救うことが難しかった命が助かり、多くの人々に喜びと希望をもたらしています。この進歩は大変素晴らしいものですが、その一方で、自然に亡くなることが難しくなっている現実もあります。治療を提供する側も受ける側も、治ることや回復を強く望み、さまざまな手段を尽くします。治療に工夫をこらすこと自体は決して悪いことではありませんが、時に自然の摂理や神の意志に逆らっているのではないかと考えることもあります。
現代の社会では「自然とは何か」を見失ってしまうこともあるかもしれません。何もしないことへの罪悪感や自責の念が生じることもあります。また、命に対する意思決定が、誰のためのものか、誰がその治療を望んでいるのかという点で、全員の意思が一致することは容易ではありません。
これは決して誰かを責めるものではなく、むしろ私たちが共に考え、向き合うべき大切な課題なのではないでしょうか。
そのために「縁起でもない話をしよう会」では、日常から「どのように生きたいか」「どんな最期を迎えたいか」「誰と一緒に過ごしたいか」など、自分の死生観や生きる価値観を話し合います。こうした話し合いを、自然に行うことができる社会を、私は目指したいと思います。
縁起でもない話をしよう会の具体的な内容は以下の記事でくわしく紹介しています。あわせてお読みください。
「失って初めて、その大切さに気づく」という言葉があるように、私たちは日々の中で多くのことを見逃してしまうことがあります。でも、そこで残念がるのではなく、今できる1%でも心を向けることで、世の中は少しずつでも変わっていくのではないかと期待しています。
自然な看取りがすべてではないと私は考えていますが、それでも自然に逆らう生き方を選ぶ背景や理由に興味があります。その選択には、本人の意思や家族の思いがどのように関わっているのか、その意思は共有されているのかを深く考えさせられます。
私たちは、人生の終末期を迎えた方々が自分らしく穏やかな最期の時間を過ごせるよう、サポートとケアを目指しています。
医療や延命治療に依存せず、本人や家族の意向を尊重しながら、心身の苦痛を和らげ、できる限り安らかな時間を提供することを目標に、以下の5つのポイントを大切にしています。
自然な看取りは、本人の尊厳を守り、最期の時間をできるだけ安らかに過ごすことを目指しています。これにより、本人やその家族が意義深い時間を共に過ごせるようサポートしています。
命あるものは例外なく、最期を迎えます。それは、どのような形が望ましいのか。答えは人それぞれに異なるものです。本人の意思を第一に考えながら、今後も思いが叶うようなケアを続けていきたいと思います。
【今週の東大阪プロジェクト】
東大阪プロジェクトの活動の一部をご紹介させていただきます
下記の通り講演会を開催します(現地開催のみ)
【お知らせ・NPO法人つながりひろば講演会】
参加を申し込む地域制限はありません、お気軽に申し込みください!
日時:2024年9月28日(土)14時〜16時(13時30分開場)
定員:大阪府立中央図書館ライティホール(大阪府東大阪市荒本北2-1)
近鉄けいはんな線「荒本駅」北西400m
対象:一般市民(どなたさまでも・地域制限はありません)
参加費:無料(要申込)
講演:
がん患者と家族のための訪問診療〜大切な人に思いを届けるために〜
医療法人綾正会かわべクリニック 看護師 川邉綾香/院長 川邉正和
この講演では、がん患者さんが自宅で安心して過ごせるよう、訪問診療の役割について説明します。患者さんや家族のニーズに応じたケアを行い、終末期のケアでは患者さんの尊厳を守りながら、信頼を築くことが重要です。また、患者さんや家族の想いをケアにどう反映させるかについて、事例を交えてお話しします。
最新の記事
ハッシュタグ