かわべクリニック

在宅療養支援診療所

かわべクリニック

内科・緩和ケア内科・呼吸器内科

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【看取りの報告書】Bさまのこと

かわべクリニックでは、病院を退院してから在宅医療を受けた患者さまが最期の時間をどのように過ごされたか、その様子を病院看護師にお伝えするために、「看取りの報告書」を作成し、お送りしています。

今までかわべクリニックがお見送りをした患者さまの「看取りの報告書」を、担当看護師の思い出と共にご紹介していきたいと思います。

【看取りの報告書 バックナンバー】
・Aさまのこと

Bさまのこと
~予後が短いと告知を受けた74歳のBさま
「帰りたい!」と思った時が帰る時!~

[看取りの報告書]
退院支援課 A様
いつもお世話になっております。Bさまについて、ご報告させていただきます。

7年前に肺がんで左肺全摘術を行ったBさま。その後は再発のため抗がん剤治療を行っていらっしゃいましたが、X年春に緊急入院した際に多発脳転移が認められ、翌月には髄膜播種により予後が短いとの告知となりました。告知を受けた際、奥さまは「今すぐに連れて帰ってあげたい。退院します」とおっしゃり、その翌日すぐに退院となりました。

退院後、ご自宅では15畳程の広さの和室の部屋の真ん中にベッドを置き、そこで過ごしていらっしゃいました。お庭には奥さまが植えた蜜柑の木が見え、鳥の鳴き声が響き、その景色を見ながら安堵の表情を浮かべるBさま。
一方奥さまは、「夫のために頑張って介護をしたいけど、何をしたらいいのかわからない」と不安を訴えられため、訪問回数を増やしてオムツ交換や体位変換の方法を具体的に説明し、出来ていることを評価して、ご自宅で継続してもらえるようにと奥さまを支えていきました。

退院2日後より夜間に発熱をしたため、往診。その際に病状として予後が厳しくなる可能性を奥さまに説明いたしましたが、「このまま自宅で看てあげたい」とのご希望でした。そこからは、日に2回訪問し、午前と午後の体調の変化や今後起こり得る症状に対して、ご家族さまがどのようにケア出来るかを具体的に説明するなど、ご家族さまが不安にならないように対応いたしました。

1週間後に意識レベルが低下したものの、お孫さんや息子たちに囲まれて、お部屋には歌声や笑い声が響き賑やかな様子でした。そのような中、同日午後9時、最期の時は奥さまに見守られ、安らかに永眠されました。

奥さまより、「自宅で過ごした1週間は短かったけど、家族にとっては1カ月位の気分でした。長く濃い1週間を過ごせたことに幸せを感じました。自宅に連れて帰れて、本当に良かった。」とのお言葉をいただきました。Bさまやご家族の気持ちの支えとなれた事を、嬉しく思います。

かわべクリニック 看護師 川邉 綾香

[ケアを振り返って]
緊急入院となったときには、療養のために転院も検討していたご家族さま。しかし余命の告知された際、奥さまは「今すぐに連れて帰ってあげたい。明日退院します!」と強い決意をなさいました。
その結果、残された1週間、ご家族のみなさまはBさまと濃密な日々を過ごし、Bさまは安らかな最期を迎えることができました。

奥さまが「自宅に連れて帰りたい」と思ったその時から、私たちはその思いを支えるための行動をはじめました。
患者さまは、どのようなことがキッカケで「帰りたい」と思うのかはわかりません。当クリニックのモットーにもある「帰りたいと思った時が帰る時」のために、私たちは日々、受け入れ準備をしていく必要があります。
そしてご自宅に戻って患者さまが安心して過ごし、またご家族様が嬉しそうなお顔になることが、私たちの喜びでもあります。

[ひとり言]
後日、奥さまとご長男さまがクリニックにご挨拶にお見えになりました。その際に奥さまより、「近所の人に、最期はかわべクリニックの先生に頼んだら安心だよと言っておきました。私を含めて、またよろしくお願いしますね!」との嬉しいお言葉を頂戴しました。
Bさまと過ごした日々はわずか1週間でしたが、信頼関係の構築に必要なのは時間の長さではなく、いかに相手を思い相手の支えとなれるかなのだと、改めて思いました。

※プライバシーに配慮し、お名前はアルファベットとさせていただきました。