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布施薬剤師会研修会にて講演を行いました。

こんにちは。看護師の川邉綾香です。
先日6月8日(土)に宝持会総合健康づくりセンターにて開催された布施薬剤師会研修会にて、講演と研修会を行いました。

講演テーマは、「在宅緩和ケアの実践~本当の苦しみを聴けていますか~」。
講義と演習を通じて、日常生活でも使える援助的コミュニケーション、ターミナルケアにおける多職種連携での対応から1対1の対応まで、誰にでもできる具体的な対人援助法を事例やロールプレイを通じて学びました。
本研修には、同じくファシリテーターである北村愛美さんにもご協力をいただきました!
ありがとうございました。

このブログでも、講演内容をご紹介させていただきます。

団塊の世代がすべて後期高齢者を迎える2025年には「多死時代」がやってきます。
そこで、人生の最終段階をケアできる人生育成プログラム「看取りへの苦手意識から関わる自信へ」と意識を変えることが必要です。
今回の講義と演習を通じて、コミュニケーションでの反復を日常生活でも使用することができるようになると、信頼感を生み出せる、会話のテンポが良くなる、好感度が上がるなどの効果があります。

私たちは本当に、相手の苦しみを理解することができるのでしょうか?
相手を理解しようとすることは大切です。
一番悲しいことは、苦しんでいる人を目の前にしても無視をしてしまうことです。
皆さんはそんなことはしないでしょう。大丈夫ですかと気遣い、心配し、理解しようとします。

しかし、どれほど心を込めて相手の立場に立って物事を考えても、相手のすべてを理解することはできません。
どうしたらよいのでしょうか。

このようなときは、主語を換えます。「私」を主語にせず、相手を主語にします。
そうすれば、本当の意味で理解はできなくても、相手からは「理解してもらえた」と思ってもらえる可能性はあります。

どんな私たちであれば、相手にとって「わかってくれる人」になれるのでしょう。
それは、励ましではなく、説明でもなく、「聴いてくれる」私たちです。

ちょっとした態度が、いかに相手に影響を与えるかということを、有名な曲を例に挙げてご紹介します。

時計をチラッとみるたび泣きそうな気分になるの…
患者さん、利用者さんで同じような経験をされたことはありませんか?

沈黙の意味について改めて考えてみます。

良いことを言おうとするとき、ついつい私たちは相手のこの沈黙に待てなくなり、励ましたり勇気付けたりします。
なぜ、この沈黙が大切なのでしょうか。

人は、何か大切なことを話すときにエネルギーが必要です。
特に、心の底にあって「私の病気治らないの?私死ぬの?」という重たい言葉を言おうとするときには、エネルギーをためるために沈黙が必要です。
それがないと、せっかく言いかけた気持ちがしぼんでしまいます。
間の手を入れたり、話題を変えたりしないで、沈黙に耐えましょう。

研修会終了後、参加者のみなさまからいくつかご質問がありました。
そのうちのいくつかを、こちらでもご紹介させていただきます。

Q1:
援助的コミュニケーションにおける聴く力の大切さがわかりました。反復、沈黙を使って会話をする中でどんどん重い話になります。
そこで、レジリエンスのセラピーなどがあるとテレビで見たのですが、かわべクリニックの研修でレジリエンスなどについても学ぶことが出来るのでしょうか?

A:1
折れない心、自己の回復力、再起力をレジリエンスと言い、エンドオフライフ・ケア研修でも反復・沈黙・問いかけをする中で、支えを知り、継続性をもって、誰かと関わり、繋がりを感じることが、レジリエンスを強める上で大切だと考えています。
かわべクリニックではそれらについても学習できるような場を設け、布施医師会でも同様の勉強会を開催しています。

Q2:
麻薬を取り扱っている薬局ですが、夜間に麻薬が必要との連絡があっても、全ての薬剤を常備している訳ではなく、翌日まで待っていただいたことがあります。
かわべクリニックでは患者さんが困らないように、何か工夫をされていますか?夜間に困ったことはないですか?

A2:
当クリニックは、緩和ケアを中心としたクリニックのため、患者さまの今後の展開を予測し、必要なものを適宜処方させていただいています。
日々、予後予測を行ない、疼痛コントロールは出来ているか、突出痛に対して何を使用するか、一日の使用量から週末に不足がないかなど、調整を行っています。
また、薬局さまにもご迷惑をかけないように、発注の期限などに気を配るようにしています。

Q3:
「薬局で応対をしている時に、患者さまから苦しみなどの深い話をされ、どうしても時間がなく、赤いスイートピーではないけど、『時計をチラッと見てしまう』ような場面があります。
かわべクリニックでは、往診中に深い話をされた時にはどのように対応されていますか?」

A3:かわべクリニックは在宅訪問診療を主としたクリニックのため、比較的、診療にかける時間をとっています。
今日は先生とゆっくり話をしたいと言われた場合は、そのタイミングでお話を聴ける場合はもちろんゆっくりと聴きます。
でもどうしても次の訪問がある場合は、改めて同日に必ず、往診してゆっくり話を聴きに戻る旨をお約束させていただいています。
この対応で、ほとんどの方に納得していただけていると思います。
信頼関係を築き、医療者が患者さまにとって「常にわかってくれる人」になれると、このような対応で理解していただけるのではないでしょうか。

今回の研修会には、70名以上の薬剤師の方にご参加いただきました。
薬剤師は在宅医療における多職種連携の重要な一員です。
このような講演会を通して、交流を持て、顔の見える関係を築けたことは、大変喜ばしいことでした。

これからも、東大阪で在宅医療の輪がもっともっと広がるよう、講演活動を行ってまいります。
また、本研修会のフォローアップ研修をかわべクリニック内にて行ないます。

【第3回ELC東大阪学習会(in かわべクリニック)】
日時:7/18(木)17:30~19:00
タイトル:聴く力~苦しむ人へ関わるための援助的コミュニケーション~

【第18回中河内緩和ケアカンファレンス】
日時:8/8(木)18:30~20:00
タイトル:苦しみを通して気づく「支え」
~苦しんでいる人は自分の苦しみをわかってくれる人がいると嬉しい~

くわしくは、こちらの記事をご覧ください。

5・6・7・8月のイベントご案内

当クリニック看護師 川邉綾香が講師を務めます。
このテーマに関心を寄せる方は、ぜひご参加ください。

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