初めが肝心 ~アナムネ聴取~
初回訪問で安心感を提供
こんにちは。看護師の川邉綾香です。
私は、初回訪問を何よりも大切にしています。
自宅に他人を招き入れることを、想像してみてください。
片付けなきゃ、変な姿は見せられないなど気合いが入り、穏やかな気持ちではいられないものです。
でも私たちは、一度きりのお客様ではありません。
継続的にご自宅にお邪魔させていただくのです。
したがって、患者さまやご家族さまに、まずは安心感を提供しなければなりません。
在宅療養における医療は、「生活の中に医療や看護が存在」します。
私たちが介入することで、生活が大きく一変してしまってはいけないのです。
ただ介入によって、より穏やかな生活が送れることを保障する必要があります。
私は、初回訪問の終わりに「このクリニックに任せよう」と思ってもらえるように努めています。
「信頼関係の構築には時間をかけて」と言われることがありますが、私は時間ではないと考えています。
いかに、患者さま、家族さまの“懐に入るか”です。
そのためには、色々なイメージトレーニングをしてから訪問をします。
訪問の前には、病院からの診療情報提供書(紹介状)を読み、今までの治療の経過と現状の把握、看護サマリーからは看護上の問題を抽出。
ケアマネージャーからのフェイスシートでは家族構成だけでなく、自宅での生活状況を想像します。
退院後に自宅に戻られる方の場合は、症状はコントロールできているのか、入院前とADLが変化していないか、それに対応できる生活状況なのか、点滴を継続する場合は、生活スタイルの変更が必要か、など。
あらゆる考えられることは考えた上で、患者さまと直接お話をします。
これを「患者情報聴取」や「アナムネ(アナムネーゼ聴取)」と言いますが、それだけでなく、今何に困っているのか、それは医療的な問題なのか、看護的問題なのか、介護なのか…を「聴く」ようにします。
患者さまの苦しみと私が想像していた苦しみが一すると、患者さまは「わかってもらえた」と感じます。
そのために、大切なのは情報です。
よく、観察項目順、情報収集リストなどのチェックリスト順に患者さまに確認する医療者がいますが、それは患者さまの苦しみの抽出ではなく、医療者の安心のための確認になってしまっています。
ときには、詰問のようになってしまうことさえあります。
それでは信頼関係の構築には時間がかかってしまうのも当然です。
そのため、初めてのアナムネでコミュニケーションが取れず、「アナムネは苦手」と思う看護師も多くいるのではないでしょうか。
患者さまとの信頼関係の構築が円滑になるポイントは、多職種がその患者さまの苦しみについて共通理解を持つことです。
そのために、私たちと患者さま、そして医療者や介護者で幅広くコミュニケーションを行う必要があります。
まずは、医療と介護の両方に精通している私たち看護師が中心となって、多職種との連携を図る。
それこそが在宅ケアチームの各能力を発揮するために必要なことなのだと、私は考えています。
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