「東大阪プロジェクト」とは?自然に人と人がつながるまちを作りたい
東大阪プロジェクトがスタートしたのは2019年、地域で暮らす皆様をさまざまな立場で支える多職種の仲間が集い「真の地域包括ケアシステム」を目指しています。
「人とまちと医療の心地よい関係」をつくり、誰もが安心して自分らしく生ききる社会の実現するべく、さまざまな勉強会や体験型イベントを開催してきました。
おかげさまでオンラインイベントには、全国各地から数百名の方が参加されることも珍しくありません。少しずつ「東大阪プロジェクト」の知名度も上がった結果、
東大阪プロジェクトでは、
そこで私たち東大阪プロジェクトの活動を5分で理解いただけるようにこの記事をまとめてみました。
私は、東大阪プロジェクトの代表を務める福村雄一と申します。司法書士でエンドオブライフ・ケア援助士として、大阪を拠点に相続や財産管理に関する業務を行っています。
東大阪プロジェクトは「出会うことで人が動き出し、ともに未来を変える。穏やかなエンディングをみんなで」というクレド(信条・行動指針)を掲げて活動している団体です。
2025年、大阪万博が開催される年には、団塊の世代が75歳以上となり超高齢社会に突入します。その対応のために構想された「地域包括ケアシステム」は、要介護状態が進行しても、人生の最期まで住み慣れた地域で自分らしい暮らしを送っていただけるための仕組みです。
エンド・オブ・ライフと呼ばれる「人生の最終段階」を地域全体でケアするには、医療・介護や介護予防をケア職の方々の連携が欠かせないのは言うまでもありません。
「東大阪プロジェクト」ではさらに概念を広げて、より良い暮らしのサポートのために活動しています。すなわち医療・介護ケア職に限定しない多職種、私のような法律職も含めて、一つでも多くの職種が地域の輪に加わって連携します。
医師、看護師、薬剤師、ケアマネージャーに加えて、
いずれもひとりですべてに対応できる万能な職種ではなく、お互いの課題を知り、ともに補い合う仲間です。
たとえば司法書士は、お金、財産や相続に関することが得意分野です。法律職ならではの強みは、懇意になる前の患者さんでも家族関係や財産についてヒアリングしてもお答えいただけることだと言えるでしょう。一方、医療・介護職の方々は病気や健康、介護予防についての専門家で、患者さんやご家族が体調の変化や生活習慣で気になることを相談するのは最適な存在です。
司法書士の立場からすれば、成年後見制度、意思決定支援なども含め、医療・ケアチームと連携して互いの強みを活かすことで、主役である患者さんとそのご家族の暮らしの満足度を向上できるのではないかと考えています。
出典:厚生労働省
医師である私が地域包括ケアシステムの存在を知ったのは開業後で、大阪赤十字病院の勤務医だった時代には知らない言葉でした。
おそらく現在も勤務医の多くが知らないと言っても過言ではなく、一般の方々も家族やご自身が介護の必要な状態にならなければ知る機会もないはずです。
しかし自分自身だけでなく肉親やパートナーが、病気になったり介護が必要な状態となったりする事態は、誰にとっても突然身にふりかかるものです。
そのとき始めて、右も左も分からずに地域包括ケアシステムの輪の中に組み込まれることになります。
「ケアマネージャーはどのような役割をしているのか」
「どこまで介護保険を利用できるのか、できないことは何か」
こうした大切なことが全くわからないのは当たり前です。
しかし「待ったなし」の状況下で病状は変化し、認定調査が始まり、決断を求められるのです。
私なりに考えて、地域包括ケアシステムが多くの人に知られていないのは「他人事だから」だと結論づけました。
なぜ他人事と捉えられてしまうかと言えば、地域包括ケアシステムの輪が小さく、あくまで医療と介護だけに絞り込んでしまっていることが原因なのではないかと考えました。
出会った時点で、その方に残された時間は1週間未満と予測される状況でした。まず医師としてすぐさま症状緩和を図り、自宅で穏やかに過ごすための環境を調整します。そのうえで、ご本人の希望をお聞きしたところ次のようなことが分かりました。
ここで私は、以前から知り合いだった司法書士の福村先生を頼ろうと考えました。
患者さんの予後が短いことを伝え、迅速なできる限りの対応を依頼したところ、亡くなる前日にはすべて希望が叶うように整えてくださいました。
福村先生にとって、きわめて限られた時間でご本人からヒアリングして話を進めることのプレッシャーはあったでしょう。しかし専門分野のプロとしての役目を全うしてくださったわけです。
地域包括ケアシステムの輪に、最初からこうした士業の方がいてくれれば良いと、私にとっては改めて実感した出来事でした。福村先生も、エンドオブライフ・ケアに加えて、医療や介護職との連携に関心を持ち始めたきっかけとなったそうです。
「輪」を最大限に広げて、すべての職種の方が輪に入れば、暮らしに必要なあらゆる専門分野をカバーできるでしょう。医療・介護職の私たちとよいパートナーシップを築ければ、専門家からの医療・介護への関心も深まり、より良い最期を迎えられるはずです。
すべての職種が加われば、自然にすべての方が地域包括ケアシステムを知ることになるという結論に至りました。そこで医療と介護だけに限定せず、多職種が関われる真の地域包括ケアシステムを目指すことに決まりました。
これが東大阪プロジェクトの出発点だったのです。
東大阪プロジェクトは「人とまちと医療の心地よい関係」を作りたいと願っています。
「わざわざ出向くのではなく、そこに自然にある感じ」で、私たち各々が持つ「強み」を活かすことで、お互いに気軽に相談できる 『誰もが主役の街』にしたい。そのために行っている活動をご紹介します。
エンドオブライフ・ケア研修は、人生の最終段階を迎えた方への対応をどのようにすると良いかを中心に学べます。
対象者は医療・看護職に加えて介護職も含めた全ての職種の方が参加いただけるもので、2022年末までに22回開催してきました。
たとえば、患者さんのお話を反復する、あえて沈黙を作り患者さんの話をお聞きする、問いかける方法などを学んでいます。
3ヶ月に1回は200名程度が参加できる大規模研修会を開催し、講演や事例検討を行ってきました。また毎月1回は、ELC東大阪(エンドオブライフケア協会)として20名程度に向けた研修会も開催しています。
「縁起でもない話をしよう会」とは、医療や福祉に関わる方々と地元の人々が参加する地域交流イベントで、鹿児島の妙行寺さんが発案されました。
普段はあえて口には出さない「縁起でもない話」をみんなで語り合い、これからの人生をいかに生ききるかを考えるきっかけ作りの一つとして、東大阪プロジェクトでも継続的に開催しています。
語ることをタブーにしない地域づくりを目指す主催者の井上住職と意気投合、アドバイスを得たことがきっかけでした。
これまでに通算で24回開催を数えており、毎回50~100名以上の方に参加いただいています。(2023年3月末現在)
オンラインで講演を聞き、後半はオンライン会議中に仮想的な個室に分かれ少人数のグループで、実際に「縁起でもない話」をしていただく時間にしています。
いのちの授業とは、「折れない心を育てるいのちの授業」プロジェクトのもと、学校に限らず様々な場面で学べるように、主に小、中学生を対象に実施するものです。
こちらもエンドオブライフ・ケア協会認定講師が複数名プロジェクトに参加しており、同講師による授業を行っています。
「まちカフェ@東大阪プロジェクト」とは、医療・介護・福祉の関係者に限定することなく、地域の暮らしを支える皆さまが集うトークカフェイベントです。
2023年2月に第1回を開催し、懇親会での意見交換、お悩み相談、名刺交換など自由なお話しを通じて、オンラインだけでなくリアルでも顔の見える関係を築くことが目的です。
まちカフェのコンセプトは、糟谷明範さんの「人とまちと医療が心地よい関係」にヒントをいただたいものです。
糟谷さんは東京都府中市で、住民と医療福祉の懸け橋になる訪問看護、居宅介護支援事業所、カフェ&コミュニティスペースを運営されている方です。
東大阪のまちカフェは始まったばかりですが、継続的な活動によって支える側の連帯が間違いなく高まっていくと確信しています。
今後は、私たちの布施地域に9か所ある地域包括支援センターのエリアごとに1つ、つまり最低でも9か所の「まちカフェ@東大阪プロジェクト」を展開していきたいと考えています。
昭和の頃は地域みんなが顔見知りで、コミュニティが自然と形成され、互いに支えて暮らしていたなどと言われます。
時代は変わっても、人間は同じ。現代にも「黄昏られる場所」「ぼんやりと自分と向き合える場所」「こころが落ち着く場所」が必要だと、私たちは考えます。
人が安心して生きていくには「ここにいるだけでいいよ」と言ってもらえる「居場所」が重要なのです。
新たな空間をゼロから用意することは簡単ではありませんが、
対象は地元・東大阪の方だけではありません。共感してくださった方が全国各地で同じ思いをもって取り組みをスタートし、育ててくれたら、私たちは全力で応援させていただきます。
ぜひ私どもの広報、情報発信をフォローいただき、情報の拡散にご協力をお願いいたします。
2021年11月から毎週投稿を開始し、2022年11月28日に100本目を投稿を達成しました。
現在、毎週木曜日18時に配信し、登録者はまもなく1000名に到達します。(まだチャンネル登録をされていない方はぜひ!)
これらのYouTube動画は…
・スライドを用意
・グリーンバックで台本を読み上げて撮影
2つを合成し、出来上がりです。
動画編集にかなり慣れてきたこともあり、簡単に配信できています!
★チャンネル登録お願いします★
東大阪プロジェクトでは、医療介護従事者だけでなく地域包括ケアシステムに関わる皆様に役に立つ情報提供を行っています。
⇒東大阪プロジェクト 公式チャンネル
週に一度、毎週月曜日に配信するメルマガです。
登録者は1900名ほど。2021年7月6日から開始し、ここまで86回配信してきました。(2023年3月現在)
開始当初は、福村代表、北村大治さん(訪問看護ステーションリール)、川邉正和の3名が担当していましたが、現在は仲間が加わり9名体制の交代で担当しています。
東大阪プロジェクトの活動はもちろんですが、各々のメンバーの活動や東大阪に関する情報にもスポットを当てています。講演会や研修会への参加案内もお届けし、アーカイブ配信としてのYouTube動画などを付けていますので、東大阪プロジェクトの最新情報を受け取りたい方は、ぜひ登録してください。
https://88auto.biz/higashiosaka/registp/entryform6.htm
2021年10月から開始し、毎週土曜日12時に配信しています。
内容は、講演会・研修会の案内、アーカイブ配信としてのYouTube動画などを付けています。
現在、毎月第2水曜日21時から。こちらは原則、東大阪プロジェクトメンバーのみですが、東大阪プロジェクトに興味がある方で推薦者がいればゲスト参加も可能です。
メンバー同士が、心についた火(焚き火)を燃やし続けるためには、きちんと風(酸素)を送り続けることが必要です。どのような会にとっても必要な風(酸素)はコミュニケーション。コミュニケーションをいかに多く取るかが大切なのです。
随時、本プロジェクトのコアメンバーを募集していますので、かわべクリニックのお問い合わせフォームから「参加希望」とお申し込みください。
東大阪プロジェクトの活動を通して、クレド(信条)である
「出会うことで人が動き出し、共に未来を変える
~穏やかなエンディングをみんなで~」
という世界観に共感してもらえる仲間を増やしています。
人が集う場所や機会をつくり、共通の目的につながる問いを立て、そこで出会った人同士が共感のもとに動き出し、解決に向かうことを目標とし、日々活動を続けています。
一般財団法人日本総合研究所グループの出版社、日総研出版発行の雑誌「エンド・オブ・ライフケア」からクリニックの取り組みについての原稿依頼があり、先日、掲載していただいきました。
開業当初からの想いである「看護師主体のチーム医療で、“最後まで自宅で“の願いをかなえる」の実践について、詳細はこちらを参照してください。
(クリックするとPDFが開きます)
また、2019年8月と12月に朝日放送「CAST」の特集として放送された動画もご参照ください。
東大阪プロジェクトのコンセプトは真の地域包括ケアシステム、つまり、「人とまちと医療が心地よい関係」です。
「自然と」お互いに気軽に相談できる 『誰もが主役の街』 になればいいなぁ。
つなぐというよりも、「自然と」顔の見えるような関係が築けたらなぁ。
医療が特別なのではなく、街に溶け込んだような感じになればなぁ。
わざわざ出向くのではなく、そこに自然にある感じです。
そんな社会が当たり前になれば、わざわざ目指す必要はなくなるわけです。
水や電気と同じように、気軽に相談できる居心地のよい場所が当たり前の世の中が実現したとき、東大阪プロジェクトが現在かかげているクレドとしての意味をもたなくなることでしょう。
そのために「ただ頑張る!」のではなく、各々が持つ「強み」を活かすことを大切にしています。
苦手なことを克服するのではなく、得意なことで活躍できる、ひとりひとりが主役となる、「強み」を活かした街になることを願っています。
これからも随時、情報を更新していきます。
ご興味を持っていただいた方は、YouTubeやメルマガのフォローや研修会・勉強会に参加してください。
※初回投稿:2021年1月13日
※更新:2023年4月15日
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