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あなたが安心できるのは「場所」ですか「人」ですか【看取りの報告書・BHさまのこと】

かわべクリニックでは、患者さまが最期の時間を過ごされたご様子を「看取りの報告書」としてまとめています。

これまでお見送りをした患者さまの「看取りの報告書」を、担当看護師の思い出とともにご紹介したいと思います。

最も安心できる場所を求めて

病院への看取り報告書

いつもお世話になっております。先日ご紹介いただいたBH様についてご報告させていただきます。

初回訪問の時点で「主治医の先生から予後など具体的な話は聞きました。この歳なので覚悟はしています」とおっしゃっていました。早々にお住まいだった家を処分し、施設での新しい生活を始められました。

退院後、間もなくから胸水の貯留が認められ、体動時には呼吸困難が現れ、酸素装着が必要な状態に。さらに慣れない施設生活の影響のためか、元気に過ごしてきた前月までとは異なる状況でした。

自分の身体が思い通りにならないことや急な体調変化に心も追いつかず苛立ちを感じていらっしゃるようでした。ときには「病院に行ったら治るのではないか」とおっしゃるBH様のお気持ちを理解し、身体状況に合わせて看護ケアを中心とした緩和ケアに努めました。

途中で緩和ケア病棟への入棟も提案しましたが、施設で最期まで過ごすことを選ばれました。コロナ感染拡大防止のため面会制限があったものの、施設の配慮によってお孫さまとも最期の時間を共有でき、6月17日の正午前に安らかに永眠されました。

退院から施設入所までわずか1ヶ月でのお看取りとなりましたが、ご本人様が最も快適に過ごされた場所について考えさせられました。施設スタッフを含め、手厚いケアのおかげで、穏やかに安心して過ごされたのではないかと思います。

この度もご紹介いただき、ありがとうございました。今後も引き続きよろしくお願いいたします。

人生会議(ACP)は希望を叶えるための手段

最近、人生会議(ACP)についての講演機会をいただくことが増えました。医療・介護従事者の間ではこの言葉が浸透しつつありますが、実践している方はまだ少なく、市民の皆さんにはこの言葉さえ知られていない実感があります。

意味を知っている方でさえ「人生会議」と聞くと、命が危機に瀕した時に、どこまでの治療を希望するのかといった選択するイメージを持つ方も多いです。また「縁起でもない」という理由で避けられることもあり、先日は「人はなぜ縁起でもない話を避けるのか」というテーマで講演会を行いました。

厚生労働省の調査によると、人生の最終段階における医療・療養について考えたことがある人は59.3%にのぼります。しかし、実際に人生の最終段階における医療・療養について家族や医療介護者と詳しく話し合った経験のある人はわずか2.7%のみです。

人生の最終段階についての話し合いをしていない理由は、「話し合うきっかけがなかったから」という回答が最も多かったです。人生の最終段階について考える人は多いものの、きっかけがなく話し合いができていないことがわかります。

今後も講演を通じて、話し合うきっかけを提供できればと思います。また人生会議は「大切な人に自分の思いを伝えること」と同じと伝えていきたいです。

出典:人生の最終段階における医療に関する意識調査|厚生労働省
人生の最終段階 考えたことがある割合
話し合い
話し合ったことがない理由

療養する場所はどこがよいのか

かわべクリニックにはよく以下のようなお問い合わせがあります。

  • 最後まで自宅で過ごすことはできますか?
  • 最期の段階でギリギリまで自宅で過ごし、最後は病院で過ごすことは可能でしょうか?
  • 病院は嫌だけど、自分での生活が難しくなったら施設で過ごすことはできますか?

などです。

ここで各療養場所のメリット・デメリットをご紹介します。

1. 在宅療養: 自宅で家族や介護者の支援を受けながら過ごす

在宅療養のメリットは、患者さまが自分の身の回りのことや環境に慣れ親しんでいるため、心地よさや安心感を得られることです。

家族との絆やサポートが強くなり、家族の一体感も生まれます。介護保険制度を利用することで、介護負担の軽減も期待できます。

しかし24時間、365日対応可能な診療所や訪問看護は限られるので、実現できるかを見極める必要があるでしょう。

2. 緩和ケア病棟:専門的な緩和ケアが提供される病院の病棟

病院の設備やスタッフの専門知識ともに高度なため、痛みや症状の管理が行き届き、身体的な苦痛の緩和が可能です。医療スタッフが24時間対応できるため、安心して治療や看護を期待できます。

ただし、入院生活となるため、自宅や自分の環境から離れなければなりません。家族との時間やプライバシーも制約されます。

3. ホスピス:専門的なホスピスケアが提供される施設

ホスピスでは終末期の患者に対する緩和ケアを中心に提供し、身体的・精神的なサポートが行われます。メリットとして、専門的なケアが受けられるだけでなく、心理的な支えや安らぎの空間が提供され、家族や患者自身が穏やかな環境で過ごせることが挙げられます。

ただし、入所には条件があり、利用には予約や費用の問題があります。

4. サービス付き高齢者住宅:住居環境が整備され快適な生活を送れる

サービス付き高齢者向け住宅は「サ高住」と略されますが、介護スタッフが常駐しており、緊急時や日常のケアに対応できるのが特徴です。住居環境が整備され快適な生活を送れるほか、他の入居者との交流や様々な活動が行われる一方で、必要に応じて医療や看護も提供されるため、療養中のサポートが充実しています。

ただし、入居費や月額利用料がかかります。これに加えて別途費用が発生する場合があり、経済的な面での検討が必要です。慣れ親しんだ環境や地域から離れることになり、身近な人間関係や地域のサポートが減少する可能性があります。

人生の最終段階、どこで療養できるの?

原則として、療養生活はどこでも可能です。重要なことは、しっかりと事前の準備を行い、大切な人に自分の思いを伝えておくことです。自分の思いを口に出して伝えなければ、その思いは実現されない可能性があります。

また、事前の準備には時間がかかります。自分にとって「どこが最適な場所か」を検討するために、選択肢のメリット・デメリットを考慮する必要があります。経済的な側面や必要なサービスやケアについても考え、自分自身に問いかけながら最善の選択をしていただきたいと思います。

「死亡前1カ月間の患者の療養生活の質」についての調査結果では「場所」による差が見えてきます。
(出典:がん患者の人生の最終段階の療養生活の実態調査結果|国立がん研究センター

※PCU=緩和ケア病棟 (Palliative Care Unit)を意味します。

医師を信頼できるか

ひととして大切にされるか

おだやかな気持ちで過ごせるか

痛みやからだの苦痛が少なかった

…どれも大切な項目で、すべてが高いレベルでかなえられることが望ましい状態だと言えるでしょう。

現状、療養場所によって感じられるメリット・デメリットは、このグラフからも読み解けそうです。

在宅療養を選んでも、病院と同じレベルの医療を受けられます。療養場所によってどのような違いがあるか、この調査結果から感じられることはそれぞれ違うでしょう。どの場所が正解か、ではなく「本人にとってベストはどこか?」を考えていただきたいし、私自身が一緒に考えられる人であり続けたいと思います。

 

【今週の東大阪プロジェクト】
東大阪プロジェクトの活動の一部をご紹介させていただきます

>ぜひご参加ください<<

【お知らせ・まちカフェ・第5回(参加費有料)】

大好評の懇親会「まちカフェ」のご案内です。
暮らしを支える人たち同士で、リアルでも顔の見える関係を築きませんか?

【申し込み】
https://88auto.biz/higashiosaka/registp/entryform34.htm

暮らしを支える皆さま(医療・介護・福祉に限らず)が集うトークカフェイベントです。
懇親会もあり、意見交換、お悩み相談、名刺交換など自由にお話しいただけます。

話題提供:
「訪問リハビリテーションについて」
パリエ訪問看護ステーション東大阪・森本瑛大さん

日時:令和5年8月4日(金)18:30~19:30(18時開場、お早めの来場をお願いいたします)
場所:藤田珈琲 the ROASTERY Lab.
定員:30名程度(残席わずか)
参加費:2,000円(珈琲・お土産付き)
◎無添加高級生食パン1斤+ドリップバッグ

お土産の準備がございますので、不参加となる場合は前々日(8月2日)までに必ず、事務局にメールでご連絡ください。

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