かわべクリニック

在宅療養支援診療所

かわべクリニック

内科・緩和ケア内科・呼吸器内科

〒577-0843 東大阪市荒川3丁目5番6号 MMビル203

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【看取りの報告書】Gさまのこと

クリニックでは、患者さまが最期の時間を過ごされたご様子を「看取りの報告書」をとしてまとめています。

今までかわべクリニックがお見送りをした患者さまの「看取りの報告書」を、担当看護師の思い出と共にご紹介していきたいと思います。

救急車の中で「降りる~降ろしてくれ~、病院には行きたくない!」とおっしゃったGさま。
困り果てたご家族は、保健センターに駆け込み、そこで当クリニックに紹介となりました。

Gさまのこと
~緊急訪問から1ヶ月。病院には行かず、眠るように人生を全うできた~

[看取りの報告書]
お仕事を退職する60歳までは健診を受けていらっしゃったGさまですが、退職後15年以上は病院にかかっていませんでした。
それが、ここ3ヶ月で食欲低下、体重減少あり。このままでは…と不安になった奥さまは、救急車を呼びました。
しかしGさまは「降りる~降ろしてくれ~、病院には行きたくない!」
困り果てた奥さまは保健センターに駆け込み、そこで当クリニックを紹介され、私たちがその日のうちに緊急訪問する運びとなりました。

明らかに痩せが著しく寝たきり状態のGさまですが、「病院には行きたくない」とはっきりと意思表示をなさいました。
そして、その横で困った顔をされる奥さま。
奥さまもGさまの性格をよく理解されており、「無理矢理連れていくことはできない。でも、このままだと何かあった時に警察のお世話になるのも嫌だし、放っておいたと思われるのも嫌。どうしたらよいかと思っていた」と胸の内を明かしてくださいました。

ご家族から今日に至るまでの経過をお聞きすると、現在の状態は胃がんである可能性は高いと思われました。
しかし、検査をせずに本当にがんと診断はできません。
このような状態で自然な形でお見送りをすることが許されるのであろうかと考え、ケアマネージャーさんや訪問看護師さん、クリニックのスタッフ、そして奥さまと何度も説明し、CT検査だけでも受けていただきたいとと説得を試みましたが、決して首を縦には振らないGさま。

せめて療養する上で過ごしやすい環境にするため、Gさまをそばで支えてくれる奥さま介護負担を減らすためであることを説明し、何とか介護ベッドを導入することはできました。
このような状況の中、少しずつ、私たちに体と気持ちをゆだねてもらえるように、Gさまとの信頼関係を築くことに努力いたしました。

そんなある日、Gさまが転倒して頭部を負傷。
傷の処置を理由に病院を受診し、合わせてCT検査も行えるよう手配した結果、がん末期であることが判明しました。
そこからの関わりは、Gさまがつらくないように、食べたい時に食べたいものを食べ、たばこも吸い、できる限り苦痛のない、自由な時間の提供に努めました。

一方で奥さまは、「がんとわかったものの、治療をしなくてもいいのか」「治療をしなければお別れが近いのか」と苦しまれていました。
奥さまの気持ちを支え続けることが、私たちにできる緩和ケアです。在宅グループと連携を取りながら、奥さまをサポートさせていただきました。

そして、初回訪問して1カ月経過したある朝、奥さまが起きられたら、横に寝ていたGさまは安らかな表情で息を引き取られていたそうです。

私たちがすぐに訪問して、最終診察を行い永遠の別れとなりました。
奥さまは涙されていましたが、どこかでほっとした様子もあり、「先生と出逢えて良かったです。このような先生方や訪問看護師さんがいるなんて早く知っていたら」とのお言葉をいただきました。

[ケアを振り返って]
奥さまからいただいた「もっと早く先生方に会いたかった」「先生と出逢えて良かった」の言葉の意味の重さ、そして有難さをひしひしと感じました。

Gさまのように苦しまれている方が、当クリニックに辿り着くまでには、様々な苦労があります。
なぜなら、在宅医療そのものが社会全体に周知されておらず、病院に行かずに自宅で療養を行えることを知る人が少ないからです。

2019年は、より多くの方々に在宅訪問診療の存在を、そしてがんの終末期を自宅で過ごせることを周知する年にしたい、と改めて強く思いました。

[ご家族さまからの手紙]
年末に、奥さまよりお葉書をちょうだいしました。

「師走に入り慌しくなってまいりました。
その節は、大変お世話になり有り難うございました。

病院に行くのを極度に嫌がり途方にくれていた時に先生が来て下さり、私の愚痴や不安・不満を静かに聞いて頂き、優しい言葉をかけてくれた事が大きな支えとなりました。

余りにもあっけない別れとなり、もう少し優しく接してやれば良かった…と後悔の念ばかりですが、最期は横にいる私に悟られることなく、穏やかな表情で旅立ってくれた事が唯一の救いでした。

川邉先生はじめ奥さま・スタッフの方々には大変お世話になりました。感謝しております。

高齢化は今後も進み在宅医療も増加の一途ですが、先生もお身体大切に、そしてこれからも地域の診療や老々介護者の為に、先生の持てる力を一層発揮されますよう願っております。」

【看取りの報告書 バックナンバー】
・Fさまのこと
・Eさまのこと
・Dさまのこと
・Cさまのこと
・Bさまのこと
・Aさまのこと