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看護記録作成が苦手!という方へ 【POSとSOAP形式】

2018年10月24日(水)
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こんにちは。看護師の川邉綾香です。

私たち訪問看護師が、日々作成する「看護記録」。
看護師として働いている方の中には、「看護記録を書くのが苦手」という方がいらっしゃるのではないでしょうか。

なぜ、看護記録をなかなか書けないのか?
その解決のヒントとして、かわべクリニックでの看護記録作成方法をご紹介したいと思います。

POSとSOAP形式
■POSとは?
POSとは「問題志向型システム(Problem Oriented System)」の略称で、患者さまの持つ「問題」を治療の軸とし、その問題に沿って治療や医療・看護を展開する治療過程のことです。

■SOAPとは?
このPOSをベースに、患者さまの問題にフォーカスして以下のようなSOAP形式で看護記録を作成します。

SOAPとは?
S(Subject) 主観的情報 患者さまが訴えていること
O(Object) 客観的情報 所見や診察・検査から得られたS以外の情報
A(Assessment) アセスメント SとOの情報に対し、看護師が考えたこと
P(Plan) 看護計画 Aに対し看護師が必要だと思ったケアや処置、行動等

■SOAP形式での看護記録作成のポイント
SOAP形式での看護記録には、2つのポイントがあります。
(1)医療従事者である看護師が「何を考え、何を行ったのか」がわかる内容であること
(2)誰(どの職種の方)が見てもわかる文章でなければならないということ

看護記録を記載するときに一番重要な部分は「A:アセスメント」と「P:看護プラン」であり、それらを証拠づけるために「S:主観的データ」と「O:客観的データ」があります。

「A:アセスメント」と「P:看護プラン」が想定できれば、あとはそれに紐づく「S:主観的データ」と「O:客観的データ」を継ぎ足して、文章を肉付けするだけ。

つまり、看護記録のなかで重要となるのは、「A:アセスメント」と「P:看護プラン」。
この2点が、看護師が「何を考え、何をしたのか」を証明する重要な部分であり、看護師として技術力や知識力がものをいう部分になります!

■まずは「A:アセスメント」から書いてみる!
それでも、なかなか看護記録が書けないという方も多いことでしょう。
そこで、まずは「A:アセスメント」から書いてみます。

患者さまの「今の問題」「今の苦しみ」「今これが必要だ!と思ったこと」は何かを思い浮かべ、
患者さまが話したことや患者さまから得た情報から、どのような苦しみがや問題があり、
それに対して自分は何が必要だと思ったのかを考えてみましょう。

ケーススタディ
モデルケースを例に、2種類の看護記録を比較して考えてみます。

・胃癌で胃切除後、認知症、独居 87歳の患者さま
・訪問看護師、訪問薬剤師、訪問管理栄養士、ヘルパー介入あり

┌<パターン1>──────────────────────────
│S)朝はいつも6時ごろに起きて6時半に食べます。
│今日は食パン、チーズ、トマト、コーヒーです。
│朝の薬まだです。すぐに忘れてしまうので誰かに声をかけてもらってます。
│食べた後は胸のあたりに違和感があるけど、時間とともになくなる。
│夜は、2~3時間おきに目が覚めます。

│O)腹鳴良好。湿性咳嗽あり。昨日排便2回/日。

│A/P)不眠に対しロゼレム8mgでは良眠できないと、本日ベムソムラ錠15mgを追加処方。
│食後の胸部不快感は時間とともに消失するため様子観察とする。
└─────────────────────────────────
┌<パターン2>──────────────────────────
│S) 食べた後は胸のあたりに違和感があるけど、時間とともになくなる。
│朝はいつも6時頃に起きて6時半に食べます。今日は食パン、チーズ、トマト、コーヒーです。
│朝の薬まだです。すぐに忘れてしまうので誰かに声をかけてもらっています。
│夜は、2~3時間起きに目が覚めます。

│O)腹鳴良好。昨日排便2回/日。
│朝食摂取後も内服忘れあり、眠剤もタペストリーに残っている。湿性咳嗽あり。

│A/P)胃切除後でもあり、食後の胸部不快感が軽減するには時間を要する旨を説明。
│食事の回数、1回の食事にかける時間、食べ物の内容等で症状が改善する場合もあるため、
│栄養士からの指導も依頼へ。
│不眠に関しては、ベムゾムラ錠15mgを追加して間もないためもうしばらく経過観察とする。
│薬に関しては、飲み忘れもあり、介入時声掛け誘導を継続。
└─────────────────────────────────
■事前の予習が大切!
このモデルケースの場合、以下のような問題点が考えられます。

(1)胃切後のダンピング症候群が起きていないか、術後トラブルは起きていないか
(2)独居での生活に支障がないか
(3)内服管理が行えているか

それぞれの問題に対して、パターン2では「どのように考え」「どのような対策を行うのか」がA/P)に書かれており、
そのA/P)に至った情報収集がS)とO)に記載されています。

パターン1と見比べると一目瞭然ですね!

パターン2のような看護記録を書くためには、事前の予習が大切。当クリニックでは必ず訪問前に、予習(予測)を行っています。

この予習では、全てを書き出すのではなく、本当に重要なことを数点挙げておくことがポイント。
その「本当に重要なこと」を見つけ出す方法は、患者さまの病状・病態の把握はもちろんのこと、療養における支障がないかもきちんと考える必要があります。
それが看護の力です。
患者さまを訪問する前から、看護はスタートしているのです!

SOAP形式での看護記録作成をはじめてみたいと思った方は、ぜひ一度かわべクリニックにお越しください!

※関連記事
【看護記録(SOAP)が書けないあなたに!事例を通して学ぶ】
(1)今日の看護の目的は何!?
(2)抽象的な事を書いて計画を立案した気になってはいけません!
(3)実施内容はOじゃないんです!(Coming Soon)
(4)もっとアセスメントを深めなさい!(Coming Soon)
(5)初回訪問で見えてくる患者像(Coming Soon)

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