• かわべクリニック
    • 在宅療養支援診療所

      医療法人綾正会かわべクリニック

      内科・緩和ケア内科・呼吸器内科

  • 〒577-0843 東大阪市荒川3丁目5番6号 MMビル203

    TEL : 06-4309-8119FAX:06-4309-8118

  • 求人情報 お問い合わせ

【看取りの報告書】AJさまのこと

クリニックでは、患者さまが最期の時間を過ごされたご様子を「看取りの報告書」としてまとめています。

今までかわべクリニックがお見送りをした患者さまの「看取りの報告書」を、担当看護師の思い出と共にご紹介していきたいと思います。

AJさまのこと
君を追って…~寂しさと達成感。向こうでも二人仲良く過ごしてね~

いつもお世話になっております。
10月にご長女さまからの依頼で在宅訪問診療をさせて頂きましたAJさまについて、ご報告させていただきます。

ご長女さまとそのご家族が暮らす家での療養を開始したAJさま。
当初は住み慣れない街に少しの戸惑いを口にされていましたが、毎週末はご長女さま家族とショッピングや外食に出かけ、有意義な時間を過ごされました。

AJさまは同じように体調の芳しくないご主人さまとベッドを並べ療養し、ご主人さまのお世話を献身的に行いながら、ご自分の病の進行とも闘う日々。
やがて6月末ごろより急激なるい痩やADL低下をきたし、床上での時間が長くなりました。

AJさまは貴院の受診を毎回心待ちにしており、最良の治療を受けることが出来た感謝を常に述べておられました。
7月の受診の際は、最後にA医師に対面してこれまでの感謝をお伝えしたいと希望され、それに向けて体調調整を行いました。
受診の際には待ち時間などにご配慮いただいたことを、改めて感謝申し上げます。
AJさまも「先生にお礼が言えてほっとした」とおっしゃっていました。
そして一つの目標をクリアしたことに安心したのか、翌週からはさらに入眠時間が長くなりました。

最期の日までご自分の要望をご家族に伝えることができ、ご主人さまや娘さまが見守る中、安らかに永眠されました。
その後を追うように、長年COPDの療養をしていたご主人さまが7日後に永眠されました。
ご主人が永眠されることは我々の予想よりも少しばかり早かったのですが、AJさまご夫妻らしい旅立ちであったと思います。

この度はご紹介ありがとうございました。
今後ともよろしくお願い致します。

[ケアを振り返って]
病院勤務の看護師であったのご長女さまの希望は、
「母を自宅で看取りたい。その希望を叶えるために協力して欲しい」。

他県に暮らしていたAJさまご夫婦。
慢性閉塞性肺疾患のあるご主人さまはご長男夫婦が見守り、AJさまはご長女さま宅へ移動。
二人は離れて生活することになりました。
寂しさや不安、心配もあり、頻繁に連絡を取り合っていたのが印象的でした。

半年が経過した頃、離れて暮らすご主人さまの体調も悪くなり、ご長女さまはご両親を看ることを決意。
仕事に介護に、そして妻として母として、すべてを一気に担っていた看護師であるご長女さまをチームの一員として、連携してAJさまご夫婦を支えていくことをお約束しました。

AJさまとご主人さまのベッドが並ぶ寝室。
AJさまの診察中、横にいるご主人さまの息遣い、咳嗽、食事量の低下、トイレにこもっている時間が長い…。
色々なことが気になり困り事を確認すると、「先生、僕も診てくれないか。いつも相談に乗ってもらっていたけど、正式にお願いしたい」と言われました。
AJさまも安堵の表情になり、「二人で先生に任せよう」とおっしゃいました。

AJさまのお看取りが近くなるにつれて、活気がなくなり食事量が低下するご主人さまに、励ましでもなく応援でもなく、ただ“見守る存在”であり続けることに徹しました。

AJさまのお見送りの際、人目をはばからず号泣されるご主人さま。
「これからが心配、どのようなグリーフケアができるのか」とスタッフと話し合いました。
そして、1週間後の定期訪問を明日に控えた前日の夜、ご長女さまからの電話が。
「父も母のもとに逝きました…」

「母の葬儀で親戚一同が集まり、父を励ましてくれたけど、父は元気がなく、食事もめっきり減って、『早くAJのところに行きたい。会いたい。寂しい』と泣いてばかりいました。
両親を失ったことは悲しいですが、夫婦関係を思うと愛し合っていた両親を嬉しく思います」
そうおっしゃった、ご長女さまの晴れ晴れとした表情が、今も胸に残っています。

お別れは寂しく、悲しいけれど、生ききった過程にはすべて意味があるのではないかと感じます。

最後に、ご長女さまからいただいたお手紙をご紹介させていただきます。

秋の気配を感じられる季節となりました。
先日、父母の四十九日法要を無事に終えることができました。
ご挨拶が遅くなり大変申し訳ありませんでした。

父や母が生前の頃には、川邉先生をはじめみなさまには大変お世話になり、温かいお言葉や励ましのお言葉を頂きありがとうございました。
最後まで看取りたいという思いから自宅に引き取りましたが、全てが初めてで模索しながらの介護でしたので、本当に心強かったですし、不安なく母や父をお任せすることができました。
ありがとうございました。

少しずつ父や母の物を整理していくと後悔ばかりで“寄り添う看護”とは程遠く、どうしてもイライラして父や母にぶつけているんだろう、もっとこうしてあげれば良かった、優しい言葉をかけてあげれば良かったという思いがあり自分を責めることが多いです。

苦しみに耐えながら『なんでお母さんだけこんなつらい目に遭うの?』と言った母の言葉に返す言葉が見つからず、心の中でごめんねと言うしかなかったです。
そんな側で、母の事を気遣い、息が苦しくてしんどい中、母の為にと頑張っていた父。
母を亡くし悲しみに押し潰され『早く母ちゃんの所へ行きたい』と言った父の事が思いかえされます。

これで良かったのかな?安易に考えていたのかなという気持ちもありますが、父と母を看取ることが出来てよかったと思います。
夫や娘たち、夫の両親もいますので、家族のために頑張っていきたいと思っております。

あの日々を振り返りながらも前に進んでおられるご長女さまから、私たちも力を頂きました。

【看取りの報告書 バックナンバー】
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第13回・第14回ELC東大阪学習会(オンライン)を開催しました。

東大阪プロジェクトの一環として、定期的にエンドオブライフ・ケア学習会を開催しています。
エンドオブライフ・ケアとは、体や気持ちの苦しみがあっても、その人らしく生きることができるようにケアすることです。
エンドオブライフ・ケア協会について、くわしくはこちらをご覧ください。

第13回・第14回は、東大阪プロジェクト創成期から携わってくれている訪問看護ステーションリールの看護師 北村愛美さん(ELCファシリテーター)に、2回に渡り講師を務めていただきました。

テーマは、
第13回が、「生ききる」を支える~理解するよりも理解者になること~
第14回が、苦しむ人へ関わるための”聴く力”~大切な「支え」に気づく~

多職種連携での対応から1対1の対応まで、誰にでもできる具体的な対人援助法を事例やロールプレイを通じて学びました。

受講者は、ともに総勢20名。オンラインという気軽さもあり、今回も全国各地から参加いただくことができました。
またファシリテーターも東大阪メンバー以外にも輪が広がり、大変喜ばしい限りです。


※クリックするとすべてのスライドがPDFでご覧いただけます。


※クリックするとすべてのスライドがPDFでご覧いただけます。

学習会終了後、以下のようなコメントをいただきました。

・日頃忘れてしまっていること、意識がうすくなっていたことをあらためて確認できた。

・ゆっくりとした語りに深みを感じます。グループワークではファシリテーターが役割をきちんとされていて心地よい時間でした。

・北村愛美さんの講義 とても分かりやすく RPグループもご一緒させて頂き温かな姿勢が伝わる学び時間に感謝申し上げます。ありがとうございました。

・介護の現場や地域包括ケアシステムの中で、利用者さんとの関わりの質を向上する事がこれからの私の課題であることに気づきました。

・ゆっくりとした語りに深みを感じます。グループワークではファシリテーターが役割をきちんとされていて心地よい時間でした。

・反復・沈黙を丁寧に解説していただきわかりやすかったです。ありがとうございました。

・このたびの研修ではスピリチュアルペインを抱えた方への寄り添い方をロールプレイで学んだように思います。その中で新たな発見を行ったのはオンラインでも条件を整えれば傾聴が可能だということがわかりました。貴重な学びの場を与えてくださり感謝申し上げます。

・この2,3ヶ月は仕事が忙しく、大切なことを忘れていたように感じています。今回の学習会で、待つことや沈黙の大切さを改めて思い出すことができとても良かったです。明日からまた仕事に励もうと勇気をいただきました。

・良好なコミュニケーションの為には、まず集中して聴くこと。その中でも会話をしている時には、切れ目なく語られる方もおられ、その話をどのタイミングで反復するのが良いのか?と悩むことが多いです。また先回りして話してしまうこともあるので、今回の学習会で沈黙、問い返しまでの流れを学ぶことができました。今後もこのような学習会を継続して開催し学ぶ機会をいただけますと幸いです。

・反復、沈黙、問いかけ、それぞれの意味を分かりやすく解説していただけて、初めての方にも伝わりやすかったのではないかと思いました。

・言葉では分かっていても実際行うのは違い、実際行ってみると大変なことがわかりました。貴重な体験をさせて頂き本当にありがとうございました。皆様方のご尽力に深く感謝申し上げます。

・もっと繰り返し、安心できる場でロールプレイングが行いたいと、思うようになりました。実感できることは、収穫でした。ありがとうございました。

・ZOOMでELC学習会の開催をした当初はロールプレイをどのようにするのかなど、心配したが、今は、ファシリテーターの力やそれぞれZOOMに慣れたことで、スムーズに実施できるようになっている。今回の学習会において、あまりにもスムーズだったので今までの不安はかき消されたように思う。

また、下記のような建設的なご意見もいただけました。

・ワークで用いる事例の件ですが、性別をなくしても良いかも…です。

私たちは、この学習会に参加していただいた方に、何か一つでも「お土産」を持って帰ってほしいと願っています。
明日からの実践につながるリアルな研修となるよう、今後も工夫を重ね、より充実した学習会の開催を目指してまいります。

【エンドオブライフ・ケア研修会のお知らせ】
6月、7月に開催するELC東大阪学習会はすでに満席のため、募集は終了しております。

【第17回ELC東大阪学習会(オンライン)】
日時:9/30(木)18:00~19:30
定員:15名程度
対象:どなたさまでも(地域制限はありません)
タイトル:苦しみ人へ関わるための“聴く力”~反復・沈黙~
社会福祉士 田中宏幸 先生が講師を務めます。
詳細については、facebook記事をご参照ください。
◇facebookはこちらです◇

【第18回ELC東大阪学習会(オンライン)】
日時:10/21(木)18:00~19:30
定員:15名程度
対象:どなたさまでも(地域制限はありません)
タイトル:苦しみ人へ関わるための“聴く力”~問いかけ~
社会福祉士 田中宏幸 先生が講師を務めます。
詳細については、facebook記事をご参照ください。
◇facebookはこちらです◇

募集人数は限られておりますので、ご参加希望の方はお早めにお申し込みください。

【告知・お願い】

東大阪プロジェクトIT担当でもある北村大治さんがLINE公式アカウントを作成してくださいました!
イベントの告知がメインになりますが、YouTubeなどのコンテンツも充実させていきます。
ぜひ『友だち登録追加』していただけますと嬉しいです♪
https://lin.ee/CLr5IEO
LINE ID:@753cfstx

第24回布施緩和ケア研修会(オンライン)を開催しました。

3月27日(土)に、オンラインにて「第24回布施緩和ケア研修会」を開催いたしました。
同研修会のオンライン化にも慣れ、また日本全国各地からご参加いただけるようになり、参加申し込みが200名を超えても対応できるようになっています。
これも布施医師会事務局及び医療介護支援コーディネーターの皆さまのおかげです。
本当にありがとうございます。

以前からお伝えしておりますように、布施緩和ケア研修会は、医師や看護師などの医療職に加え、介護職など多職種に門戸を広げています。

今回も、東大阪プロジェクト代表福村雄一先生(司法書士)に司会を担当していただいております。
受講者は、医師25名、歯科医師1名、看護師56名、保健師3名、ケアマネージャー10名、薬剤師8名、相談員5名の総勢147名でした。

第一部は「緩和ケアで精神障害の患者にどう対応するか」と題して、大阪国際がんセンター心療・緩和科部長 和田信先生、大阪鉄道病院 緩和ケア内科 和田知未先生に講演をいただきました。
簡単にスライドをご紹介させていただきます。


※クリックするとすべてのスライドがPDFでご覧いただけます。

※クリックするとすべてのスライドがPDFでご覧いただけます。

和田信先生の「統合失調症を患われている患者さまは素直で裏表のない良い人である。」というお言葉に、私自身が訪問診療をしている患者さまを思い浮かべ、確かにそうだと腑に落ちました。

また、和田知未先生は「精神疾患を有する患者さまはいろいろな面を持ち合わせた(白と黒の)サッカーボールのようである」と非常に分かりやすく例えてくださいました。
精神疾患を有する患者さまに対して苦手意識を持つこと、言動を理解できない、しようとしないのは誤りであること。
すべてのファクターが異常でないということを頭において対応しないといけない、と学ばせていただきました。

第二部は「精神疾患を持つ人へ明日から活用できるスキル」と題して、『精神疾患をもつ人を、病院でない所で支援するときにまず読む本』(医学書院)などの著書で知られる、訪問看護ステーションみのり統括所長精神科認定看護師 小瀬古伸幸先生に講演をいただきました。
詳細が知りたい方は、小瀬古先生が定期的に開催されている研修会、YouTubeをご覧ください!
「TOKINOチャンネル」

「自分の価値観を持つことは悪いことではない、自分の価値観と当事者の思いの違いに気づくことがまず大切」というお話から、改めて主語は誰なのかを間違わないように、思い込みで関わらないなど、明日から活用できるスキルを学ばせていただきました。
参考図書:『精神疾患をもつ人を、病院でない所で支援するときにまず読む本』(医学書院)

詳しくは、研修会終了後に参加者のみなさまからいただきました多数のアンケート結果にも記載されています。
そのうちのいくつかを、こちらでご紹介させていただきます。
一読していただくだけでも学びになります。
ぜひ、ご覧ください。

・カンファレンスの需要性・医療者側の主観ではなく患者さまサイドの希望の言語化サポートの必要性から押し付けではないケアがみえてくる事が勉強になりました。

・本人が考えることを支援するプロセスと再認識しました。家族からの困り事相談、もう面倒見られないから何とかしてほしい相談に至らないための地域包括ケアも重要ですね。「死にたい」と言われると揺さぶられます。現場に落とし込める濃い内容で、参加してよかったです。

・不満、困りごとの裏の希望、と、線引きする事、ともにプロとしての対応だなと感じました。今日からでも、意識変わりました。

・支援者は、非常に孤独です。特に私は所属するべき組織がないので、常に単独行動です。今回、研修会に参加させていただき、勇気をいただきました。

・精神面の状態は外からは見えないですし、コミュニケーションや性格の問題とされて、しっかりと向き合ってくれる方が少ないと思います。今回、相手の方の理解度を図る上で、大切にしているロジックが知れて良かったです。

・対人援助の難しさは日々感じています。小瀬古先生の ”枠組みを決めておく” が印象的でした。

・小瀬古講師の「初めに枠組みを決めることが本人の為になる」ということに、目から鱗が落ちました。

・精神疾患とがんの合併、在宅見取りが重なるという点に苦手意識をもってしまっていた。包括支援センターではさま々な家族背景の方に短時間の関わりが多く、小瀬古先生の明日から使えるスキルを意識して実践してみます。和田先生が話された、その方と家族の状況にあわせた治療の事例で、がんの在宅見取りがしたい方が精神症状悪化。今まで、精神症状の治療を優先的に考えてしまっていた事に気が付きました。様々な気づきを得られた研修でした。

・精神疾患のある患者さんの関わりについて、偏見を持っていたところもあったため、反省したとともにとても勉強になりました。

・自分の価値観で基準を作りがちなことに気づかされました。スケーリングクエスチョンは使いやすくその後につなげる為のツールとして非常に参考になりました。

・緩和ケアと精神科の看護は共通する部分が多いというように、ほんとにその通りだなと感じました。

・精神科看護については正直苦手意識がありました。しかし、看護師は対象者を全人的に看護師していくなかで共通する部分があり現在、ALSの方の精神的援助の部分で悩んでいたところでしたがスパイスになる部分があり大変有意義な時間になりました。

・精神科の往診をしてくれる医師が増えることを祈っています。というのは、精神科領域の課題だと思われる人が地域に沢山いますが、そもそも受診に拒否しています。警察介入や重症化するなど何か事件が起こるようなタイミングでしか関われないのはやるせない気持ちになってしまいます。認知症初期集中支援チームがあるように、精神科の初期集中支援チームがあれば対象者の人や家族も安心した生活が続けられる可能性も見えてくると思いました。

・ご参加の皆さま方の質問がチャットでできるのは、オンラインならではだと思います。挙手での質問はけっこう躊躇があるので。また、質問が文章化されることで、簡潔で伝わりやすいと思いました。東京からの参加なので、オンラインでの開催はとても有難いです。

・精神科患者だけでなく通常関わっている患者やスタッフとのコミュニケーションにも役立つ内容でした。

また、下記のような建設的なご意見もいただけました。

・緩和ケア研修会ですので、精神疾患患者の理解は深まりましたが、看取り、終末期の精神患者の心理ケアなどまだまだ聞いてみたかったです。

・精神疾患患者より、発達障害や認知症がテーマがよかった。

・見直したい部分があるので、もし録画があれば、後日も観られると嬉しいです。

・緩和医療、癌患者ともなるとケースは限られるが良性疾患、訪問診療での精神科的問題は多々ある。今回の研修が役に立ったかと言うと何とも言えない。

・他の参加者が見えないので、規模や、どのような聴衆にむけてのお話なのか掴めず、質問をためらいます。

東大阪プロジェクト
出会うことで人が動き出し、ともに未来を変える
~穏やかなエンディングをみんなで~

今後も研修会を定期的に行ってまいります。
ぜひ、ご参加ください。

【第26回布施緩和ケア研修会(オンライン)】
日時:10/16(土)18:00~19:30
定員:200名程度
対象:どなたさまでも(地域制限はありません)
タイトル:「アドバンス・ケア・プランニング~その人らしく生ききるために~」
今回は「アドバンス・ケア・プランニング」を取り上げ、即した症例の事例検討を行います。
社会医療法人若弘会若草第一病院 山中英治先生同院緩和ケア認定看護師 山本直美先生にご講演、事例紹介を担当していただきます。

▼詳細については、以下記事をご参照ください。
◇facebookはこちらです◇
▼お申し込みは下記からでも出来ます
https://17auto.biz/fuseishikai/touroku/entryform5.htm

ICTを用いた医療と介護の連携

~繋ぐいのち、穏やかなエンディングをみんなで~

私たちは東大阪プロジェクト「出会うことで人が動き出し、ともに未来を変える~穏やかなエンディングを」の一環として、医療と介護の連携に関する講演を行っています。

今回は、地域包括支援センター・イースタンビラ様よりご依頼があり、定期的に開催されている研修会の一環として講演させていただきました。
参加者は、医師1名、歯科医師1名、薬剤師1名、看護師2名、保健師2名、介護支援専門員4名、訪問介護員1名、東大阪市保健センター2名、在宅医療コーディネーター2名。
総勢19名で、本当に多職種でした。

テーマは、「ICTを用いた医療と介護の連携」。

いきなりですが本題に入ります。

1. 日本の地域医療の現状
まずは、ICTで連携という前に知っておかないといけないこと。
それは日本の地域医療の現状とその先について。
人口動態から多死時代が来ることは明白であり、特に2025年には団塊の世代がすべて後期高齢者を迎え、年間で150万人が亡くなると推定されています。
病院で最期を迎えることが困難な時代に備え、地域包括ケアシステムがうたわれています。
この会に参加してくださっている方々全員がこの「地域包括ケアシステム」の輪に入ります。

2. 地域包括ケアの国からみた意味
団塊の世代が高齢化することにより、療養型病院がひっ迫し、多くの入院困難患者様が発生することが想定されたため、国は地域包括ケア推進で課題を解決する道を選択しました。
病院では、院内でごく普通に多職種連携しチーム医療を行っています。
同じことを、地域包括ケアにて独立した多職種事業所が一丸となって実現しなければなりません。

3. 目標管理の重要性
多職種事業所が独立している中、どうしても「局所最適」に実施されているケア内容を、「全体最適」を目指し、より効果・効率的なアクションを実施できる仕組み作りが必要です。
患者さまの想い、最適な医療介護のために、課題を共有し、皆、同じベクトルで問題解決していく仕組みが必要となります。
また、そのためには、簡便で、共通的に分かる言葉でモニタリング(観察・実施)することが重要になります。
では、局所最適から全体最適を目指し、より効果・効率的なアクションを実施できる仕組み作りにはどのようなものがあるのでしょうか。
一般的には、次のような4つのものが挙げられます。
1)電話、2)FAX、3)タイムライン形式(SNS)、4)目標管理アプリ。
各々のメリット、デメリットは表を参考にしてください。

4. 電話・FAX活用時の問題 よくある意見
電話、FAXは手軽ですが、安全ガイドラインを守り、正確に実施すると実は生産性が悪くなります。
1対1の受け渡しが原則のため、断片的な情報の伝言ゲームとなってしまうこともあります。

5. 国の医療介護連携 ICT活用の促進策
ようやくここで今日の本題に入ります。
国は医療介護連携におけるICT活用をどのように考えているのか。
実は、国はケアマネに対し、医療機関との更なる情報連携を求めています。
例えば、平時からの医療機関との連携促進であったり、ケアマネから主治医等に必要情報伝達を義務付けていたりなどが挙げられます。
今までは、電話、FAXでの連携で間に合っていたかもしれませんが、この先は煩雑すぎて実現は困難です。
そう、実質的にICT連携しないと実現できない状況に置かれています。

6. SNS(タイムライン)形式
ICT連携の一例として、SNS(タイムライン)形式があります。
日常生活でよく使用されている『LINE』も、このタイムライン形式のひとつです。
この形式を医療に特化したものに『Medical Care STATION』があります。
これは『LINE』に例えるとグループトークにあたり、ある患者さま・利用者さまに関わる医療介護職を招待と参加の承認を経て、グループを形成します。
『LINE』を利用している方も多いため、非常に使いやすく、報告も容易です。
時間を問わずに送ることができます。
初めは多くの方が色々と投稿し、連携している喜びを分かち合うことができます。
一方で、この報告が増えると大切な報告が埋もれてしまう危険性があり、後で読み直すことが大変になります。
また、急ぎなのか、急ぎではないのか、報告だけなのか、返事が必要なのかは、文章を読まないと分かりません。
これが昼夜を問わず送られてきます。
そうなると、「緊急だと、電話がかかって来るだろうから、見なくていいや…」という医師が居てもおかしくありません。
このSNS形式は一見簡単に見えるのですが、負担ばかりが増えてしまい、連携すること自体が目的化してしまいかねません(あくまで私の使用経験です)。

7. 目標管理アプリ 『ひかりワンチーム』~当クリニックでの取り組み~
大切なことは連携することではなく、患者さまの想い、最適な医療介護のために、課題を共有し、皆、同じベクトルで問題解決していくこと。
そのためには、患者さま毎の目標管理の仕組みを導入することが必須です。
そして行き着いたのが『ひかりワンチーム』。
チームは必ず「ワンチーム方針」(「現状の課題」、「大目標」、「当面の目標」)を設定し、その内容に則って連携を進めます。
患者さま情報の生活状況などは、ケアマネージャーが作成されているフェイスシートに似通っており、入力するも容易です。
薬剤状況は薬剤師、クリニックが入力することで共通認識ができます。
目標に基づき、患者さま毎にモニタリング項目を簡単にボタン設定。
コメントを読まなくても、フェイスバッチで視覚的に状況がわかります。
何より、トリアージ役を設けることで、医師もメンバーのひとりとして医師の役割に専念することができる!
外来が忙しい医師も、医師の役割に専念できるのであれば、在宅訪問診療へ踏み出せるかもしれません。


※クリックするとスライドをPDFでご覧いただけます。

これを通じて伝えたかったのは「やってやれないことはない」ということ。
これは看護師・川邉綾香の名言です。

「情報を共有することそのものを目的」とするのではない。
患者さま・ご家族さまを主語とし、患者さま・ご家族さの満足度を高まるために何をすべきかを考えねばならない。
そのためには「目標管理の仕組み」を導入することが必要だと、私は考えます。

チーム一丸となって、苦しむ人への支えになることはできるのです。
ひとりで抱え込まずに、顔の見える関係を築き、支え合う“多職種連携”を、今後も行なっていきます。

これらの会に参加することは、顔の見える関係を築くひとつになるかもしれません。
職種は問いません。
是非、ご参加ください。

【縁起でもない話をしよう会・第8回東大阪プロジェクト(オンライン)】
日時:6/5(土)18:00~20:00
定員:30名程度
対象:どなたさまでも(地域制限はありません)
<前半>
話題提供:小説家が死を物語にする時
講師:小説家 仁木英之 先生
<後半>
話題提供を受けての語り合いの時間。
5名程度のグループとなり、自由に縁起でもない話をしていただけます。
▼詳細については、以下記事をご参照ください。
◇facebookはこちらです◇
▼お申し込みは下記からでも出来ます
https://88auto.biz/higashiosaka/touroku/entryform9.htm
◆くわしくは、ここをクリックしてチラシでご確認ください◆

【縁起でもない話をしよう会・第9回東大阪プロジェクト(オンライン)】
日時:8/7(土)18:00~19:30
定員:30名程度
対象:どなたさまでも(地域制限はありません)
<前半>
話題提供:ケアマネージャーの仕事って!?
講師:介護支援専門員 尾垣徳弘 先生
<後半>
話題提供を受けての語り合いの時間。
5名程度のグループとなり、自由に縁起でもない話をしていただけます。
▼詳細については、以下記事をご参照ください。
◇facebookはこちらです◇
▼お申し込みは下記からでも出来ます
https://88auto.biz/higashiosaka/touroku/entryform12.htm

【看取りの報告書】AIさまのこと

クリニックでは、患者さまが最期の時間を過ごされたご様子を「看取りの報告書」としてまとめています。

今までかわべクリニックがお見送りをした患者さまの「看取りの報告書」を、担当看護師の思い出と共にご紹介していきたいと思います。

AIさまのこと
色々な思い出残る誕生日
~尊厳を守ることの大切さ、ケアをする難しさ~

いつもお世話になっております。
昨年夏に貴院を退院されましたAIさまについてご報告させていただきます。

初回訪問時、ご自宅のベッドが簡易ベッドであったため、現状および今後の事を予測して、介護用ベッド、ケアマネージャーの介入を提案しました。
しかしAIさまは、「そのうちよくなるから、そっとしておいてほしい」「入院中に吐血をして、絶食をしたから痩せてしまった。また、太ってくるはず」と、現実を受け入れたくないと思われる発言。

息苦しさはあるが、『息苦しい』と言ったら負け
『苦しい』と言ったら、酸素を付けないといけないかもしれない…
何よりも悪くなっているとは思いたくない

AIさまにとって、私たちに「息苦しくないか」と聞かれることが苦痛なのではないのかと判断し、診察の際には奥さまを通して状態の把握に努めました。

AIさまは、月に一度貴院の外来に行き、その帰り道で百貨店に寄ることが楽しみでもありましたが、秋になり、ADLが一段と低下。
自ら外来受診の延期を申し出たため、薬物調整を行い、ナルサス2㎎、デカドロン2㎎を開始。
少しは食事量も増え、呼吸困難も軽減され、診察の際の表情も良く、楽しげに話されていました。

しかし、年末になるとさらに病状は進行し、体動時の呼吸促迫も著明となりましたが、そのような状況でも酸素導入、ベッド交換は拒否。
奥さまの介護疲れもピークに達し、入院する話も出ました。
しかしながら、「お父さんは絶対嫌って言うわ」と奥さまがおっしゃったため、私たちの訪問回数を増やし、何とか自宅での療養を継続することができました。

そして、奥さまがテレビ鑑賞中にふとAIさまの顔を見たときに呼吸が止まっていることに気付き、クリニックに連絡。
安らかに永眠されました。

奥さまは、「今朝までお茶も飲んでいたし、お茶の置く位置を注意された。いろいろと頑固で大変やったけど、こうやって家で看れてよかったわ」とおっしゃっていました。

ご紹介ありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します。

[ケアを振り返って]
このケースを振り返ると数々の物語がありました。
『生真面目』『頑固』『融通が利かない』の代名詞のようなAIさまと、彼を3歩下がって支える奥さま。
二人の共通の趣味が晩酌でした。

しかし、病気の進行につれてその時間が共有出来なくなっていく寂しさ。
それでも「君が飲んでいる姿を見ることで満足だよ」と優しく声をかけるAIさま。

私たちの前ではとにかくシャイで、そのような一面を見せていただくことはできませんでした。
そして、苦しさを悟られたくない、今の状況を苦しいと言いたくないという、ある意味、強い意志さえ感じられました。

ある日の訪問で、起床時から呼吸困難があり、朝の薬を飲めていなかったため声をかけると、
「一日一回の薬でしょ。であれば、そんなに焦らずに朝に飲まなくてもいいのではないですか?これから飲みますよ」

トイレの後、呼吸促迫しているため声をかけると、
「これくらいのしんどさはどってことないですよ。大したことないですよ」

こちらの心配をよそに言い張るAIさまと、困った表情の奥さま。
もちろん、症状緩和を行った上でのより良い療養の提案という点で、在宅酸素や介護ベッド、ポータブルトイレ、ヘルパーの導入を提案しましたが、全て拒否。

AIさまを通して看護を振り返ったこともあります。
こちらの記事もご参照ください。

「シャイな患者さまとのコミュニケーション克服術!」

AIさまの尊厳を守ることは大切です。
でも、AIさまを支える奥さまを守ることも、私たちの努めなのです。
最後まで介護保険を利用することはありませんでしたが、可能な範囲でケアの工夫を行い、ご自宅での看取りとなりました。

奥さまと、
「今まで誕生日はいい事しかなかったの。結婚をしたのも誕生日の日、肺癌の手術をして成功したのも誕生日。そして、今日は息子の誕生日。私の息子を本当の父親のように育ててくれた。感謝しかない。今日で父親の役目を終えるのかしら」
そんなお話をした数時間後、AIさまは旅立たれました。

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