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「縁起でもない話をしよう会・第29回東大阪プロジェクト」を開催しました

「縁起でもない話をしよう会」とは、医療や福祉に関わる方々と地元の人々が参加する、鹿児島にある妙行寺さんが発案された地域交流イベントです。

普段はあえて口には出さない「縁起でもない話」をみんなで語り合い、これからの人生をいかに生ききるかを考えるきっかけ作りの一つとして、東大阪プロジェクトでも継続的に開催しています。

縁起でもない話チラシ
※クリックするとPDFが表示されます

ビリーブメントカンファレンスとは

グリーフ=悲嘆については、ここで何度か紹介してきました。一方でビリーブメントは、喪失による悲嘆、大切な家族や友人などと死別する体験を示す言葉です。

グリーフとビリーブメント
グリーフ(grief)とは、喪失に対する感情的、認知的、行動的、身体的反応の総称であり、最も深刻な喪失体験の一つがビリーブメント(bereavement)、すなわち死によって重要な他者を亡くすという、いわゆる死別体験である。ビリーブメントは一部の人のみが経験する特殊な出来事ではなく、人生において誰しも1度ならず経験しうる体験である。(引用:日本グリーフ&ビリーブメント学会ホームページ)

現在、医療の現場では多職種で患者さんの治療・ケア、今後の方針などについてカンファレンスを行うなど話し合う場が設けられています。これを患者さんが亡くなられた後に行われることから「デスカンファレンス」と呼ばれていましたが、「デス」という言葉の重みを和らげる意味も込め、「ビリーブメント」と置き換えられるようになっています。

このようなビリーブメントカンファレンスの名称となった経緯説明から、今回のお話しは始まります。

ビリーブメントカンファレンスの現状と将来像

お話しをしてくださったのは透析看護認定看護師で滋賀県にある豊郷病院の鉾立 優作さんです。

https://www.youtube.com/watch?v=yDtvpILWJRs

お話しの様子は動画でご覧いただけます。

鉾立さんによると「ビリーブメントカンファレンス」つまり患者さんの死後にこれまで行ってきた治療やケア、意思決定支援について多職種で振り返り、評価を行うケース自体が少なく、これからの課題であると感じているそうです。鉾立さんの勤務する病院では2016年よりビリーブメントカンファレンスを多職種で行い始めて、翌2017年からは遺族の方々も交えて行うようになりました。

ビリーブメントカンファレンスには、残された方々のグリーフ(悲嘆)ケアを行う目的もあるのでし。「医療者、遺族共に明日へ繋ぐ一歩になれば」(鉾立さん)と考えて取り組みを続けておられます。

鉾立さんの講義

 

遺族を交えたビリーブメントカンファレンスの意義

私たち医療者がどれだけ患者・家族に寄り添い、希望された治療・ケアが提供できたかは、患者さんを間近で支えてきたご家族の目線での振り返りがなければ正しい評価はできない、と鉾立さんたちは考えています。

逆に遺族と多職種がともに振り返ることで、本当の意味での評価ができ、今後に活かすための意義のあるビリーブメントカンファレンスになるのではないかと、お話しをまとめまれました。

鉾立さんが日常的に接する透析の分野には、保存的腎臓療法という言葉があります。これは末期の腎不全など、透析や腎移植を行わずに、患者さんの生活の質と症状のコントロールに重点を置いた選択です。

「何を優先して治療するのか、もしくは中止するか」の選択に対して正解はありません。だからこそ、その人にとって「よかったのか」を振り返ることが重要です。

縁起でもない話をしよう会に参加された方々

今回も全国各地から51名もの皆さまにオンラインでご参加いただきました。いつもながら積極的なご参加、本当にありがとうございます。

なお講演の詳しい様子は、動画にてご覧ください。

鉾立さんの講演資料

 

後半は参加者同士で自由に語り合う時間

後半は少人数で分かれて、自由に縁起でもない話をしていただく時間を設けています。

自己紹介とともに「お盆に故人と何か、お話しましたか?(お話したいですか)」についてお話しした後、「ビリーブメントカンファレンスに遺族が参加することは稀です。縁起でもない話ですが、あなたが遺族の立場となった場合、参加することについてどう思いますか?」

について感想も含めて自由に語っていただきました。

会の終了後、参加者のみなさまから感想をいただきましたので、いくつかご紹介させていただきます。

<講義の感想>
  • ビリーブカンファレンスは医療者側と、家族側のそれぞれの思いや考えを知ることができ、家族側だけではなく医療者側も救われるとわかり、それがACPに繋がる…なんてすごい事なんだろうと、感動していました。
  • ビリーブカンファレンスの実際の本来の形を知れてよかったです。以前のデスカンファレンスを、配属先で行われていたときは、家族さんは参加されず頂いた言葉を共有しただけでした。医療従事者たちが責任を感じる、とても辛い会になっていっており「もう2度と行いたくない。参加したくない」と、皆が思ったものでした。不安の解消や、情報の共有。今後の、関係性や捉え方の新たな方向性など、前向きになれる内容もあり、知れてよかったです。
  • 腎不全から透析を選択する事は、医療とは切れない命の選択を行うことになり、死と隣り合わせで生きていくことになります。亡くなる時の様子を心づもりできていたら、その後のグリーフも受け止めやすい人もいるかもしれません。で今回のようなカンファレンスは非常に良いと思いました。
<グループワークの感想>
  • 素敵な仲間のお話が聞けて、気持ちが前向きになりました。ありがとうございました。
  • 現在直面しているご遺族との関わりについて悩んでいることを話して、受け止めてもらえて嬉しかったし、いいヒントをいただけた。
  • ご一緒された方々の体験を混じえたお話が、勉強になりました。訪問看護の世界を一旦離れて、外から眺めて見たいと違う業界に行かれたお話や、病気ではなく、人を見る医療職の姿勢の重要性など心に残りました。
  • 自己開示でお話することと他者のお話を聴くことで有意義な時間でした。
  • 自由に語る会についてそれほど期待していたわけでなかったが、ディスカッションが白熱してたいへん期待がはずれた満足できた語る会でした。今日の鉾立先生の導入を受けて同じグループの方のありのままの死生観が聞けて、自分も語れて、自分の中にあったグリーフがケアされたと感じました。

次のような建設的なご意見もいただいています。

  • 質疑応答する時間がほしかった。
  • お題が何だったのか、途中わからなくなり、戻すことが出来なかった。
  • 半分くらいの時間でもっとたくさんの人と意見交換をしたかった。

さらにこのような応援のメッセージも届いています。

<感想>
  • 私の地域でも「まちカフェ」みたいな催しをやってみたい!
  • 地域の医療の在り方 、多職種連携の在り方 等などを、こんなにも 真剣に考えている地域:東大阪市 が あることを知れて 、いい刺激を受けています。 当地域は なかなか難しい状況にあるように思いますが 、参考にさせて戴きたいと思います。
  • 初めての参加でした。参加者の多さや、職業の幅広さなど、とても驚きました。こういった場が医療と人と地域を結ぶ活動になるのだなと感じました。自分自身も今はいわゆる医療従事者ではありませんが、一般に医療や福祉といわれる仕事の外側から医療や福祉に携わっていきたいと思ってます。学ばせていただきながら、自分にできることを少しずつでも発信していけたらと思ってます。

など貴重なご意見をいただいたので、今後の「縁起でもない話をしよう会」では、これらのご質問にお答えできるような会にしたいと考えています。

「つなぐ」というよりもっと自然に顔が見えるような関係を築き、お互いに気軽に相談できる 『誰もが主役の街』を目指して、東大阪プロジェクトはこれからも講演会・研修会を定期的に開催していきます。

まだご参加いただいたことのない方も大歓迎です、ぜひご参加ください。

【今週の東大阪プロジェクト】

東大阪プロジェクトの活動の一部をご紹介させていただきます

>ぜひご参加ください<<

【お知らせ・第7回まちカフェ@東大阪プロジェクトin藤田珈琲(参加費有料)】

懇親会のご案内です。
リアルでも顔の見える関係を築きませんか?

暮らしを支える皆さま(医療・介護・福祉に限らず)が集うトークカフェイベントです。
懇親会もあり、意見交換、お悩み相談、名刺交換など自由にお話しいただけます。

話題提供:
声の健康を守るための声帯ケアガイド
松山耳鼻咽喉科 松山浩吉先生

日時:
令和5年10月21日(土)18:30~20:00(途中参加・退席可)
(お早めの来場をお願いいたします)

場所:
藤田珈琲the ROASTERY Lab.

東大阪市高井田1-20 (駐車場完備)

定員:30名程度
対象:どなたさまでも(職種は問いません)

会費:2000円(コーヒー+お土産(生食パン1斤+ドリップバッグ)付き)

第7回「まちカフェ」のご案内

※クリックするとPDFが表示されます

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