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人生会議はバトンの受け渡し。私たちに引き継がれるとき【看取りの報告書・BQさまのこと】

かわべクリニックでは、患者さまが最期の時間を過ごされたご様子を「看取りの報告書」としてまとめています。これまでお見送りをした患者さまの「看取りの報告書」を、担当看護師の思い出とともにご紹介したいと思います。

自分の意志を終始一貫伝え続けた

病院への看取りの報告書

いつもお世話になっております。1カ月半前に退院されたBQさまについてご報告させていただきます。

BQさまは三味線の演奏者として宗家の5代目継承者であり、舞台人としての強い誇りを持って生きてこられました。奥様は、BQさまの芸術を守ること、芸術家である彼の意思を尊重し、尊敬することを生きる指標としておられました。

BQさまの発する言葉はすべて「現状に負けずに生きる。元気になりたい」というものでした。そのため外来受診して、輸血を受けることはBQさまの生きる支えでした。一方で奥様は外来受診のたびに、移動や輸血に伴う身体への負担を気にされ、限られた時間を受診に使うべきなのか悩んでもおられましたが、それでもBQさまの気持ちは一度も変わることはありませんでした。

最後となった受診はストレッチャーを利用して行われました。「病院での受け入れは不安でしたが、たくさんの配慮をいただいた」と奥様は感謝しておられました。帰宅後、自然と意識レベルが低下し、次回の受診が予定されていた前日の朝、安らかに永眠されました。

身体症状の軽減を図るための薬剤の選択は非常にセンシティブなものでした。叶わない願いを持った患者さんを支えるご家族にとっては、現状を理解し、それでも本人の意思決定を支援し、最後までサポートすることは難しいことだったと思います。

ご紹介いただきありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します。

「人生会議」は一般にほぼ浸透していない現実

最近は東大阪の公民館を中心に、あちらこちらで「人生会議を開催してみませんか?」という講演会を行なっています。

講演会では上記のようなテーマを中心に、お話ししています。

厚生労働省が人生会議の認知度に関して行った調査(令和4年度)によれば一般市民で「よく知っている」と回答した割合は5.9%、「聞いたことはあるがよく知らない」が21.5%、「知らない」と回答した方は 72.1%にものぼりました。この結果から、人生会議の存在は一般市民に対してほぼ知られていないままだと言えます

人生会議によって “バトン” が受け継がれる可能性は高まる

これでいいのでしょうか?

人生会議を、もっと身近な存在と感じてもらうために、私たちは「大切な人に自分の思いを伝えること」だと言い換えて説明しています。これは、リレーにおける「バトン」のようなものだと言い換えられます。

“受け継ぐもの=バトン" だとすれば、あなたは今、何本のバトンを持っているでしょうか。

忙しい毎日を送っていると、自分が誰から何を受け継ぐのか、将来的に何を受け継がなければならないのかを考える時間が少なくなってしまいます。しかし、人は一人で生きているわけではありません。私たちは、何かしら引き継いでおく必要のあるものや、その必要がないもの、さまざまなものを持って暮らしています。

家族や友人、そして地域社会から受け継いだものがあっても、私たちはそれらを意識せずしてごく自然に受け継いでいます。しかし本来、将来の世代に何を残すかを考えることは、決して軽視できない重要な課題です。

私の実家でも事業を営んでいました。父が築いた会社を、私と弟のどちらが継ぐべきかという話題が出ましたが、結局ふたりとも別の道を歩んでいます。それなら、父の事業をどう終わらせるか、それはいつなのかという問いにやがて直面するはずです。幸いに現在の父は元気ですが、将来何が起こるかわかりません。

だから私たち家族も人生会議・ACPを行います。大切な人に、自分の思いや考えを伝えておくことが重要です。

元気なうちに、今だからこそ

地道に講演会を続けていると嬉しい相談や報告をいただくこともあります。

お子様がおらず、先に夫を亡くされたある女性は、自分に何かがあったあとの住まいの処理に悩んでいて、今のうちに相談できる人を探そうと決意されたそうです。

また別のお子様がいないご夫婦は、今後の家や遠方にある実家の処理について考え、話し合いを始めたと仰っていました。

いずれも講演会に参加したことがきっかけになったと言います。もし結果としてうまくバトンがつながったら、これに勝る喜びはありません。

私たちが「受け継ぐもの」はさまざまです。財産や資産、権利や義務、知識や技術、伝統や文化、責任や使命など、無形のものもたくさんあります。

自分のバトンが何か、そのバトンをどのように使っていくかを考えることは、自分の大切にしている人や物に思いを巡らせるよい機会になります。そして、それを言葉にして伝えることで、思いが実現に向けて前に進みます。最終的に、誰もが豊かに生ききるための希望や穏やかさにつながるかもしれません。

改めて、自分が何を受け継いでいるのか、そして将来的に何を受け継ぐべきかについて、少し考えてみる良い機会となれば嬉しいです。

参考
人生の最終段階における医療・ケアに関する意識調査 報告書

【今週の東大阪プロジェクト】

東大阪プロジェクトの活動の一部をご紹介させていただきます

【縁起でもない話をしよう会・第35回】

参加費無料のアドバンスケアプランニング研修会のご案内です。
ご興味をお持ちの方は、ぜひご登録ください!

【申し込み】参加無料

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Facebookからも参加申し込み可能です
普段はあえて口に出さない「縁起でもない話」を語り合おう!という趣旨の会。

お気軽に申し込みください!

話題提供:気持ちよく出す排便ケア~最期まで安心して暮らすために~
講師:POOマスター・看護師 山本初美 さん

後半は、話題提供を受けての語り合いの時間です。
5名程度のグループとなり、自由に縁起でもない話をしていただけます。

日時:令和6年4月25日(木)19時から20時30分
場所:オンライン(Zoom)
定員:90名程度
参加費:無料

概要:
排泄の問題はその人の生活や人生、尊厳に関わります。最期まで安心して暮らすために今から取り組める排便ケアについてお話します。

POOマスターとは:
排便ケアを基軸としたコミュニティケアのプロフェッショナルです。

※クリックするとPDFファイルが表示されます

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