今年の4月中旬に大阪府保健医協会の事務局より、交流会での発表をご依頼いただきました。
前回、発表した「出会い、動き、そして未来を変える〜穏やかなエンディングを〜」の「その後が聞きたい」とのリクエストをいただき大変光栄に思いました。
前回・第8回(2021年)に続いて、発表の機会をいただいたこととなります。(参考までに前回の資料も以下からご覧いただけるようにしてあります)
前回からの2年間で東大阪プロジェクトも大きく進化し、「おだやか法人いばしょ」を設立したこともあり、快くお引き受けしました。
交流会分科会の大きなテーマが「日常診療における工夫と実践(在宅)」であることから、私たちの演題は「在宅医療はまちづくり〜幸せになるまちを多職種でつくる〜」としました。
日頃からこのブログをご覧いただいている方には何度もお伝えしている内容ですが、まず発表した概要を簡単にご説明させてください。
かわべクリニックは、2015年9月に在宅支援診療所として開院し、患者それぞれの状態に合った個別性のある緩和ケアを在宅で提供してきました。
「最期は自宅に帰りたい」という願いを叶えることを目指しています。
がんと向き合う患者の「最期は自宅で」という思いをサポートし、病院と同様の療養生活を送ることを信条として、医療ケアを提供しています。
日々の診療とは別に「東大阪プロジェクト」と名付け「出会うことで人が動き出し、共に未来を変える~穏やかなエンディングみんなで~」という世界観に共感している仲間と共に活動しています。
この活動を通じて、地域で主体となる看護師を中心としたフラットな在宅緩和ケアチームを形成し、患者を中心に医療と介護の両面を統合的にサポートすることを目指しています。
さらに医療・介護職だけでなく、多様な職種がチームに関わることで、より包括的なシステムの構築を実現することが目標です。
2023年からは、「人とまちと医療の心地よい関係」を築くことを目標に掲げています。私たちは、わざわざ出向かなくても自然に関わり合える環境を作り出し、お互いの「強み」を活かすことで、気軽に相談できる場所である『誰もが主役の街』を実現したいと考えています。
そのために、以下の活動を行っています。1) エンドオブライフ・ケア研修、2) アドバンス・ケア・プランニング、3) いのちの授業、4)多職種連携の輪を広げるための「まちカフェ」主催。さらに「まちの保健室」(共催:大阪府看護協会)や「がん遺族サロン」などの始動も予定しています。
私たちは、これからも人が集う場所や機会を作り、共通の目的に繋がる問いを立て、そこで出会った人同士が共感のもとに動き出し、解決に向かうことを目指し、日々活動を継続しています。
当日の講演の様子を動画でご覧いただけます。また、講演資料をPDFでご覧いただけますので、こちらもご覧いただけると幸いです。
↑画像をクリックすると講演資料(PDFファイル)が表示されます。
この記事を書いているのは10月です。交流会に向けて抄録を書いたのは約5ヶ月前で、発表したのももう3ヶ月前のことです。
続けて同じ交流会で発表させていただいたことで、改めて2年間を振り返る機会となりました。
驚くことに、気軽に相談できる場所である『誰もが主役の街』を実現するためのに行っていた活動の軸は、4つから6つへと増えました。
コロナがようやく明けたことで、4) まちカフェに加えて、5) まちの保健室、6) がん遺族サロンも展開し始めています。
わずか5人で始めた東大阪プロジェクトですが、今では50名を超える仲間へと増えました。
「出会うことで人が動き出し、共に未来を変える~穏やかなエンディングみんなで~」という世界観に共感してもらえたことが大きな要因だと思います。
この時点でも、巡り合わせや出会いに感謝でしかありません。
地域包括ケアシステムという言葉が行政によって使われ始めたのは2003年。今年で20年の節目ということになります。
私たち東大阪プロジェクトでは、この「地域包括ケアシステム」という用語そのものをなくしたいと考えています。
それは「地域包括ケアシステムの実現を目指す」状態そのものが、本来あるべきものが欠けている様子を表しているからです。
もう現代の日本では「水道や電気の普及を目指す」とはだれも言いません。それらを日々支えてくれている方々への尊敬や感謝の気持ちはありますが、もはや「あって当たり前」の存在だからです。
でも「地域で支える」は、実現できていない。いや、「目指している」だけではなかなか実現しない。
だからこそ、私たちは「そんな当たり前が実現できている姿を究極のゴールと描き、そこから逆算して行動を続けていきます。
そして、こうした多職種の輪を全国各地に広げていきます。
【今週の東大阪プロジェクト】
東大阪プロジェクトの活動の一部をご紹介させていただきます
>ぜひご参加ください<<
【お知らせ・第32回日本がんチーム医療研究会シンポジウム】
研究会のご案内です。
シンポジウム(1)
「がん医療ネットワークナビゲーターによる患者支援の可能性と将来像」
~地域のチーム力向上のために~
日時:令和5年10月14日(土)15:00~16:20
場所:大阪私学会館 第1会場 大阪市都島区網島町6-20
対象:どなたさまでも(職種は問いません)
事前の申し込み:不要(直接会場へお越しください)
会費:2000円
日本がんチーム医療研究会のホームページはこちら
かわべクリニックでは、患者さまが最期の時間を過ごされたご様子を「看取りの報告書」としてまとめています。
これまでお見送りをした患者さまの「看取りの報告書」を、担当看護師の思い出とともにご紹介したいと思います。
いつもお世話になっております。BKさまのケアについてご報告申し上げます。
退院された際、腹水貯留と下肢浮腫が続いており、苦しい症状が続いていました。その時点で、ご自身の体調変化と向き合うことが難しく、予後を受け入れられない様子が見受けられました。
医療スタッフからの質問に対し、時折厳しい言葉で「そんなこと聞いても仕方ないやろ」と答える場面もありましたが、それも倦怠感や不安からくるものであることはすぐ理解できました。
ADL(日常生活動作)が難しくなるにつれ、「もう自分ではできない、あかんな」と語り、奥さまに全てを託すようになりました。
腹水貯留や嘔吐のため、水分摂取が難しい中でも、BKさまは笑顔で大好きなお饅頭をリクエストし、それを家族が食べているのを眺め微笑んでおられました。また、自立して家を離れていた息子さまを呼び寄せ、「これからはお前がお母さんとお姉ちゃんを守ってくれよ」と伝えました。BKさまは自身の価値観の中で「強い父親」であることを大切にされていたのです。
そして退院から3週目を迎えた昼下がり、家族さまと愛犬に囲まれ、穏やかに永遠の眠りにつきました。在宅療養の期間中、ご本人はご自身の病気を受け入れるプロセスを進めつつも、大切な価値観を守りました。このご縁を通じて、私たちはご自身の心の強さとご家族に対する愛の深さを学びました。
BKさまのケアを支えてくださり、ご紹介いただき、心より感謝申し上げます。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
「苦しみとは、希望と現実の開きである。」という考え方は、小澤竹俊先生の著書にも書かれています。
「まだまだ生きたい、諦めたくない、生きられる。あと1年、2年は…」という希望を持っていましたが、現実には予後が1ヶ月未満であると告知されています。このギャップが大きいほど、苦しみも深いものとなります。
しかし日数が経過しても、外見に変化はなく元気に過ごしていらっしゃる場合も少なくありません。がんの診断を受けた日から予後を考えながら生活しているご本人はもちろんご家族にも「もしかして回復しているのでは…」と期待するものです。
それでも再び医師からBSC(積極的な治療を行わず、緩和ケアをメインとする方針)という、2回目の重大な告知を受けます。それでもショックを受けると同時に、奇跡が起こるかもと淡い期待を抱く方もおられます。
希望と現実の開きが大きい場合、苦しみは身体的だけでなく精神的にもおよび、その緩和には時間がかかることが多いです。私たち支援する者は、苦しみをただ聴くことしかできません。ただ、私たちが逃げることは決して許されないと考えています。
こんなとき、看護師はどのように対応したらよいでしょうか?
ある患者さんが「私が今、緩和ケア科に行く必要ありますか?そんなん、お世話になるのは1~2年後かもしれないのに、今からですか?大丈夫なものですか?そもそもうちの家系にがんで亡くなった人はいません。だから私ががんで死ぬなんて不思議で仕方がありません…」と質問されたら。
まず、患者さんの質問に真摯に向き合い、患者さんの思いを尊重することが大切だと思います。そのためにも、患者さんが主治医からどのような説明を受け、どのように理解しているかを確認するプロセスが大切です。
次に主治医から得た情報と現状を改めて照らし合わせ、患者さん自身が自己理解するお手伝いを行います。また、現状の苦しみに対し解決できることがあれば、症状緩和のための治療計画やケアの重要性について説明します。
私は毎回訪問するたびに、患者さんの不安や疑問に対する理解者となり、聴き続けることに努めます。
患者さん、家族さんとともに希望を持つことは大切です。ただしたとえ精神的なショックをなかなか克服できなくても、「支え」に光を当てたケアを行うことで、患者さん自身が穏やかな気持ちに気付けるようになるのです。患者さんのもつレジリエンスの力を信じ続けて、患者さんのタイミングで立ち上がるアシストができるように、私たちは見守るケアの重要性を理解する必要があります。
結果的に最後の診察となったとき、奥様はこう仰っていました。「主治医から『(予後が)3月末だ』と言われたとき、それでも元気なお父さんを見ていたら、本当かな?と思っていました。しかし、その後川邉先生から予後の話を改めてお聞きして、息子に伝えたら、すぐに帰ってきてくれたのです」
「お父さんが息子に向かって『これからはお前がお母さんとお姉ちゃんを守ってくれよ』と言って、息子も「わかった、俺が守る」と約束してくれました。本当に最期まで強い夫でした。ありがとうございました」
このように、患者さんにとっての「希望と現実の開き」が時間をかけて小さくなったとき、苦しみよりも穏やかさに気づいたとき、患者さんはレジリエンスを発揮し、自分の役割を果たそうとします。私は、こうした姿を多く見てきました。
そのためには、症状緩和はもちろんのこと、苦しみを丁寧に聴き続け、レジリエンスを信じて待ち、必要なときに必要なアシストをできるようなケアを続けていきたいのです。
【今週の東大阪プロジェクト】
東大阪プロジェクトの活動の一部をご紹介させていただきます
>ぜひご参加ください<<
【お知らせ・地域連携緩和ケア講演会】
以下の通り講演会を開催します(ハイブリッド形式)。
現地での懇親会もあります(参加費無料 先着130名)ので、ぜひ奮ってご参加ください。
【地域連携・緩和ケア講演会(第32回東大阪プロジェクト)】
今回のテーマは「東大阪発!その人らしい豊かな人生を支える地域をつくる」
参加される方のお住まいに地域の制限はありませんので、お気軽に申し込みください!
日時:令和5年11月4日(土)17時~20時(16時30分より入室可)
定員:東大阪市文化創造館 現地130名・オンライン500名
対象:どなたさまでも(地域の制限はありません)
参加費:無料
「縁起でもない話をしよう会」とは、医療や福祉に関わる方々と地元の人々が参加する、鹿児島にある妙行寺さんが発案された地域交流イベントです。
普段はあえて口には出さない「縁起でもない話」をみんなで語り合い、これからの人生をいかに生ききるかを考えるきっかけ作りの一つとして、東大阪プロジェクトでも継続的に開催しています。
グリーフ=悲嘆については、ここで何度か紹介してきました。一方でビリーブメントは、喪失による悲嘆、大切な家族や友人などと死別する体験を示す言葉です。
現在、医療の現場では多職種で患者さんの治療・ケア、今後の方針などについてカンファレンスを行うなど話し合う場が設けられています。これを患者さんが亡くなられた後に行われることから「デスカンファレンス」と呼ばれていましたが、「デス」という言葉の重みを和らげる意味も込め、「ビリーブメント」と置き換えられるようになっています。
このようなビリーブメントカンファレンスの名称となった経緯説明から、今回のお話しは始まります。
お話しをしてくださったのは透析看護認定看護師で滋賀県にある豊郷病院の鉾立 優作さんです。
お話しの様子は動画でご覧いただけます。
鉾立さんによると「ビリーブメントカンファレンス」つまり患者さんの死後にこれまで行ってきた治療やケア、意思決定支援について多職種で振り返り、評価を行うケース自体が少なく、これからの課題であると感じているそうです。鉾立さんの勤務する病院では2016年よりビリーブメントカンファレンスを多職種で行い始めて、翌2017年からは遺族の方々も交えて行うようになりました。
ビリーブメントカンファレンスには、残された方々のグリーフ(悲嘆)ケアを行う目的もあるのでし。「医療者、遺族共に明日へ繋ぐ一歩になれば」(鉾立さん)と考えて取り組みを続けておられます。
私たち医療者がどれだけ患者・家族に寄り添い、希望された治療・ケアが提供できたかは、患者さんを間近で支えてきたご家族の目線での振り返りがなければ正しい評価はできない、と鉾立さんたちは考えています。
逆に遺族と多職種がともに振り返ることで、本当の意味での評価ができ、今後に活かすための意義のあるビリーブメントカンファレンスになるのではないかと、お話しをまとめまれました。
鉾立さんが日常的に接する透析の分野には、保存的腎臓療法という言葉があります。これは末期の腎不全など、透析や腎移植を行わずに、患者さんの生活の質と症状のコントロールに重点を置いた選択です。
「何を優先して治療するのか、もしくは中止するか」の選択に対して正解はありません。だからこそ、その人にとって「よかったのか」を振り返ることが重要です。
今回も全国各地から51名もの皆さまにオンラインでご参加いただきました。いつもながら積極的なご参加、本当にありがとうございます。
なお講演の詳しい様子は、配布資料もご提供いただいていますので動画とともにあわせてご覧ください。
後半は少人数で分かれて、自由に縁起でもない話をしていただく時間を設けています。
自己紹介とともに「お盆に故人と何か、お話しましたか?(お話したいですか)」についてお話しした後、「ビリーブメントカンファレンスに遺族が参加することは稀です。縁起でもない話ですが、あなたが遺族の立場となった場合、参加することについてどう思いますか?」
について感想も含めて自由に語っていただきました。
会の終了後、参加者のみなさまから感想をいただきましたので、いくつかご紹介させていただきます。
・ビリーブカンファレンスは医療者側と、家族側のそれぞれの思いや考えを知ることができ、家族側だけではなく医療者側も救われるとわかり、それがACPに繋がる…なんてすごい事なんだろうと、感動していました。
・ビリーブカンファレンスの実際の本来の形を知れてよかったです。以前のデスカンファレンスを、配属先で行われていたときは、家族さんは参加されず頂いた言葉を共有しただけでした。医療従事者たちが責任を感じる、とても辛い会になっていっており「もう2度と行いたくない。参加したくない」と、皆が思ったものでした。不安の解消や、情報の共有。今後の、関係性や捉え方の新たな方向性など、前向きになれる内容もあり、知れてよかったです。
・腎不全から透析を選択する事は、医療とは切れない命の選択を行うことになり、死と隣り合わせで生きていくことになります。亡くなる時の様子を心づもりできていたら、その後のグリーフも受け止めやすい人もいるかもしれません。で今回のようなカンファレンスは非常に良いと思いました。
・素敵な仲間のお話が聞けて、気持ちが前向きになりました。ありがとうございました。
・現在直面しているご遺族との関わりについて悩んでいることを話して、受け止めてもらえて嬉しかったし、いいヒントをいただけた。
・ご一緒された方々の体験を混じえたお話が、勉強になりました。訪問看護の世界を一旦離れて、外から眺めて見たいと違う業界に行かれたお話や、病気ではなく、人を見る医療職の姿勢の重要性など心に残りました。
・自己開示でお話することと他者のお話を聴くことで有意義な時間でした。
・自由に語る会についてそれほど期待していたわけでなかったが、ディスカッションが白熱してたいへん期待がはずれた満足できた語る会でした。今日の鉾立先生の導入を受けて同じグループの方のありのままの死生観が聞けて、自分も語れて、自分の中にあったグリーフがケアされたと感じました。
次のような建設的なご意見もいただいています。
・半分くらいの時間でもっとたくさんの人と意見交換をしたかった。
さらにこのような応援のメッセージも届いています。
・地域の医療の在り方 、多職種連携の在り方 等などを、こんなにも 真剣に考えている地域:東大阪市 が あることを知れて 、いい刺激を受けています。 当地域は なかなか難しい状況にあるように思いますが 、参考にさせて戴きたいと思います。
・初めての参加でした。参加者の多さや、職業の幅広さなど、とても驚きました。こういった場が医療と人と地域を結ぶ活動になるのだなと感じました。自分自身も今はいわゆる医療従事者ではありませんが、一般に医療や福祉といわれる仕事の外側から医療や福祉に携わっていきたいと思ってます。学ばせていただきながら、自分にできることを少しずつでも発信していけたらと思ってます。
など貴重なご意見をいただいたので、今後の「縁起でもない話をしよう会」では、これらのご質問にお答えできるような会にしたいと考えています。
「つなぐ」というよりもっと自然に顔が見えるような関係を築き、お互いに気軽に相談できる 『誰もが主役の街』を目指して、東大阪プロジェクトはこれからも講演会・研修会を定期的に開催していきます。
まだご参加いただいたことのない方も大歓迎です、ぜひご参加ください。
【今週の東大阪プロジェクト】
東大阪プロジェクトの活動の一部をご紹介させていただきます
>ぜひご参加ください<<
【お知らせ・第7回まちカフェ@東大阪プロジェクトin藤田珈琲(参加費有料)】
懇親会のご案内です。
リアルでも顔の見える関係を築きませんか?
暮らしを支える皆さま(医療・介護・福祉に限らず)が集うトークカフェイベントです。
懇親会もあり、意見交換、お悩み相談、名刺交換など自由にお話しいただけます。
話題提供:
声の健康を守るための声帯ケアガイド
松山耳鼻咽喉科 松山浩吉先生
日時:
令和5年10月21日(土)18:30~20:00(途中参加・退席可)
(お早めの来場をお願いいたします)
東大阪市高井田1-20 (駐車場完備)
定員:30名程度
対象:どなたさまでも(職種は問いません)
会費:2000円(コーヒー+お土産(生食パン1斤+ドリップバッグ)付き)
今回の講演のご依頼をいただいたのは「ゆずりは」代表の宮本直治さんからでした。私たちが東大阪プロジェクトで定期的に開催している「縁起でもない話をしよう会」を通して交流のある、同会の定例会でお話をしませんかとご依頼をいただきました。
宮本さんが代表をつとめる「ゆずりは」は、がん患者サポートの会ですが、通常の患者会とはややアプローチが異なります。通常は、患者さんに対し「がんばりましょうね」と勇気づけることを主目的とするのに対して、患者さん自身や家族が「死」と率直に向き合い、同じ経験をした者同士だから理解できる悩みや戸惑いを語り合い、生きる力が湧き上がる会を目指していらっしゃいます。
宮本さんもまた薬剤師として医療の前線で活躍しながらも、自身ががんを患い、大きな戸惑いを乗り越えた経験があります。患者さんと医療者が良い関係を保つには、「思い通りにならない中でも、どのように生きていくのか」を考えることが重要であり、「死ぬ瞬間まで考える人を育てたい」との思いをお伺いしました。
かわべクリニックのクレドに照らし合わせ、私たちの想いにも込めて「上手で豊かな生ききりかた」を講演テーマに設定しました。
講演テーマを決めると同時に、私たちはいつもペルソナを設定します。
ペルソナとは、今回の講演を聞いてくださる方の具体的な姿です。
どのように伝えるべき相手を設定したかを説明します。
具体的なアドバイスとしては…
1. 信頼できる医療チームを見つける
2. 情報を収集する
3. 質問をする
4. セカンドオピニオンを考慮する
5. サポートを受ける
6. 健康的な生活習慣を維持する
7. 治療計画のフォローアップを行う
かなり細かく受講される方の気持ちになって考えてみました。
ここまで考えて、私たちが届けたいメッセージ、本講演のゴールが明確になりました。
結論は「広くものごとを考える人になりませんか」。
サブテーマとして「医師も捨てたもんじゃない!」を設定して、実際に講演しました。
3つの事例をもとに、患者さんに対する姿勢として、
・For PatientからWith Patient、そしてBy Patient(患者さんのそばに)の時代へ
・By Patient となることで主語・主体は患者さんとなる、だから患者さんが考えて思いを表明する必要がある
・私たちは患者さんのそばで、患者さんの想いを叶える人になりたい。
そのために患者さんがどのようにすれば良いのか…それが「上手で豊かな生ききりかた」のお話しにつながっていきます。
講演当日の様子は、動画でご覧いただけます。資料(PDF)も公開しておりますので、あわせてぜひご覧ください。
患者さんは1人かもしれませんが。私たちは医療者として可能な限り「1人にしたくない」と心から思います。
また患者さんやご家族、ご遺族の気持ちを完全にわかることはできないかもしれません。それでも可能な限り「わかろうとしたい」と思います。
また地域の方々が「生ききる」ためには、いばしょが必要です。これまで何度も私たちがブログでもお伝えしている内容との一致も感じました。
大きな会議室に集まってくださった方々とリアルにお会いしながら、60分の講演と60分の座談会を無事に終え、新たな出会いもあり、私たちにも学びの時間となりました。
機会をくださいました宮本先生、
ご参加いただいた皆さま、
本当にありがとうございました。
【今週の東大阪プロジェクト】
東大阪プロジェクトの活動の一部をご紹介させていただきます
>>ぜひご参加ください<<
【お知らせ・令和5年度北区居宅介護支援事業者連絡会研修会 (参加費無料)】
主催:北区在宅医療介護連携相談支援室
下記の通り講演会を開催します。
【申し込み】
以下の申込フォームに必要事項をご記入のうえ、
北区在宅医療介護連携相談支援室(FAX:06-6948-8956)
までお申し込みください。
【申込フォーム】
・事業所名:
・氏名:
・電話番号:
・FAX:
日時:令和5年9月22日(金)14時~15時45分
場所:中崎町ホール(大阪市北区中崎西1-6-8)
定員:50名(事前申込制:9/11締切)
対象:在宅医療・介護・福祉に関係する方
私たち「東大阪プロジェクト」で、今年度から定期開催している「まちカフェ@東大阪プロジェクト」は、医療介護福祉に限らず地域の人々の暮らしを支える皆さまが集うトークカフェイベントです。
懇親会もあり、意見交換、お悩み相談、名刺交換など自由にお話しいただける会です。
東大阪プロジェクトがめざす以下のような「まち」を目指すために開催しています。
今回で、第4回を迎えたまちカフェでは、以前開催した「縁起でもない話をしよう会」で反響の大きかった
一級葬儀ディレクター山田貴弘さんに「葬儀サービス、内容・費用・手続きについてズバリ解説!」と題して話題提供をしていただきました。
・費用の内訳
・葬儀会社によって違うこと
・直葬とは
など、普段から聞きたかったけれど、聞けなかったことをたくさんお話しいただきました。
またオンラインではなく、リアルで直接お会いできる場所だからこそ、話題提供の時間終了後に、山田さんの元には多くの方が集まり、名刺交換とお話しが実現できたのだと思います。
実はリアル開催しつつオンラインでも配信するハイブリッド方式も検討しましたが、リアルに限定されているから安心して話せることもあるだろうと配慮して、今回の配信は「無し」とさせていただきました。
後半は懇親会の時間です。前回は紙コップがあちこちに散らばってしまったので、その反省を活かして、名前を紙コップに記入するように工夫しました。これでテーブルにコップを置いても間違えるリスクが軽減されます。
参加者の3分の2は、東大阪に在住もしくは職場のある方で、約半数の方が今回初参加の方でした。
ただ会場の都合上、40名を定員としているため、あっという間に満席となってしまっています。繰り返しご参加いただくのが難しい状況となっていることが心苦しい限りです。
参加された方のアンケートからいただいた感想をご紹介します。
一方で、次なる課題もアンケートから見つかりました。
さらに今後、取り上げてほしいテーマも挙げていただきました。
今後もどんどん新たな試みを仕掛けていくことをここにお約束します。
9月14日に開催する第6回まちカフェは、同じ東大阪市内ながら「藤田珈琲さん」とは別に2か所目での開催が決まりました。
地域包括支援センターくつろぎ、訪問看護ステーションリールとの共催で開催いたします。
場所は長瀬さくらテラス団地で、のいり眼科の浜口輝美先生に「眼科往診のツボと雑学」として話題提供していただきます。
今後の開催予定も決まり次第、順次ご案内する予定ですので、今後も最新情報をぜひチェックしてくださいね。
【今週の東大阪プロジェクト】
東大阪プロジェクトの活動の一部をご紹介させていただきます
>ぜひご参加ください<<
【お知らせ・令和5年度3市3町多職種研修会 (参加費無料)】</font-size: 16pt;strong>
下記の通り講演会を開催します。
<令和5年度3市3町多職種研修会>
主催:泉佐野泉南医師会地域連携室
今回のテーマは
「看護師主体の在宅医療〜『自然と』お互いに気軽に相談できる『誰もが主役の町』」
日時:令和5年9月9日(土)15時から17時
定員:200名(事前申込制 8/25締切)
対象:医療・介護事業所等の関係者
会場:りんくう総合医療センター 教育研修棟3階(大阪府泉佐野市りんくう往来北2-23)
式次第:
・開会挨拶:石本喜和男先生(泉佐野泉南医師会会長)
・座長:松若良介先生(泉佐野泉南医師会副会長)
・講演:「質の高い在宅医療を実現するための取り組み報告」
医療法人綾正会かわべクリニック 看護師 川邉綾香
「高まる在宅医療ニーズに地域社会が応えるには」
院長 川邉正和
・意見交換会&名刺交歓会
地域連携におけるバリア(障壁)について意見交換