• かわべクリニック
    • 在宅療養支援診療所

      医療法人綾正会かわべクリニック

      内科・緩和ケア内科・呼吸器内科

  • 〒577-0843 東大阪市荒川3丁目5番6号 MMビル203

    TEL : 06-4309-8119FAX:06-4309-8118

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【看取りの報告書】AEさまのこと

クリニックでは、患者さまが最期の時間を過ごされたご様子を「看取りの報告書」としてまとめています。

今までかわべクリニックがお見送りをした患者さまの「看取りの報告書」を、担当看護師の思い出と共にご紹介していきたいと思います。

AEさまのこと
癌で息子を見送って4年。ようやく落ち着いた矢先に…
~先生との再会が早すぎる。でも、私もお願いします~

いつもお世話になっております。AEさまについてご報告させていただきます。

先生からご連絡を受けた翌日にAEさまと再会。
4年前とは変わり果てた姿に驚いたものの、以前と変わらない笑顔で出迎えてくれました。
病状を聴取する中で急激に悪化していることを感じ、毎日の訪問としました。

週明けの月曜日には、ご本人も「しんどさがどんどん増している」と弱音を吐かれ、その言葉通りに病状は悪化。
息子さまを担当したケアマネとも連絡を取り、その日の午後に介護ベッドを導入。
金銭面の不安もあったため区分変更申請を代行で依頼しました。

水曜日には、残された時間が更に短くなったと判断し、AEさんにとって心配なことは何か、どのような状況が穏やかであるのかを確認。
心配なのは、愛犬「くるみ」の今後のことでした。
その気持ちを受け、午後より司法書士と面会を段取りし、希望を全て伝えていただきました。

木曜日には、ほぼ臥床状態で傾眠傾向となったことから、お姉さまとご近所の友人に今週末の可能性があることをお伝えしました。
ご本人にとって、愛犬とこの家で過ごすことが穏やかな最期となるのではないか。
その希望を叶えてもらうことはできるかを確認したところ、お姉さまが最期まで一緒に過ごし、ご友人が散歩を担当してくれることとなりました。
そして、無事遺言書を作成。

金曜日、美容師として身なりを常に意識されていたAEさまに洗髪・清拭を行い身綺麗に。
介護認定、区分変更が済み、一部負担金減免の手続きも済ませ、全てが整った安堵感なのか…。
その日の夜、トイレに行きたいけど行けない。
その時に彼女の心は折れ「今日は念のためオムツにしておく」と。

そして、翌土曜日の早朝に、永遠の眠りにつかれました。

AEさまは最期に「後悔は何一つない」とおっしゃった。
その言葉に、強い意志を感じました。

ご紹介ありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します。

[ケアを振り返って]
4年前に40歳で息子さまが癌と診断を受け、積極的な治療は希望しない、自宅で最期まで自由に過ごしたいという希望でかわべクリニックをご紹介いただきました。

息子さまとは2ヶ月程の関わりで、自宅でお看取り。
別れ際に「先生、私の時もよろしくお願いしますね」と言われたが、その時は60代半ばでご病気はなく健康でした。

運命というものは残酷だけれど、また出会うのも運命です。

AEさまの置かれていた状況を知っていた私は、「彼女の『今』」を見ることも大切だけれど、『一歩先』が心配になったのです。
このまま穏やかに亡くなれるのか?
それは身体的という意味ではなく、全人的ケアができているのだろうか?と考えました。

一人暮らしのAEさま、そばには愛犬。
犬はどうなるのか?家は?お店は?次々と疑問が湧いてきました。
同時に、彼女もその問題をどう考えているのか、知りたくなったのです。
彼女は、私の得意分野である医療とは違う苦しみを話してくださった。
そこで私は、彼女のその苦しみを解決してくれるのは「東大阪プロジェクト」の仲間である司法書士だと考えました。
そして限られた時間の中で出来ることを行い、彼女は穏やかな表情で「ありがとう」と言葉を残し、旅立ちました。

今までにも医療と介護の多職種連携が大切であると言われていましたが、私は医療介護だけではない他・多職種連携も大切だと本当に感じています。
人生の最終段階において、関わる人は医療介護だけではありません。
穏やかなエンディングを、これまでの人生に関わったすべての人々で支えることが重要です。

互いに、尊敬・尊重し合い、ベクトルを合わせ、ひとつのゴールに向かい力を合わせること。

まさしく東大阪プロジェクト
「出会うことで人が動き出し、共に未来を変える ~穏やかなエンディングをみんなで~」
この言葉に尽きるのではないか、と思うのです。

クリニック×司法書士

【看取りの報告書 バックナンバー】
・ADさまのこと
・ACさまのこと
・ABさまのこと
・AAさまのこと
・Zさまのこと
・Yさまのこと
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・Eさまのこと
・Dさまのこと
・Cさまのこと
・Bさまのこと
・Aさまのこと

東大阪プロジェクトってなんですか?

最近の私にとってライフワークともなっている「東大阪プロジェクト」。
本当に多くの時間を、東大阪プロジェクトに費やしています。

改めて、「そもそも東大阪プロジェクトってなんなのか?」について
ご説明させてください。

本題に入る前に、まずは「地域包括ケアシステム」についての説明が必要です。
地域包括ケアシステムとは、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、「住まい」「医療」「介護」「予防」「生活支援」が一体的に提供されるシステムのことです。


出典:平成28年3月 地域包括ケア研究会報告書より

この地域包括ケアシステムについて、どれくらいの方がご存知でしょうか?

残念ながら私自身がこれを知ったのは開業してから、つまり約6年前のことです。
大阪赤十字病院に勤務していた頃は知りませんでした。
おそらく、勤務医のほとんどの方は知らないと言っても過言ではないと思います。
付け加えるならば、実際に何らかの介護が必要にならなければ、多くの方は知る機会がないのではないでしょうか。

しかし、突然、介護が必要な状態、病気は身にふりかかってくるものです。
自分自身ではなく、ご両親であったり、パートナーかもしれない。
そうなると右も左も分からずに、この輪(地域包括ケアシステム)の中に組み込まれることになります。

ケアマネージャーってどのような仕事をされているの?
介護保険で何ができて、何ができないの?など全くわからない。
しかし待ったなしで病状は変化し、認定調査が始まり、決断を求められる…。
どうして地域包括ケアシステムが多くの人に知られていないのか。
私なりに考えてみました。

そして、ひとつの結論に至りました。
それはみんなにとって「他人事だから」だろう、と。
では何故、他人事になるのか。
それは、この輪が小さく、係わる職種を医療と介護だけに絞り込んでしまっているからではないか?

これを実感したのが、現在、東大阪プロジェクトの代表を務めている福村雄一先生(司法書士)とある症例(Aさま)を経験したときだ。
医師である私は、当然のことですが病気に関しては得意分野。
病気がどのように進行し、どのような対応ができ、関わっていくのかの説明は容易にできます。
しかし、命と同じくらい大切であろう「お金」に関しては、正直、緩和ケアと同じように上手に説明できる自信はありません。

Aさまと出会ったとき、既に残された時間は1週間未満と予測されていました。
医師としてすぐさま症状緩和を図り、自宅で穏やかに過ごすための環境を調整し、そしてAさまの思いを伺いました
詳細は割愛しますが、Aさまにはお子さまはおられず、遠戚のみ。
望みは愛犬をきちんと最後まで面倒を見てくれる施設に預け、残りの財産は遠戚に委ねたいということ。

ここで登場したのが、以前から知り合いであった司法書士の福村先生です。
彼には予後が短いことを伝え、出来る限りの対応を迅速にと依頼。
結果、亡くなられる前日にはその希望を叶える形で案件をこなしてくださいました。

福村先生にとっては、限られた命であるAさまと向き合って話を進めなければいけないというプレッシャーはあったと思います。
しかし、財産の整理は得意分野であるため、手続きには全く問題がありませんでした。
地域包括ケアシステムの中に、はじめからこのような士業の方が輪に入っていれば良いのに。
改めて、そう思いました。
福村先生もこれをきっかけに、エンドオブライフ・ケアだけでなく、医療・介護について関心を持ち始めました。

この輪をもっともっと広げて、全ての職種の方が輪に入り、得意分野に職種に相談できる関係性を築ければ、医療・介護に関心が深まり、より良い最期を迎えられる。
全ての職種が入ることで、自然に全ての方が地域包括ケアシステムを知ることになるのではないか、という結論に至ったのです。
医療、介護だけのモデルとせず、多職種が関われる真の地域包括ケアシステムを目指す、これが東大阪プロジェクトの起点になりました。

では、実際に東大阪プロジェクトでは何を行なっているのでしょうか。

大きく3つの軸があります。
1)エンドオブライフ・ケア研修
2)縁起でもない話をしよう会(アドバンス・ケア・プランニング)
3)いのちの授業

エンドオブライフ・ケア研修では、人生の最終段階を迎えた方に、どのように対応すると良いのかを中心に学べる研修になっています。
対象者は医療・看護職だけでなく、介護職も含めた全ての職種の方に参加を呼びかけています。
3ヶ月に1回は200名程度が参加できる大規模な研修会を開催し、テーマに沿った講演および事例検討を実施。
また毎月1回はELC東大阪(エンドオブライフケア協会)として20名程度の研修会を開催しています。

第22回布施緩和ケア研修会・総会(オンライン)を開催しました。

縁起でもない話をしよう会は、医療や福祉に関わる方々と地元の人々が参加する、鹿児島市にある妙行寺が発祥の地域交流イベントです。
語ることをタブーにしない地域づくりを目指す主催者の井上住職と意気投合し、アドバイスを得て、同会を東大阪でも開催しています。

「縁起でもない話をしよう会@東大阪プロジェクト」を開催しました

いのちの授業は、「折れない心を育てるいのちの授業」プロジェクトのもと、学校に限らず、様々な場面で学べるように、主に小、中学生を対象に実施。
こちらもエンドオブライフ・ケア協会認定講師が複数名プロジェクトに参加しており、同講師による授業を行っています。

「いのちの授業」を行いました

東大阪プロジェクトは何を目指すのか?
東大阪プロジェクトの活動を通して、クレド(信条)である
「出会うことで人が動き出し、共に未来を変える
 ~穏やかなエンディングをみんなで~」

という世界観に共感してもらえる仲間を増やしています。

人が集う場所や機会をつくり、共通の目的につながる問いを立て、そこで出会った人同士が共感のもとに動き出し、解決に向かうことを目標とし、日々活動を続けています。

かわべクリニックの存在について
一般財団法人日本総合研究所グループの出版社、日総研出版発行の雑誌「エンド・オブ・ライフケア」からクリニックの取り組みについての原稿依頼があり、先日、掲載していただいきました。
開業当初からの想いである「看護師主体のチーム医療で、“最後まで自宅で“の願いをかなえる」の実践について、詳細はこちらを参照してください。

(クリックするとPDFが開きます)

また、2019年8月と12月に朝日放送「CAST」の特集として放送された動画もご参照ください。

朝日放送テレビ「CAST」 特集第二弾の映像が公開されました

【第24回布施緩和ケア研修会(オンライン)】
日時:3/24(土)18:00~20:00
定員:200名程度
対象:どなたさまでも(地域制限はありません)
タイトル:緩和ケア×そのひとらしさ×存在
今回は「精神疾患」を取り上げ、講演会を行います。
大阪国際がんセンター 和田信 先生、『精神疾患をもつ人を、病院でない所で支援するときにまず読む本』(医学書院)などの著書で知られる 小瀬古伸幸 先生にご講演をいただき、同テーマでミニシンポジウムを行ないます。
▼詳細については、以下記事をご参照ください。
https://www.facebook.com/events/238409444341109
▼お申し込みは下記からでも出来ます
https://17auto.biz/fuseishikai/registp.php?pid=2

◆くわしくは、ここをクリックしてチラシでご確認ください◆

2021年の抱負 本年もよろしくお願い申し上げます!

2021.01.06


謹んで新年のお喜びを申し上げます

あけましておめでとうございます。
看護師の川邉綾香です。

昨年はコロナに始まりコロナに終わりました。
生活や働き方が変容し、当たり前が当たり前でなくなった状況の中、戸惑いや不安が襲ってきました。
“出来ない、無理”ではなく、『今だからこそ出来ることは何か?』を問い始め、今までやったことのなかったテレビ会議やZOOMでの勉強会開催。
それにより、今までなら出会うことの出来なかったであろう新たな関わりが生まれ、苦しいからこそ“私たちに出来ること”が見えてきました。
そして、私達を支えてくれる方々への感謝を深くしました。

【改めてかわべクリニックの存在とは?】

開業して5年と4カ月が経過しました。
24時間、365日、院長とひたすら走り続けてき日々でした。

「大変なお仕事ですね。なぜそこまで頑張れるのですか?」とよく聞かれます。

ここで私にとっての「仕事の意味」を考えてみたいと思います。
私にとっての仕事は、もちろん仕事のためでもありますが、何より自分自身を表現する一部であると感じています。

常に考えているのは、『患者さま・ご家族さまの生活向上に貢献するとは…』ということ。
そのために私たちに何が出来るのか、と思い考えを巡らせること。

何かを探究し、多職種と繋がりること。
その結果うまく良い影響を与えることが出来た時も、そうではなかった時も、楽しみでしかない。

自分の存在価値を何かで表現する時、人は輝ける。
その輝きを消さないように、灯し続けられること。
それが有意義な仕事であり、職場です。

かわべクリニックに求められるものは、存在意義や目的、意味、そして仕事の面白さと価値です。
私、クリニックスタッフ、そして関わる全ての方が仕事に意味を見出すことは、非常に重要です。

有意義な仕事をしていると感じている人は、健康、幸福感、チームワーク、エンゲージメントが高い。
みんなが、同じ目的・目標『患者さま、ご家族さまを含めた生活を支える』を共有し、それに向かって自分の最善を尽くしていきたい。
これからも心地よく関われるクリニックを目指す上で、好奇心と探求心を忘れず、チャレンジ精神旺盛で、決して諦めない。
個々の価値観を大切にし、連携する全ての方が信頼し合え、任せあえるチーム作りを心掛けたい。

昨年は、東大阪プロジェクトとして、(1)ELC (2)ACL (3)いのちの授業という3つを軸に研修会を開催してきました。
今年はこちらを軸に更に顔の見える関係を強め、大きく広げていきます。

本年もお力添えの程、よろしくお願い致します。

【看取りの報告書】ADさまのこと

クリニックでは、患者さまが最期の時間を過ごされたご様子を「看取りの報告書」としてまとめています。

今までかわべクリニックがお見送りをした患者さまの「看取りの報告書」を、担当看護師の思い出と共にご紹介していきたいと思います。

ADさまのこと
32歳の生涯…母として、そして子として生き切る姿
~本音はまだ生きたい、子供と離れたくない~

いつもお世話になっております。
遅くなりましたが、昨年ご紹介いただきましたADさまについてご報告させていただきます。

貴院を退院されてから、ADさまは小学生の息子さんと一緒に自宅で過ごせることを、非常に喜んでいました。
息子さんは反抗期ではありましたが、ADさまに甘える場面も多く、母親としての役割を遂行できる喜びを感じておられました。

身体面においては、胸背部痛や呼吸苦に対してオピオイドの調整を行いながら、ADさまが望む「母親としての生活ができること」を目標に、症状コントロールを行いました。

経過の中でご自分の死と向き合い、愛する家族との別れに対して手紙を書くことなどができた一方で、迫りくる最期の時を感じ恐怖や不安が募る時間もありました。
そのような時は、ADさま自身もお母さまに甘え「抱きしめて欲しい」と言葉にすることで、ご自身の心のコントロールをされていました。
一児の母である強さと、娘として母親に甘えたい一面を併せ持つ心情に寄り添いながら、われわれもADさまと共に時間を過ごさせていただきました。

ADさまは、息子さんに余命について話をすべきか、お母さまと共に悩んでいました。
私たちが「隠し事はせずにしっかりと話をしておくことが、ADさまの旅立ちの後、息子さんの心境にも大きく影響すると考える」とお伝えしたところ、その日の夜にADさまから息子さんにお話をされました。
息子さんは涙をこぼしながら話を聞いた後、反抗的な態度は少なくなり、穏やかな親子の時間を過ごすことができました。

亡くなる1週間前まで入浴を楽しみ、前日まで夕飯の片付けを担当されるなど、最期まで母親としての日常をADさまらしく過ごされました。
クリスマスやお正月、息子さんの誕生日を家族と共に過ごす目標もすべてクリアしたのち、ご家族さまに見守られる中、安らかに永眠されました。

この度は、ご紹介ありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します。

[ケアを振り返って]
介入当初、ADさまが私たち医療者に気を遣うこと、そして自身の死を受け入れ、達観された様子に驚きました。
頻回の訪問を重ねて身体的症状緩和をしていく中で、私たちスタッフが同世代という事もあり、ADさまから「あなたなら我が子にどう伝える?」との質問。
スタッフそれぞれの考えを伝えた上で、「あなたはどう考える?」とADさまに問いかけました。
そして「息子は今の現状を理解できない歳でもないから…」と、向き合うことを選択。
私たちはあくまで黒衣に徹し、ささやかながら支援を行いました。
ADさまは、自分自身の言葉で息子さんとしっかり話し合えたことで胸につかえていたものが取れたのか、安堵の表情になりました。

しかし、それもつかの間。次に襲って来たのは「死の恐怖」。
そのときADさまが求めたものは、母の愛情でした。
母に「抱きしめて」と言えなかった過去を吐露され、素直に「抱きしめて」と口に出し、母に抱きしめてもらえることが何よりも温かい薬。
レジリエンスとは、自らの力を信じて待つこと。
毎日母からの愛を受け、息子に愛を与え、母としての役割、息子の誕生日をお祝いするという約束を果たし、ADさまは旅立ちました。

[お母さまからのお手紙]
お葉書ありがとうございました。
ADが亡くなり、もうすぐ4カ月になりますが、私の中では亡くなった日から変わらないままで止まっています。
Y(息子の名前)も中学生になり、陸上部で頑張っております。
今でもYは人前では涙は見せません。
毎日、忙しく世話しています。
Yの存在が私を勇気付けてくれています。

在宅医療のおかげで最期まで自宅で過ごせたことを感謝しています。
先生方や看護師さんの手厚い看護に、ADも感謝していると思います。
余命を病院で過ごすだけじゃないことも知ることが出来ました。
今日はADの33歳の誕生日です。複雑な気分です。

寂しさ悲しさは消えませんが、Yと「お母さんは今頃、病気が消えて天国で元気に走り、笑っているよね」と話しています。

在宅医療の患者さんの為に、先生方、看護師さん方、スタッフの方、ご無理のないように頑張ってください。
そして、心の片隅にADのことを覚えていて下さいと厚かましいことをお願いします。
本当に大変お世話になりました。

【看取りの報告書 バックナンバー】
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「縁起でもない話をしよう会@東大阪プロジェクト」を開催しました

東大阪プロジェクトは、顔が見える関係を重要視しています。
それはクレドにもあるように、お互いがお互いを支える形に、語り合う場があれば、自分自身を知ってもらう機会になり広がると考えているからです。

そんな機会のひとつが「縁起でもない話をしよう会」です。

この会は、医療や福祉に関わる方々と地元の人々が参加する、鹿児島・妙行寺発の地域交流イベントです。
普段はあえて口には出さない「縁起でもない話」を語り合おう!みんなで!という趣旨の会で、これからの人生をいかに生ききるかを考える、きっかけ作りの一環となっています。

今回、東大阪プロジェクトとして初めて開催するにあたり、基調講演として、本家(とあえて言わせていただきますが)の鹿児島・妙行寺の井上從昭住職に、“本家の想い”を語っていただきました。

川邉:
「縁起でもない話をしよう会」を開催しようと思われたきっかけは何でしたか?

井上住職:
ある患者さんが、「病院では死が語れないね」と主治医に言ったそうです。
すると主治医は、「そうですね。病院は死を語れないところですね。でも、死を語れないのは病院だけでしょうか?社会全体が死を隠しているようなところはありませんか?」と。
そこで私はハッと気づかされました。
これをきっかけに、死について語りやすい場を提供したいと思ったのがきっかけです。

川邉:
地域交流という形ですが、対象者はどのようになっていますか?

井上住職:
情報提供者は、医療職だけではなく、非医療職・福祉職も対象にしています。
これはある薬剤師が情報提供を行った時なのですが、会が終了したあとの懇親会では、その薬剤師を囲んでの相談会なったんです。
しかし、ひとり目の相談者であった高齢女性の質問が長く、会がストップする事態になりました。
何でも聞いてくれる、相談できる、繋がれるという安心感のため、そのような事態になったのでしょう。
やはり、お友達のように繋がれて、何でも話ができるような、タブー・境がない関係性を築きたいと再確認しました。
今後も足元も見て、先も見てという「皆がつながる安心感」を提供したいです。

川邉:
いわゆる広義の多職種連携ですね。

井上住職:
はい。知って、話して、(重荷を)放つ場。
話題提供者によって、その後の話す雰囲気は随分と変わります。
つまり、話し手が教えてあげるというのではなく、「参加者とともに一緒に考えようよ」という雰囲気作りが大切なのです。
だから、「縁起でもない話をしよう会」が多職種連携の一つとして機能すればと考えています。
話題提供者には専門職の方に来て欲しい。
そして語り合える時間になると自然と専門職のところに人が集まる。
懇親会の時間も大切なのかもしれません。

川邉:
住職が思う、“来てほしい方々”というのはありますか?

井上住職:
ターゲットは、親を支える世代である40から50歳代のミドルエイジなんです。
宗教が違っても問題はなく、発信していくことで繋がれる、門戸を広げる。
「広げる」大切さ。
求められるものは「語り合える場」です。
そして、「今日はこれだけを覚えて帰ってくださいね」というものを提供すること。
ブログとして残し、記録することで、参加できなかった方にも共有できます。
谷山(鹿児島市)という地域は田舎であり、繋がりが残っているのも事実です。
住んでいる方々の思いをどのように形にするのかを考え、“生ききれる地域”を作りたいと思います。

川邉:
住職にとっての「縁起でもない話をしよう会」とは?

井上住職:
「死」は重たいもの、目を逸らしたいもの、だからどうしても死を隠すという文化があります。
これを壊したい、打ち破りたい。病院でも死を語れるようにしたい。これが当たり前だよというくらいの日常会話になるような社会にしたい。
そのために、常に何らかの形で発信し続けます。
コロナの流行で閉じざるを得なくなる前までは、面白そうという声も聞こえてきていました。
この会は、みんなで普通に「死」を語れる場です。
それが、家族との話のきっかけになればいいな、と思います。
今日のように、皆で語れる場。このような話をしたいですね。
どのような話題であったとしても、自分ひとりではなく、家族も含めて、これからどのように生きていくのかを考えてもらえる場にしたいと思います。

井上住職の講演を経て、シンポジウムとなりました。

●福村雄一(東大阪プロジェクト代表・司法書士)
遺贈寄付というテーマが、これからの人生や家族の話であることがわかった瞬間に参加者さんの表情が変わり、語り合いが始まりました。
「言葉で発する場所があること」×「その場所が言葉で発していいよという場所」であること=「出会うことで人が動き出す」
これのことを、再度実感しました。
言葉にすることで、自分にも周りにもそれが見える化し、気づきが得られると思います。
今後も人が集う場所を作っていくことで、語りたいと思っている人たちの選択肢になっていきたいと思います。

●松本静香(八尾徳洲会総合病院看護師)
「縁起でもない話をしよう会@東大阪」初回は、とても身近な話でとても共感がもてました。
特に、親の介護問題に直面している世代にとって、お金の話はとっても大事で…。
でも、実は自分の話はできても、親の話はなかなか話をしづらいのが現実です。
そんな話から、グループデスカッションでは、自分たちの身近な問題について意見を出し合うことができて、同じ悩みをもつ仲間意識ができて楽しかったです!!

●北村愛美(訪問看護ステーションリール看護師)
「縁起でもない話をしよう会@東大阪」に参加し、『自分の死』について考える時間を持つ機会となりました。
看護師である自分自身が率直に感じたことは、医療者が死のイメージをタブーとしている現状や葛藤を抱いているのではないかということです。
まずは、自分の死を語ることから踏み出してみると、相手の死生観を否定も肯定もしない観点からみることができるのではないかと考えます。
語ることのできる雰囲気や場所、時間を共有することができるキーパーソンでありたいと思っています。

●北村大治(訪問看護ステーションリール代表)
「縁起でもない話をしよう会」というタイトルに衝撃を受けて、何度かこの会に参加させていただいております。
今回は運営手伝いという立場でしたが、「遺贈寄付」や「語ることをタブーにしない」といったテーマで、参加者の生の話を聴かせていただき、私が感じたことは、死についてというよりも、今生きていること(生き方)について考えさせられました。
『今を良く生き、良い死に方(残されたものが困らないように)ができるように、元気なうちに準備できることは準備しておく』ということです。

最後に「縁起でもない話をしよう会」を記録し、そしてブログで公開されている合原千尋さん(行政書士)にもお話をお伺いしました。

川邉:
合原さんにとって「縁起でもない話をしよう会」とは?

合原さん:
行政書士として、安心して暮らすめには「繋がっている」ことが大切だと思います。
そのような地域が出来たらいいな、と思います。
私は父を癌で亡くしたのですが、終末期には在宅で療養をしました。
その頃に「縁起でもない話をしよう会」に父本人も家族もみんなで参加しました。
そして、やはり地域の人と繋がることで安心すると感じました。
だからこれからも、そのような場を作りたいと思っています。

参加者の皆様と、非常に多くのことを語りあえた会になったと自負しています。
これからも「縁起でもない話をしよう会@東大阪」は、「自由に語っていただける場」を提供していきます。

【話題提供】
遺言〜もし遺贈寄付するなら〜
福村雄一先生(司法書士・東大阪プロジェクト代表)
ダイジェスト動画をご覧ください。

次回のお知らせ

【縁起でもない話をしよう会・第4回東大阪プロジェクト(オンライン)】
日時:令和3年2月6日(土)18:00~20:00
定員:50名程度
対象:どなたさまでも(地域制限はありません)
話題提供:もしバナゲーム
講師:大江秀一先生 もしバナマイスター
「もしバナゲーム」って?
『人生の最後にどうありたいか?』
多くの人が大切とわかっていながら、なんとなく避けて通っている話題です。「もしバナゲーム」は、あなたと大切な誰かがそんな「もしものための話し合い(=もしバナ)」をするきっかけを作るためのゲームです。

詳細については、以下記事をご参照ください。
https://www.facebook.com/events/157307352793043

◆くわしくは、ここをクリックしてチラシでご確認ください◆