かわべクリニック

在宅療養支援診療所

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内科・緩和ケア内科・呼吸器内科

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【看取りの報告書】Nさまのこと

クリニックでは、患者さまが最期の時間を過ごされたご様子を「看取りの報告書」としてまとめています。

今までかわべクリニックがお見送りをした患者さまの「看取りの報告書」を、担当看護師の思い出と共にご紹介していきたいと思います。

「最期は病院よ」「やっぱり、病院は嫌」入退院を繰り返す中で見えてきた、Nさまの希望。
「最期は自宅で。入院したら、先生達に会えなくなるから…」

Nさまのこと
~治療はしたくない。ありのままの自分を受け入れて~

[看取りの報告書]
退院支援課 A様

Nさまについて、ご報告させていただきます。

退院後、自宅に帰られた安堵感と、今後悪くなり家族に迷惑をかけたくないという不安が強くあったため、ご家族さまには医療センター緩和ケア科を受診していただきました。

Nさまご本人は、「こんなに寝ていたらダメだから、早く元気になりたい」とのご希望。
予後を鑑み、ステロイドを導入しました。

しばらくして食欲が増進し、百貨店からお取り寄せした美味しいものを毎日のように楽しまれていました。
また、ストマ管理や自室の掃除などもご自身で行い、友人とのお茶会も開催し、有意義な時間を過ごされていました。

ただ、自分の死期を感じておられたのか、最期どこでどのように過ごしたいかを言葉にされるようになり、
「入院したら先生達に会えなくなるから、出来るだけ自宅で過ごしたい」と嬉しいお言葉もいただき、症状緩和に努めてまいりました。

退院して約1ヶ月後、ご主人さまの月参りを自宅で済まされ、娘さまや息子家族、孫、ひ孫らが集まっての昼食の最中、急激な腹痛、嘔吐が出現し、娘さんより緊急往診のご依頼がありました。
前回同様、肝腫瘍からの出血と診断。
以前からのご希望と、現状から救急搬送は賢明ではないと判断し、看取りの方針としました。

セレネースや鎮痛剤等で症状緩和をはかり、苦しむ時間は短く、安らかに永眠されました。
突然の出来事で動揺もありましたが、息を引き取られるまでの間はご家族で思い出話ができ、十分なお別れの時を過ごせました。
退院調整等ありがとうございました。

[ケアを振り返って]
介入当初は、「年齢や体力的なことも考えて治療はしません。好きな所へ行って、好きな物を食べて、好きな人に会って、自由に過ごしたい。そのために、先生方に体調管理をお願いしたいです」とおっしゃっていたNさま。
庭の手入れや洗濯がお好きで、窓から見える庭がご自慢でした。
何よりも食べることが大好きで、お取り寄せグルメや美味しいお店を沢山ご存知。私たちにも勧めてくださいました。

そんなNさまの口癖は「何かあったら病院ですね。家族にも迷惑をかけるから。でも、病院は好きではないのでギリギリでお願いします」。

主病院との併診という形で在宅診療を行ってきましたが、ある日急な腹痛が出現。
急いでお宅にかけつけたものの、「先生、待てないから病院に行くー」と、すでに救急車を呼ばれておりそのまま病院へ。
病院で癌の進行による疼痛である説明をされ、2週間程で退院。
2か月後にも同様の事が起こり、自宅療養をする中で「何も治療はしたくない」と言うけれど、しんどくなったら「病院に行く!先生、もう逝かせて」と訴える。

そうして入退院を繰り返すうちに病状を理解し、自分を見つめ直したNさま。
最期は、どこで過ごしたいか。その希望探しを、私たちも一緒に考え、支えました。
人の気持ちは揺れ動く。
けれど、その時々で選ぶ自由があることは、患者さまの心を穏やかにします。

そして、Nさまの出した答えは「最期は自宅で。なぜなら、先生達に会えないから」でした。

最期の時は急でした。
Nさまとご家族の希望通り、自宅で、ご家族、そして私たちに見守られる中、旅立たれました。
最期をお見送りさせていただき、ありがとうございました。

※プライバシーに配慮し、お名前はアルファベットとさせていただきました。

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