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ICTを用いた医療と介護の連携

~繋ぐいのち、穏やかなエンディングをみんなで~

私たちは東大阪プロジェクト「出会うことで人が動き出し、ともに未来を変える~穏やかなエンディングを」の一環として、医療と介護の連携に関する講演を行っています。

今回は、地域包括支援センター・イースタンビラ様よりご依頼があり、定期的に開催されている研修会の一環として講演させていただきました。
参加者は、医師1名、歯科医師1名、薬剤師1名、看護師2名、保健師2名、介護支援専門員4名、訪問介護員1名、東大阪市保健センター2名、在宅医療コーディネーター2名。
総勢19名で、本当に多職種でした。

テーマは、「ICTを用いた医療と介護の連携」。

いきなりですが本題に入ります。

1. 日本の地域医療の現状
まずは、ICTで連携という前に知っておかないといけないこと。
それは日本の地域医療の現状とその先について。
人口動態から多死時代が来ることは明白であり、特に2025年には団塊の世代がすべて後期高齢者を迎え、年間で150万人が亡くなると推定されています。
病院で最期を迎えることが困難な時代に備え、地域包括ケアシステムがうたわれています。
この会に参加してくださっている方々全員がこの「地域包括ケアシステム」の輪に入ります。

2. 地域包括ケアの国からみた意味
団塊の世代が高齢化することにより、療養型病院がひっ迫し、多くの入院困難患者様が発生することが想定されたため、国は地域包括ケア推進で課題を解決する道を選択しました。
病院では、院内でごく普通に多職種連携しチーム医療を行っています。
同じことを、地域包括ケアにて独立した多職種事業所が一丸となって実現しなければなりません。

3. 目標管理の重要性
多職種事業所が独立している中、どうしても「局所最適」に実施されているケア内容を、「全体最適」を目指し、より効果・効率的なアクションを実施できる仕組み作りが必要です。
患者さまの想い、最適な医療介護のために、課題を共有し、皆、同じベクトルで問題解決していく仕組みが必要となります。
また、そのためには、簡便で、共通的に分かる言葉でモニタリング(観察・実施)することが重要になります。
では、局所最適から全体最適を目指し、より効果・効率的なアクションを実施できる仕組み作りにはどのようなものがあるのでしょうか。
一般的には、次のような4つのものが挙げられます。
1)電話、2)FAX、3)タイムライン形式(SNS)、4)目標管理アプリ。
各々のメリット、デメリットは表を参考にしてください。

4. 電話・FAX活用時の問題 よくある意見
電話、FAXは手軽ですが、安全ガイドラインを守り、正確に実施すると実は生産性が悪くなります。
1対1の受け渡しが原則のため、断片的な情報の伝言ゲームとなってしまうこともあります。

5. 国の医療介護連携 ICT活用の促進策
ようやくここで今日の本題に入ります。
国は医療介護連携におけるICT活用をどのように考えているのか。
実は、国はケアマネに対し、医療機関との更なる情報連携を求めています。
例えば、平時からの医療機関との連携促進であったり、ケアマネから主治医等に必要情報伝達を義務付けていたりなどが挙げられます。
今までは、電話、FAXでの連携で間に合っていたかもしれませんが、この先は煩雑すぎて実現は困難です。
そう、実質的にICT連携しないと実現できない状況に置かれています。

6. SNS(タイムライン)形式
ICT連携の一例として、SNS(タイムライン)形式があります。
日常生活でよく使用されている『LINE』も、このタイムライン形式のひとつです。
この形式を医療に特化したものに『Medical Care STATION』があります。
これは『LINE』に例えるとグループトークにあたり、ある患者さま・利用者さまに関わる医療介護職を招待と参加の承認を経て、グループを形成します。
『LINE』を利用している方も多いため、非常に使いやすく、報告も容易です。
時間を問わずに送ることができます。
初めは多くの方が色々と投稿し、連携している喜びを分かち合うことができます。
一方で、この報告が増えると大切な報告が埋もれてしまう危険性があり、後で読み直すことが大変になります。
また、急ぎなのか、急ぎではないのか、報告だけなのか、返事が必要なのかは、文章を読まないと分かりません。
これが昼夜を問わず送られてきます。
そうなると、「緊急だと、電話がかかって来るだろうから、見なくていいや…」という医師が居てもおかしくありません。
このSNS形式は一見簡単に見えるのですが、負担ばかりが増えてしまい、連携すること自体が目的化してしまいかねません(あくまで私の使用経験です)。

7. 目標管理アプリ 『ひかりワンチーム』~当クリニックでの取り組み~
大切なことは連携することではなく、患者さまの想い、最適な医療介護のために、課題を共有し、皆、同じベクトルで問題解決していくこと。
そのためには、患者さま毎の目標管理の仕組みを導入することが必須です。
そして行き着いたのが『ひかりワンチーム』。
チームは必ず「ワンチーム方針」(「現状の課題」、「大目標」、「当面の目標」)を設定し、その内容に則って連携を進めます。
患者さま情報の生活状況などは、ケアマネージャーが作成されているフェイスシートに似通っており、入力するも容易です。
薬剤状況は薬剤師、クリニックが入力することで共通認識ができます。
目標に基づき、患者さま毎にモニタリング項目を簡単にボタン設定。
コメントを読まなくても、フェイスバッチで視覚的に状況がわかります。
何より、トリアージ役を設けることで、医師もメンバーのひとりとして医師の役割に専念することができる!
外来が忙しい医師も、医師の役割に専念できるのであれば、在宅訪問診療へ踏み出せるかもしれません。


※クリックするとスライドをPDFでご覧いただけます。

これを通じて伝えたかったのは「やってやれないことはない」ということ。
これは看護師・川邉綾香の名言です。

「情報を共有することそのものを目的」とするのではない。
患者さま・ご家族さまを主語とし、患者さま・ご家族さの満足度を高まるために何をすべきかを考えねばならない。
そのためには「目標管理の仕組み」を導入することが必要だと、私は考えます。

チーム一丸となって、苦しむ人への支えになることはできるのです。
ひとりで抱え込まずに、顔の見える関係を築き、支え合う“多職種連携”を、今後も行なっていきます。

これらの会に参加することは、顔の見える関係を築くひとつになるかもしれません。
職種は問いません。
是非、ご参加ください。

【縁起でもない話をしよう会・第8回東大阪プロジェクト(オンライン)】
日時:6/5(土)18:00~20:00
定員:30名程度
対象:どなたさまでも(地域制限はありません)
<前半>
話題提供:小説家が死を物語にする時
講師:小説家 仁木英之 先生
<後半>
話題提供を受けての語り合いの時間。
5名程度のグループとなり、自由に縁起でもない話をしていただけます。
▼詳細については、以下記事をご参照ください。
◇facebookはこちらです◇
▼お申し込みは下記からでも出来ます
https://88auto.biz/higashiosaka/touroku/entryform9.htm
◆くわしくは、ここをクリックしてチラシでご確認ください◆

【縁起でもない話をしよう会・第9回東大阪プロジェクト(オンライン)】
日時:8/7(土)18:00~19:30
定員:30名程度
対象:どなたさまでも(地域制限はありません)
<前半>
話題提供:ケアマネージャーの仕事って!?
講師:介護支援専門員 尾垣徳弘 先生
<後半>
話題提供を受けての語り合いの時間。
5名程度のグループとなり、自由に縁起でもない話をしていただけます。
▼詳細については、以下記事をご参照ください。
◇facebookはこちらです◇
▼お申し込みは下記からでも出来ます
https://88auto.biz/higashiosaka/touroku/entryform12.htm

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