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【看取りの報告書】ASさまのこと

クリニックでは、患者さまが最期の時間を過ごされたご様子を「看取りの報告書」としてまとめています。

今までかわべクリニックがお見送りをした患者さまの「看取りの報告書」を、担当看護師の思い出と共にご紹介していきたいと思います。

ASさまのこと
~人生の終い方、いや、生ききるために~

いつもお世話になっております。ASさまにについてご報告させていただきます。

難治性の下肢浮腫、腹部膨満感とそれに伴う痛みを抱えながらも、在宅療養中の1ヶ月間を65歳の現役社会人として、計画的に過ごそうとしていた矢先にがんと診断。
それからはご自身の納得のいく状態で仕事の引継ぎを追え、妻は車に乗らないからと自家用車の引き渡しを終えたのは、旅立ちの2時間前でした。
そして、今までご家族さまが見たことのないほどの穏やかな様子で日々を過ごされ、「ありがとう」という言葉をご家族一人一人に伝えられました。
闘病の末に在宅緩和ケアに移行し、「身体症状は取り去りがたいもの」と受け入れられたことがASさまらしい、ご家族さまも納得のいく療養につながったものと考えております。

ASさまの、全てを受け入れられた凛としたお姿に、学ばせていただく機会を頂戴しました。
ご家族さまに見守られる中、安らかに永眠されました。
うるう年の2月29日の旅立ちに「命日が4年に1回の忘れられない日になった」とご家族は泣き笑いでした。

この度は、ご紹介ありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します。

[ケアを振り返って]

2020年1月以降、コロナウイルス感染症拡大に伴う受診や検診控えの結果、がんと診断された時には手術も抗がん剤治療もできない末期と診断され、当クリニックに紹介されるケースが多くなっています。

その場合、ご本人が今の自体を受け入れ、残された時間をいかに有意義なものとするかが、その人に課せられた大きな最後の試練だと感じています。
それをいかに支え、人生の最終段階を穏やかに「豊かに生ききってもらうのか」。
一緒に考えられる人に私はなりたいと思って、関わっています。

奥さまは、「お父さんは、最後の最後まで人に任せられなかったのかと、娘達と泣き笑いしていました」とおっしゃっていました。

ASさまのように最後まで自分でやり切りたい人や、「あとはお前たちに頼む!」と誰かに委ねたい人、さまざまです。
一人一人、その人が望む形での支援が必要です。
こちらが、案じて色々と提案してもそれはお節介になる可能性があります。
それは、信頼関係が構築できていないからです。

では、信頼関係はどのように構築されるのでしょうか。
まずは、相手の苦しみを丁寧に『聴く』ことです。
非常に難しいことですが、これが大切です。
苦しみを聴き、身体的苦痛の緩和を図り、解決できることは解決する。
一方で、解決できないことに対しては、その苦しみを「聴くこと」が求められます。
聴くことによって、必ず信頼関係が構築され、関係性が深くなっていきます。
そこで初めて、穏やかさや支えといった繋がりとなるのではないでしょうか。

当クリニックに紹介されてから、お看取りまで期間が短いケースは多くあります。
信頼関係を構築するのに、時間は関係ありません。
関わる時間が短い中で、苦しみをキャッチして、その方の「生ききる」を支えるために、私たちも最善を尽くして支えきることが求められます。

[ご家族さまからの手紙]

いただいたお手紙の一部を抜粋してご紹介します。

「在宅での看護中は、1日でも長くお父さんには生きていてほしいと私は、無我夢中の毎日で世話をしていました。
亡くなってしまって、もう二度と会えないのだと実感した時は、本当に悲しくて、思いっきり泣いてしまいました。
理不尽なことも言われて、私も傷つくことも多々あり、今でもよく思い出しては、仏壇のお父さんの写真に怒ってみたり…(笑)
グリーフに関する本も、何度も繰り返し読んで、立ち直るきっかけになればと思っています。

まだまだ時間はかかると思いますが、ちゃんとご飯も食べて、体も動かして、元気に過ごしていくことが、主人への報いになるのかなと思っています。
抗がん剤治療中はとても険しい表情で、なかなか話もできなかった日々でしたが、緩和ケア治療に入ってからは、人が変わったように、穏やかに毎日を過ごしてくれて、私も精神的に気持ちが楽になり、二人にとってかけがえのない日々が過ごせました。
かわべクリニックさんのおかげです。大切な人を亡くしてしまったけれど、お父さんはいつも私たち家族のそばにいて見守ってくれているのではないかと感じています」

【今週の東大阪プロジェクト】
東大阪プロジェクトの活動の一部をご紹介させていただきます

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【一歩先を見た行動 とは】
職種は違うけれど、大切なのは患者さま、ご家族さまを支えること。 そのために、同じ方向を向いて、それぞれの得意分野を活かしたケアを提供することが必要です。 そして、そのための情報共有なのです。
そのポイントとは?!
是非、ご覧ください!

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