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      医療法人綾正会かわべクリニック

      内科・緩和ケア内科・呼吸器内科

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「苦しい」と「苦しそう」は違う

2020.10.28

こんにちは。看護師の川邉綾香です。

同じものを見ていても違う景色に見えるのは、見てる人の主観が入って来るから。
ある映画を観て、面白かった、感動した、あまり理解できなかった、リアルだったなど色々な感想が出てくるのも、その見た人の価値観、主観的評価です。

この絵を見たことはありますか?
「錯視」と呼ばれる絵です。

これは何に見えますか?
私は水面から顔をだす鳥に見えます。
でも見方を変えると、右を向くうさぎにも見える。
同じ図形でも、捉え方を変えると見えるものが変わる。
このことは、世の中ありとあらゆるものに共通しているのではないかと思います。

では、人生の最終段階における「苦しみ」について考えてみたいと思います。
苦しみは、本人にしかわかりません。
たとえ苦しそうに見えたとしても、患者さまから「苦しい」と言葉がなく表情が穏やかであれば、「苦しい」のではありません。
「苦しそう」と評価するのは、看ている側の客観的な評価となります。

看護記録では
S)(息苦しいですか?)じっとしているので大丈夫です。
それより、こうやって皆さんが心配して何度も看に来てくれるので安心です。

O)喘鳴あり、呼吸回数26回/分、穏やかな表情で上記を話される。

A/P)肺癌、癌性リンパ管症により喘鳴が出現しているが、臥床時間も長く、動く事がないため呼吸困難には至っておらず。
必要時、オプソを内服するように説明。

看護記録においても、あくまでS)は患者の主観、O)も患者の客観的評価を記載します。
A/P)においては、その看護師の考えを書くところでもあるので看護観が垣間見られますが、そこには出来るだけ観察者の主観を避けることが望ましい、と考えています。

看護記録において、事実は同じでも、私たちの見方が違うと患者さんに影響を与えます。
同じ状態であっても、捉え方を変えると見えるものが変わるのです。

人それぞれ、物事の捉え方、価値観、感性、いろいろな表現方法があります。
そして、個々の看護観からディスカッションを行い、その患者さんに合った最善の選択肢を提案することが求められています。

意見を述べることは大切です。
ただ、その意見の主語を『自分』にしてはいけません。
主語はあくまで『患者さま』です。
患者さまにとってどうなのか?
患者さまが何をどう思って、どう感じているのかを、きちんとキャッチすることが大切です。

私たちはどうしても、気持ちが熱くなって感情移入したり、『自分が不安だから』枠の中に患者さまを入れ込んだりしてしまいがちです。
みんな、患者さま想いなのです。
ただ、その想いのベクトルが違っているだけです。

否定はせず、患者さまの理解者になるべく、話し合いが必要です。
そして、患者さまの声を「聴く」ことが大切なのです。
看護師は、一番患者さんのそばにいて、一番の理解者であると言っても過言ではないからです。

今回のタイトル、『「苦しい」と「苦しそう」は違う』。
一定の基準がない中で、どのような評価を行うのか?
その鍵は「穏やかさ」にあります。

人生の最終段階の方と接する上で、穏やかさを取り戻すとは…。
人は苦しみの中でも支えがあれば、苦しみと感じていたものを穏やかさに変える力があります。

・今は穏やかなのか?
 →苦しみをキャッチすることから始まる一歩

・何をすると穏やかになるのか?
 →解決できる苦しみは解決する

・視点の向きを変えるのは誰なのか?
 →苦しみの中から穏やかさを見つけるための聴ける人になる

これらのことを、常々考えながら今後もケアを行っていきたいと思います。

【看取りの報告書】ABさまのこと

クリニックでは、患者さまが最期の時間を過ごされたご様子を「看取りの報告書」としてまとめています。

今までかわべクリニックがお見送りをした患者さまの「看取りの報告書」を、担当看護師の思い出と共にご紹介していきたいと思います。

ABさまのこと
安心の提供は大切。でも、生活を邪魔しない。見守ることも医療。
~シャイな患者さまとのコミュニケーション克服術~

[看取りの報告書]
いつもお世話になっております。
貴院を退院されましたABさまについてご報告させていただきます。

初回訪問時、ご自宅のベッドが簡易ベッドであったため、現状および今後の事を予測して介護用ベッド、ケアマネージャーの介入をご提案しました。
しかし、「そのうちよくなるから、そっとしておいてほしい」「入院中に吐血をして、絶食をしたから痩せてしまった。また、太ってくるはず」と、現実を受け止めとめたくないような発言がみられました。

息苦しさはあるが、『息苦しい』と言ったら負け。
『苦しい』と言ったら、酸素を付けないといけないかもしれない…。
何よりも悪くなっているとは思いたくない。

ABさまにとっては、私たちに「息苦しくないか」と聞かれることが苦痛なのではないのかと判断し、診察の際には奥さまを通して状態の把握に努めました。

またABさまは、月に一度の外来の帰り道で近鉄百貨店に寄ることが楽しみでもありました。
しかし秋になり、ADLが一段と低下。
ABさまより外来受診の延期のお申し出があったため、薬物調整を行い、ナルサス2㎎、デカドロン2㎎を開始しました。
すると少しは食事量も増え、呼吸困難も軽減。
診察の際の表情も良く、楽しげにお話しされていました。

しかし、年末になるとさらに病状は進行し、体動時の呼吸促迫も著明となりました。
そのような状況でも酸素導入、ベッド交換は拒否。
奥さまの介護疲れもピークに達し、入院する話も出ました。
けれど、奥さまは「お父さんは絶対嫌って言うわ」。
そこで私たちの訪問回数を増やし、ヘルパーの導入を行い、何とか自宅での療養を継続することができました。

そしてある日、奥さまがテレビ鑑賞中にふと、ABさまの顔を見ると、呼吸が止まっていることに気付きクリニックに連絡。
年が明けて2週間後、ABさまは安らかに永眠されました。

奥さまは、「今朝までお茶も飲んでいたし、お茶の置く位置を注意された。いろいろと頑固で大変やったけど、こうやって家で看られてよかったわ」とおっしゃっていました。
ご紹介ありがとうございました。
今後ともよろしくお願い致します。

[ケアを振り返って]
ABさまはとにかくシャイな方で、先生とは比較的目を合わせて話すことができましたが、看護師が血圧測定している時も外の景色を見ながら…。
でも値は気になるので「どうだった?」と聞かれるような方でした。

興味のある話は時代劇。
TVでも古い時代劇が流れていたので、私は何も言えず…。
それでも奥様は「あなた達世代にはさっぱりでしょ。私でさえわからないもの。夫の世界だから気にしなくていいよ」と言ってくださいました。

患者さまの個性をどのように捉えるのか。
表現が苦手な方、上手く伝えられない方、色々な性格の方がおられます。
シャイな患者さまとのコミュニケーション克服術」でも書いたように、患者さまが私達に聴いてほしいと思っていること、タイミングは異なります。
どのタイミングで誰に、心を開くのか、どうしたら心を開いてもらえるのか、何がポイントなのかはわかりません。
でもあきらめず、最終的に患者さまにとって「わかってくれる人」になれればよいのです。

ABさまの場合は、直接ではなく、奥さまと私達が話している姿を見ていただいくことで安心感をご提供できました。
だんだんと表情が穏やかになったABさま。
毎回、多くは語らない彼から最後にいただく「今日もありがとう」は、とても支えられた言葉でした。

【看取りの報告書 バックナンバー】
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「問いかけ」とは
〜第9回ELC東大阪学習会をオンライン開催しました〜

こんにちは。看護師の川邉綾香です。
私は、エンドオブライフ・ケア協会認定ファシリテーターとして、かわべクリニックを中心に東大阪地区で医療・看護・介護に携わるメンバーと共に、意見交換や学習会を定期的に開催しています。

先日、第9回ELC東大阪学習会をオンラインで開催いたしました。
今回のテーマは、第7回「苦しむ人への援助と5つの課題、反復と沈黙」の続きである「問いかけ、そして支えるために」。
医療・介護職以外の職種の方も増え、14名の参加をいただきました。
このテーマでは実践から学ぶことが「肝」であるため、グループワークではファシリテーターを多く配置し、ロールプレイ(1対1の対応)を充実させました。

「問いかけ」は、相手との信頼関係がない中で安易に用いると、信頼関係を失う可能性があります。
「問いかけ」をするためには、相手に自分のことを、「この人は“聴いてくれる人、わかってくれる人”だ」と思ってもらう必要があります。

日常生活において、嬉しい事は自発的に言いたくなりますよね。
でも、悩んでいる事や苦しい事などの負の感情は、心の中に秘めることが多々あります。
悩んでいるうちにどうしていいかわからなくなったり、悶々とした日々を過ごしたり…。

まず、その人の苦しみをキャッチして、『あなたが心配です、気にかけています』の気持ちを込めた、「大丈夫ですか?」の一言が、問いかけの第一歩です。
そこから反復・沈黙を丁寧に行い、「問いかけ」から苦しみを吐露していただき、そうして自分自身に抱えていた苦しみを言語化することで、新たなる支えを見つけたり、あるいは解決したり、何かヒントが見出せると考えています。

学習会終了後、参加者から以下のようなコメントをいただきました。

20年ほど前に死の臨床研究会に所属し勉強していましたが、その頃よりも緩和ケアが身近になっている気がします。
しかし、向きあう方への寄り添い方の難しさは変わりません。
人のこころに寄りそうことで、なお自分と向きあい、自分とはなんだろうと考えます。
今後もELCの勉強をしていきたいと思っています。

問いかけのワークにおいて、「患者設定のみでシナリオなし」であったため、沈黙をより感じることができました。

みんなが協力的で、互いに支え合っていく姿が励ましになりました。
また、学びについても今までは、「反復・沈黙」が多かったので、私にとっては新しい「問いかけ」についても互いに確認しあえることができて、良かったです。
心から感謝です。

参加させていただくたびに勉強になりますし、ストレスなく参加できます。
主催をされておられる皆様に頭が下がります。
本当に感謝いたしております。私も頑張らなければという勇気をいただきました。

また運営についてのフィードバックとして、下記のようなご意見をいただきました。

ファシリテーターとしてですが、グループワークの際の時間配分が柔軟に対応できない。
回数を重ねればイレギュラーな対応も可能になるのでしょうが。
グループワークでのまとめを優先するのか、ワークを優先するのか戸惑ってしまいました。

新型コロナウイルスの流行に伴い、本年5月から始めたオンラインでの研修会も徐々に慣れつつありますが、まだまだ課題はたくさんあります。
まだまだ集まって学ぶ機会を設けることは難しく、引き続き、創意工夫し続けていかねばなりません。

私たちは、この学習会に参加していただいた方に、何か一つでも「お土産」を持って帰ってほしいと願っています。
明日からの実践につながるリアルな研修となるよう、今後も工夫を重ね、より充実した学習会の開催を目指してまいります。

次回の第12回ELC東大阪学習会は、11月28日を予定しています。
講師は大阪国際がんセンター 大江秀一先生が勤められます。
お申込み方法は本ブログやフェイスブックにてご案内いたします。
みなさまのご参加をお待ちしております。

真の連携を目指して~東大阪プロジェクト~

こんにちは。医師の川邉正和です。

「人生の最期を自宅で迎えたい」と願う患者さまは、たくさんいらっしゃいます。
住み慣れた地域で最後まで自分らしい暮らしを続けられるよう、医療・介護・生活支援を一体的に提供する。
そのために「地域包括ケアシステム」があります。

かわべクリニックが考える「地域包括ケアシステム」の理想像は、
「看護師を主体としたフラットな在宅緩和ケアチーム(クリニック、訪問看護ステーション、薬剤師、ケアマネージャー、ヘルパーステーション)」を地域で作ること。
そして、医療・介護だけに限定せず、多職種=全ての職種がその輪に入っているシステムであること。
これらが実現して初めて、「真の地域包括ケアシステム」となるのではないでしょうか。

かわべクリニックがご縁をいただいた多くの患者さまが在宅で過ごせる平均期間は、わずか1ヶ月程度。
人生の最終段階、特にがんの終末期の方は日々の変化が激しい。
だからこそ、多職種間の密な連携を、スムーズに構築する必要があります。
訪問した際には、診療情報を書面に起こし、FAXという形で関わる全ての職種(訪問看護ステーション、ケアマネージャー、ヘルパーステーション等々)と共有しています。

しかし、「多職種=全ての職種」とは、どこまでなのでしょうか。

先日お看取りさせていただいた患者さまのお話をさせていただきます。
この患者さまは、大切にしている「犬」を、自分が亡くなった後に誰かに引き取って欲しいという願いがあり、それを私たちに告げてくださいました。
私たちに委ねられたこの願いを叶えることは、残された時間の短い患者さまが穏やかな気持ちで過ごすための条件であることは間違いがありません。

そこで私たちが相談したのが、司法書士の先生でした。
司法書士の先生にとってこれは難しい問題ではなく、相続のプロとして、的確にクリアしてくださいました。
その時、私は司法書士が「真の地域包括ケアシステム」に必要な職種であると、改めて強く感じたのです。

私にとってのバイブルである小澤竹俊先生の著書『死を前にした人にあなたは何ができますか?』に、こんな一文があります。
「苦しみを抱えた人がどのようなことを選ぶことができると、穏やかになれるのか?」
つまり、穏やかに過ごすためには、選ぶことのできる自由を叶える必要がある。
だから、「選ぶことのできる自由」を叶えてくれる職種の全てが、「真の地域包括ケアシステム」の実現に必要なのではないかと、私は考えています。

この本では、“穏やかになれる支え”に気づくための視点として、次の9つの視点が紹介されています。
 1. 療養場所…両(療)
 2. 心が落ち着く環境・条件…親(心)
 3. 尊厳…尊
 4. 希望…き
 5. 保清…保て
 6. 役割…役割
 7. ゆだねる…ゆだね
 8. 栄養…よう(養)
 9. お金…かな(金)

たとえば、8. 「栄養」だと管理栄養士、9.「お金」だと税理士、司法書士などの士業。
7. 「ゆだねる」になると、本人がゆだねることによって本当に色々な職種が関わることになります。

しかし、医療職と介護職の連携だけでもなかなかハードルが高いのが現状です。
そこに、他の職種を交えるとなるとそのハードルが更に高くなるのは、目に見えています。
先日、これをクリアにするアイデア、アドバイスを医療職ではない方からいただきました。

それは、「目標管理」を設定し、共有すること。
目標も3段階に分類し、6ヶ月先の「大目標」、1から2ヶ月先の「当面の目標」、そして「現状の課題」で立てる。
これは言わば、日頃から大切にしている「ACP(アドバンス・ケア・プランニング)」と同じことです。
私たちは少し先、もっと先を見て医療を行っています。
そして何より「患者さま」、「家族さま」を主に全てを考えている。
だからこそ、見失いがちな「患者さまが主」で「目標管理」をすることで「軸」が出来る。

こうして目標管理という軸が出来ると、多職種が同じ方向を向いて、お互いが進んで行ける気がしませんか?
ただ、ここで問題となるのが、“何”によって連携を行うのか、ということです。
今までのFAXをベースとした連携で良いのか…?
FAXによる連携は、伝える側、多くの場合でクリニックからの想いが一方通行になりがちです。

クリアするための課題は、まだまだ山積みです…。
でも、少し明るい兆しは見えています。
様々な課題を、支えてくれる仲間とともに解決できそうになってきました。
どのような解決方法か?は、追ってご報告させてください。

まず当面は、患者さまが主であることを見失わないことを確認し、関わる人すべてで目標をきちんと共有していきたいと思います。

【第3回東大阪プロジェクト・縁起でもない話をしよう会@東大阪(オンライン)】
日時:11/14(土)18:00~20:00
定員:30名程度
対象:どなたさまでも(地域制限はありません)
タイトル:「遺言~もし遺贈寄付するなら?~」
東大阪プロジェクト代表・司法書士 福村雄一 が講師を務めます。
詳細については、以下記事をご参照ください。
https://www.facebook.com/events/1674222412758669

【第1回東大阪プロジェクト・緩和ケア研修会(オンライン)】
日時:12/12(土)18:00~20:00
定員:200名程度
対象:どなたさまでも(地域制限はありません)
タイトル:早期緩和ケア×共に支える×繋ぐ存在
終末期患者の診療の一方で、緩和医療や死生観の問題等について幅広く講演・執筆活動を行っておられ、『死ぬときに後悔すること25』(致知出版社)をはじめ、多くの著作がある 大津秀一先生 に基調講演をしていただけることになりました。
詳細については、以下記事をご参照ください。
https://www.facebook.com/events/323152092097094
◆くわしくは、ここをクリックしてチラシでご確認ください◆

私が考える「看護師としてのプロ意識」

2020.09.30

こんにちは。看護師の川邉綾香です。
私が看護師になり、今年で15年が経ちました。
この機会に改めて、「看護師のプロ意識とは何か」を考えてみましたので、ここに記したいと思います。

「初心忘るべからず」
看護学校の入学式の前に、先生からこの言葉を言われたことを、今でもよく覚えています。
この言葉には、「看護師という仕事は決して楽ではないし、誰もがなれる訳ではない。目の前にいる苦しむ人を助けたいと思う気持ちがなければ続けられない仕事である」という意味が込められています。
現在看護師としての日々を過ごし、まさしくその通りだと実感しています。

看護学校の実習時に、先生からこのようなことを言われました。
「患者さまには、必要な時はナースコールを押してもらいます。
でも、患者さまに“ナースコールを押させる”ことは、看護師として意識が低い。
患者さまは、ナースコールを押すことに非常に気が引けるものです。
そのような思いをさせることがどういう事なのか、看護師の役割について考えなさい」

その時の言葉の衝撃を、今でもはっきりと覚えています。
またこの言葉は、今日の私の、看護に対しての考え方の基になっています。

何か起こってから対応するのではなく、日々、患者さまが何を必要としているのか、何が起こる可能性があるのかを常々考えること。
また、患者さま・ご家族さまが気軽にクリニックに電話できる距離感・安心感を持っていただくこと。
つまり「患者さま・ご家族さまの期待を超える成果を出そうとする意識、安心感」を持ち合わせた行動をするのが、看護師のプロ意識である、と私は考えています。

病棟勤務時代に、このようなことがありました。
ある患者さまから、
「あなたが担当の時は点滴が本当にちょうどに終わる。
あと、必ず途中で見に来てくれるよね。安心やわ。
入院しているから予定がないと思われているかもしれないけど、患者なりにこの時間にシャワーしようかなとか考えているのよ」
と言っていただいたことがあります。

みなさん、点滴が予定の時間に終わるのは、当然のことと思っていませんか?
患者さまの姿勢や行動で、滴下速度は変化するのです。
その患者さまの点滴中の姿勢や行動を把握しておかなければ、点滴は予定通りには落ちないのです。
だからこそ、患者さまから「わたしのことをわかってくれてありがとう」という意味を込めて、そのような言葉をいただくことができるのです。

また新人の頃、ある先輩看護師にこのようなことを言われました。
「今から厳しい話をするわね。
ここにおられる患者さんはほとんどがガンの患者さんでしょ。
残念だけど5年後には多くの方はここにはいない。
だからこそ、今という時間を大切にしたケアをしなさい」

こんなこともありました。
あるガンの患者さまから、こんな言葉をいただきました。
「どうしても取り去れない身体的苦痛の中で、少しでも笑って過ごせる時間が楽しい。
それがあなたとの会話している時間だわ」

病気のために起きている事実が同じなのであれば、捉え方一つで人生の質は大きく変わります。
信頼関係を築くのは、時間ではありません。
その時、その瞬間に患者さまの心を掴むことが重要であり、そのための行動ができること。
患者さま・ご家族さまの穏やかさに目を向けたケアを提供する行動ができるのが、看護師としてのプロ意識です。

いつ、いかなるときでも、「この時・時間を」大切にする。
私だけでなく、私と関わる全ての人の人生をより良くする意味がある。

人生に無駄なことなど、ひとつもない。
すべての事には意味がある。

そのことを肝に銘じ、初心を忘れず、患者さま、ご家族さまに寄り添えるプロの看護師として、より研鑽を積みたいと思います。