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      医療法人綾正会かわべクリニック

      内科・緩和ケア内科・呼吸器内科

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【看取りの報告書】ANさまのこと

クリニックでは、患者さまが最期の時間を過ごされたご様子を「看取りの報告書」としてまとめています。

今までかわべクリニックがお見送りをした患者さまの「看取りの報告書」を、担当看護師の思い出と共にご紹介していきたいと思います。

ANさまのこと
ご縁は大切に
~繋ぐいのち 繋ぐ絆 ANさまが私たちに残してくれた絆~

いつもお世話になっております。ANさまについてご報告させていただきます。

介入当初は食事を摂取することができ、比較的PSも保つことが出来ていました。
診察中は、時々つじつまの合わない発言はありましたが、主治医や在宅医との関係性に興味を持たれていらっしゃいました。
笑いの絶えない、訪問診察というよりまるで団欒のようでした。

イレッサの効果がないと判明し、緩和ケア治療に切り替え、ステロイドを開始。
頭痛、眩暈症状が緩和され、より一層穏やかな時間を過ごす事ができました。

退院後1ヶ月程度して意識レベルの低下を認めましたが、閉眼しているにもかかわらず口に食べ物を運ぶとしっかり嚥下し、最後までプリンやリンゴのすりおろし、ミカンなどお取り寄せグルメを食べておられました。
その様子を微笑ましく見ておられた旦那さまは、
「ANちゃん、故郷の和歌山から届きたてのミカンだよ。今日はANちゃんの好きなおかきだよ。」
と声をかけながら、最後まで献身的な介護をしてくださいました。

新型コロナウイルス感染症の影響で、お孫さまの卒業式に家族揃って参加できず残念でしたが、それでもANさまがお孫さまのために買った『ランドセル』を背負う姿を見せることが出来たと、娘さまは喜んでおられました。

旦那さま、娘さまより
「おしゃべりだった母が話せなくなったのは寂しいけれど、こうやって母がここまで頑張ってこれたのは、母が繋いでくれたすべての縁のおかげ。この縁を大切にして、これからも歩んでいきたい」
とおっしゃられていました。

そしてご家族に見守られ、安らかに永眠されました。
娘さまは涙を浮かべながらもやりきった感があり、みなさまへの感謝を述べられていました。

ご紹介ありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します。
  
ご家族さまからのお便り
四十九日を過ぎたころ、ご家族よりお葉書をいただきました。

「かわべクリニックの皆様
先日は温かいメッセージと共にお便りを頂きありがとうございました。
皆さまお一人お一人のお名前を見ながら、母を囲んで私たち家族と共通をして頂いた時間は、思い出がたくさん浮かんできました。
先月、四十九日の法要も無事に終え、父も私も元気にしております。
娘は時々、母との思い出を話してくれ、温かな気持ちにさせてくれます。また、一度お礼がてらクリニックまで伺えたらと思っています。
お身体お気をつけて、皆様のご活躍を祈っております。」

その一年後にいただいたお葉書です。

「皆さま、お変わりなくご活躍のことと存じます。
先日はお便り頂きありがとうございました。
母と私たち家族に寄り添って頂いてからあっという間の1年でした。
まだコロナが続いているとは…という状況ですが。
先日、父に癌の疑いがあり、ひやっとしたのですが、幸い問題なくほっとしたところで、皆元気にしております。
私も訪問看護の仕事、あくせくしながら頑張っております。
この前の勉強会も楽しく参加させて頂きました。今後も参加させてください。
スタッフ皆さま、健やかにお過ごしになれますようにお祈りしております。」

ケアを振り返って
ご家族さまの中には、私たちと同じ医療職の人も多いです。
ANさまのケースは、娘さまが訪問看護師でいらっしゃいました。

ご家族さまが同じ職種の場合でも、基本的に一般的な家族さまと何か特別な違いはないですが、少し気配りをする必要があります。
ご家族さまが医療者として知っている・出来ること、点滴や処置などが可能であり、それが患者さまにとっても安心できることもあります。
しかし、知っている・出来るからこそ、「病院では…、母の場合は…自分だったら…」と悩み、苦しまれてしまうこともあります。
そのことを十分に理解した上で、私たちは理解者となる必要があります。
医療者だからわかるだろうと決めつけたり、役割を押し付けたりせずに、あくまで、きちんと距離を保ちつつ、希望と現実の開きをキャッチしつつ解決に努めていく必要があります。

私たちが大切にしているもの。それは繋がりです。
ANさまも繋がり、ご縁を大切にされていました。
何気ない繋がりを大切にしていれば、いつかその繋がりは大きくなっていきます。
そして、苦しいとき、困っているときこそ、その繋がりが頼れる存在になります。

繋がりが繋がりを呼ぶ…。
娘さまは今も私たちと同じように「苦しむ人の支えなりたい」という気持ちで、ともに繋がり続づけています。
ANさまが残してくれた絆に感謝して…。
今日の出会いは、明日への誰かに繋がっています。

【看取りの報告書 バックナンバー】
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