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      医療法人綾正会かわべクリニック

      内科・緩和ケア内科・呼吸器内科

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【看取りの報告書】APさまのこと

クリニックでは、患者さまが最期の時間を過ごされたご様子を「看取りの報告書」としてまとめています。

今までかわべクリニックがお見送りをした患者さまの「看取りの報告書」を、担当看護師の思い出と共にご紹介していきたいと思います。

APさまのこと
真の多職種連携
 ~それぞれが、APさまのために出来ることをする
 意味のあるカンファレンスで新しい発見が幸せの花を咲かせる~

いつもお世話になっております。APさまについてご報告させていただきます。
退院直後、易感染状態であり、長期入院のためADLが低下し、体動も限られていたため独居での生活は困難ではないかという懸念が強くありました。
また、自閉症のためコミュニケーションをとることが難しかったため、筆談にてお話をさせていただきました。
その中でデイサービスでお風呂に入りたいと強い希望があり、感染コントロールを行ないデイサービスへの参加も可能となりました。

色々な方との交流を続ける中で、しっかりと発語されるようになり、自身の欲求や希望をしっかりと伝えられるられるようになったAPさま。
そのなかでも食事への欲求が高く、マクドナルドを食べたり、ラーメン屋に行ったり。
またデイサービスでは入浴やカラオケを楽しまれ、自身で車椅子を動かし移動するほどの元気さもありました。
退院してからここまでの道のりでは、沢山のわがままでケアマネさんを困らせていましたが、自宅に戻れた嬉しさからか、とても生き生きとした表情で、いつも多職種の方々が訪問することを楽しみにされていました。

2回目の退院後は、最期は家で過ごしたいというAPさまの思いに応えるべく、出来る限り一人の時間を減らすためにヘルパー介入の時間を延長していただき、多くの方々の協力のもと最期まで自宅で過ごすことができました。
日に日に病状が悪化する中で、食べたいものを食べたい時に楽しんで食べておられる姿が、みんなの心に残っております。
そして、安らかに眠るように永眠されました。
本当に穏やかな表情をされていました。
今後ともよろしくお願い致します。

病院主治医からの返信
お看取り頂きまして、誠にありがとうございます。
昨年、ご自身の判断で治療を終了さえてから1年余りたっての、今回の入院での再会は、病状は残念ながら再発を示唆するものでしたが、まるで別人のように活き活きとしたご様子で、以前のAPさんを知っているスタッフは皆大変驚き、また精神的苦痛から解放されたご様子に、昨年治療終了を選ばれたAPさんの選択に改めて賛同いたしました。
今回退院の際にも、ご本人は自宅退院をすぐに決定され、その思いを大切にするため、先生はじめ在宅ケアチームの皆様のすみやかなご対応には感服いたしました。
先生の言われる通り、お家の大好きなAPさんが、ご自身のお家で、最期の時間をご自身の決められたように過ごされたことはAPさんにとって何よりであったと思います。
素晴らしい連携でこの1年3ヶ月APさんを支え続けて下さった皆様に心よりお礼申し上げます。
ありがとうございました。

ケアを振り返って
60歳 男性 独居。 白血病。予後6カ月未満。自閉症。統合失調症。
ご本人の希望は「絶対に、家に帰りたい」。
みなさんは、どう考えますか?

医療介護従事者の中には、「独居なのに、自宅でお看取りできますか?施設の方が、本人は幸せじゃないですか?寂しくないですか?何かあったらどうしますか?」と言う方もいるのが実情です。

かわべクリニックの基本的な考えは、「患者さまが家に帰りたいと思った時が退院する時」です。
APさんの依頼があった時、まずは退院前カンファレンスを開催し、顔の見える関係性を築いてAPさんに安心して退院してもらう必要があると考えました。
ここで最も大切にしていることは、カンファレンスによって患者さま・ご家族さまに安心と信頼を提供することです。
これこそが真の連携だと考えます。

APさまの1回目の退院前カンファレンスでは、病院からは、血液内科主治医、精神科医師、病棟看護師、退院支援課MSWが、在宅ケアチームからは、クリニック医師、看護師、訪問看護師、CSW、ケアマネージャー、ヘルパー、相談支援センターと非常に多くの方が参加しました。

病院は完全看護であり、転倒予防として床にマットレスが敷かれ、見守り体制も申し分ない。
しかし、自宅に帰ったらそういう訳にはいきません。
それでも、APさまは自宅がいいのです。
自宅に帰りたいという想いを尊重し、私たちは私たちに考えうる知恵と工夫を以て、調整することが役割です。
つまり、オーダーメイドのケアをすること。
それこそが、人生の最終段階にある方が豊かに生ききるために必要なケアではないでしょうか。

APさまの場合
・食べたいけど、歯が痛い → 訪問歯科を導入
・細かい薬剤調整が必要  → 訪問薬剤管理指導を導入
・預金がある分だけデイに行きたい → 司法書士を導入
・朝昼夕+夜もヘルパーに来て欲しい → 夜まで対応可能な事業所を導入

在宅ケアチームでは、定期的に担当者会議を行います。
そこには、クリニック医師、看護師、訪問看護師、訪問歯科、訪問薬剤師、CSW、ケアマネージャー、ヘルパー、相談支援センター、デイケアスタッフ、福祉用具担当者、司法書士、後見人など、その方の「豊かに生ききる」を支えてくれる職種全員が参加します。
本当はもっともっと多くの職種が必要なのかもしれません。
より多くの方と早くに出会えることで、幸せは訪れるのです。

私たちは、互いの仕事に敬意を払い、情報交換を行います。
真の多職種連携によって、必ず新しい発見があります。

「患者さま・ご家族さまのためになることを、今一度考えて!」とAPさまから言われている気がします。

そして最後に、今回、病院主治医から届いた手紙こそが、私たち在宅ケアチームの支えです。
これこそが真の連携だと思います。最後まで、患者さまのことを思い続ける気持ち…それが大切なのです。

【お知らせ】
「看取りの報告書」が定期連載(Web教材+季刊誌)されます!

2022冬(1月)号から、日総研が発行している「エンド・オブ・ライフケア」(Web教材+季刊誌)にて
「看取りの報告書」が定期連載されます!
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