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      医療法人綾正会かわべクリニック

      内科・緩和ケア内科・呼吸器内科

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【看取りの報告書】ARさまのこと

クリニックでは、患者さまが最期の時間を過ごされたご様子を「看取りの報告書」としてまとめています。

今までかわべクリニックがお見送りをした患者さまの「看取りの報告書」を、担当看護師の思い出と共にご紹介していきたいと思います。

ARさまのこと
~“バッドニュース”を伝えないと、叶えたいことも叶えられなくなる~

いつもお世話になっております。ARさまについてご報告させていただきます。

退院される前に、娘さまにはクリニックに来院頂き、予後が非常に厳しい事をお伝えさせていただきました。
はじめのうちは事実を知り衝撃を受けていた娘さまでしたが、お母さまがご自宅での療養を希望されていて、私たちはその希望を叶えるクリニックであること、在宅でも病院と変わらない医療が受けられることを説明させていただきました。

そして娘さま宅に戻られたARさまは、「娘の作ったものが食べたいです。本当に嬉しいし、安心です」とおっしゃっていました。
ARさま、娘さまとも穏やかな表情をされており、お二人がお互いを思いやる気持ちに溢れていました。

しかしながら、日に日に病状が進行し、訪問診察、訪問看護が交互に介入。
本人だけでなく娘さまに対するケアにも努めました。
その結果、ARさまの安心に繋がり、ARさまは常に娘さまに感謝の言葉を伝えていらっしゃいました。

また、同居されているお孫さまに対して、祖母の死をどのように理解させることが望ましいのかを悩んでおられましたが、お孫さまが自らの力でARさまと向き合い、祖母を支えている姿がありました。
ARさまの胸には、お孫さまが作った『病気が治る剣』と書かれた折り紙があり、それをいつも大切にされていました。

そして、退院11日目に、ご家族全員に見守られる中、安らかに永眠されました。
このたびは、ご紹介ありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します。

ケアを振り返って
「言わぬが花」ということわざがあるように、昔からおしゃべりではないことが美徳とされてきました。
多くの方が悪い話は知りたくないし、伝えたくもないものです。

しかし、相手が経験したことのないことについては、きちんと説明しておかねばなりません。

私たち医療者は、人生の最終段階を迎える患者さまを支えるご家族さまにだけでも、患者さまが、今どのような状態で、今後どのようなことが起こり得るのかを伝えておく必要があります。
伝えておかないと、患者さまが叶えたいことも、叶えられなくなる可能性があるからです。

私たち医療者は、ある程度の予後予測をすることができます。
今後の過程を丁寧にご家族に説明することが、ご家族の今すべきことのヒントになります。
退院前カンファレンス*1や介入前の面談がその機会となります。

実際にご自宅に戻られると、何よりも「家の持つ力」「家族の持つ力」が大きいことに気づかされます。
入院中と変わらない呼吸状態であったとしても、
「胸(息)は苦しくない。それよりも娘に感謝している。家に戻り、新しい息を与えてもらった。生き返りました。この環境を整えてくれた娘に感謝。家に帰れるなんて思わなかったから」
という感謝の気持ちが強くなり、本人の感じ方や思い(主観的評価)が変わることもあります。

人の気持ちが揺れ動くのは自然なことです。
自宅に戻ったお母さまの呼吸が促迫しているのを見て、「母は苦しくないと言うけれど、苦しさを我慢してるのではないか」と不安を打ち明ける娘さま。
『苦しい』と『苦しそう』は違う*2 ということを説明し、ARさまにとって、自宅で過ごせることが何よりも穏やかである条件であるとお伝えさせていただきました。

お看取りの後、娘さまから「悲しいけど、不思議と涙が出ません。やり切った感からかなぁ。本当に穏やかに逝けてよかったです。」と言っていただけました。

人生いろいろ、いろいろな姿があり、正解・不正解はありません。
どの出来事も過程が大切であり、生ききるために不可欠なことです。
今、この時、私に何が出来るかを精一杯考えて、これからも患者さまやご家族さまを支えていきたいと思います。

*1 退院前カンファレンスについて、こちらの動画もご覧ください。

*2 『苦しい』と『苦しそう』は違う について、こちらの動画もご覧ください。

【今週の東大阪プロジェクト】
東大阪プロジェクトの活動の一部をご紹介させていただきます

>>今週ご紹介する動画<<
【不安 新人看護師 主体的に学ぶ姿勢】
不安なく働けるように、業務を行いながら自律的に考え、主体的に学ぶ姿勢やスタイルを修得できるポイント。
医療職でない方にも参考になります。
是非、ご覧ください!

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