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【看取りの報告書】AWさまのこと

クリニックでは、患者さまが最期の時間を過ごされたご様子を「看取りの報告書」としてまとめています。

今までかわべクリニックがお見送りをした患者さまの「看取りの報告書」を、担当看護師の思い出と共にご紹介していきたいと思います。

AWさまのこと
~知らなきゃ損!~希望を叶えてくれる人がいると世界は変わる!?

いつもお世話になっております。
AWさまについてご報告させていただきます。

先日行われた退院前カンファレンスの際に、奥さまの「この歳なので色んな意味で覚悟しています。最後にラーメンが食べたいと言っているので、連れて帰って食べさせてあげたい」という言葉が印象的でした。
自宅に戻られ、「うどんが食べたい」と言ったAWさまでしたが、実際はおにぎりとたこ焼きとお手製ミックスジュースを摂取されました。

私たちの定期診察を終えた1時間後、トイレ移動で意識レベルが低下。
すぐさま往診依頼があり、急いで駆けつけました。
迷走神経反射であったようで、幸いにも訪問時には意識は回復しており、改めて、「何が起こるかわからないが、それもAWさまの命である」ということをご説明させていただきました。

翌日、念願のラーメンを召し上がりましたが、一方で傾眠時間は長くなっており、お別れが近いことをお話しました。
AWさまはご近所の方から愛されていらっしゃるようで、多くの方が面会に来られ、いつもにぎやかなお部屋になっていました。

そして、退院して5日目に、ご家族に見守られる中、安らかに永眠されました。
奥さまより、
「家に帰りたい、ラーメンが食べたい」と言っていたから、家に連れて帰れ、うどんも食べられたし、本当に幸せやったと思います。
先生も看護師さんもすぐに駆けつけてくれるし、こんな事が出来るってことがもっと広まればいいのにね」
という温かいお言葉を頂きました。

今後ともよろしくお願い致します。

[ケアを振り返って]
みなさんは、最期をどこで、どのように過ごしたいですか?
そのようなことを考えたことありますか?
もし、ご両親が残された時間が限られた状況となったらどのように過ごさせてあげたいですか?

これらをご自分が考え、また家族内で話し合うことが「アドバンス・ケア・プランニング(以下ACP):人生会議」なのです。

ACPとは、将来の変化に備えて医療及びケアについて、患者さまを主体にそのご家族や近しい人、医療・ケアチームが、繰り返し話し合いを行い、患者さまの意思決定を支援するプロセスのことです。
患者さまの人生観や価値観、ご希望に沿った将来の医療及びケアを具体化することを目標にしています。

わかりやすくまとめられた動画もご覧ください。

AWさまは、残された時間が少なくなった最終段階において、「家に帰りたい!ラーメンが食べたい!」と伝えました。
まずは思いをしっかりとキャッチすることが、非常に大切です。
おそらく、患者さまのそばにいる医療者、特に看護師がキャッチすることが多いでしょう。
そこで、その患者さまの希望を叶えたいという点に目を向けられるかどうか、が重要です。
「出来ない」ではなく、出来るように動き出すのです。

新人看護師時代は私も、病棟のカンファレンスで「状態が悪いから無理ですよ。家族の負担が大きいから無理ですよ。点滴しているから動けませんよ。」などと言っていたかもしれません。

主語は一体誰でしょうか?
患者さまの思いはどこにあるのでしょうか?

厚生労働省の調査によると、
一般国民において「自宅で最後まで療養したい」と回答した者の割合は約1割。
自宅で療養して、必要になれば医療機関等を利用したいと回答した者の割合を合わせると、約6割の国民が「自宅で療養したい」と回答。

しかし、60%以上の国民が、最期まで自宅での療養は困難と考えている。
自宅で最期まで療養することが困難な理由として・・・
*介護してくれる介護に負担がかかる
*症状が急変したときの対応に不安がある
*症状急変時すぐに入院できるが不安である
*往診できる医師がいない
*24時間相談に乗ってくれるところがない

つまり、在宅医療の存在や、在宅医療が安心できる医療であることが広まっていない証です。
それは、病院に対してでもあり、一般市民、患者さま・家族さまに対してでも同様です。

私たちは退院前カンファレンスを通して、病院には連携や安心感を与え、患者さまには今という時間を穏やかに過ごしてもらうために「状態が悪いからこそ、何ができるのか、家族の負担を軽減するために誰に委ねることができるのか、点滴は今、必要なのか?」などのことを見つめ直すきっかけになってほしいと考えています。

退院前カンファレンスについては、こちらの動画もご覧ください。

またご家族さまには、病院が全てではなく、24時間支えてくれる在宅チームが地域にあること、
そして、患者さまの希望が住み慣れたご自宅で最後まで一緒に過ごすことであれば、ケアチームによりその希望は叶えられるということを知っていただきたい。

そのために、私たちはこれからも一歩一歩、活動し続けます!!

【今週の東大阪プロジェクト】
東大阪プロジェクトの活動の一部をご紹介させていただきます

>>今週ご紹介する動画<<
【在宅訪問診療・看護 病院と何が違うの? 在宅医・ 訪問看護師の適性】

「在宅医・ 訪問看護師の適性」について、12のポイントをまとめてみました。
是非、ご覧ください!

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